2010年04月19日

●「日本の首相がバカにされている」(EJ第2797号)

 1月4日から3ヵ月半かけて「小沢一郎論」を書いてきました
が、その期間中連日2000人〜2500人の読者が私のブログ
を訪れていただいており、このテーマの関心の高さに驚いている
しだいです。
 そこで次のテーマを何にしようかと悩んだのですが、次のテー
マで書くことにしました。
―――――――――――――――――――――――――――――
     改めて問う/真のジャーナリズムとは何か
      ─ 日本のマスメディアのあり方 ─
―――――――――――――――――――――――――――――
 新しいEJのテーマに、このテーマを選んだ理由としては次の
3つがあります。
―――――――――――――――――――――――――――――
   1.前テーマ「小沢一郎論」と連続性があること
   2.日本のマスメディアは現状のままでいいのか
   3.ブログ、ツイッターなど新メディアとの関係
―――――――――――――――――――――――――――――
 最初にこの話題から取り上げます。
 鳩山首相は4月12日からワシントンで行われた核安全保障サ
ミットに出席しましたが、事前の調整にもかかわらず──調整を
しなかったことになっている──オバマ大統領とは会談ができな
かったのです。
 これに対して日本のマスメディアは「日本はオバマ大統領に会
談を懇願したが、会ってもらえなかった」というように書いてい
ますが、この表現は日本のマスメディアが目指しているはずの不
偏不党や客観報道からかなり逸脱していると思うのです。
 米国側としては今鳩山首相と会って中間報告を聞いても仕方が
ないという思惑もあり、会わなかったのでしょうが、多くの首脳
が米国との会談を求めていて調整がつかなかったというのも真実
であると思うのです。とくに今回のサミットは、かつてないほど
に各国の首脳がオバマ大統領との距離の近さを競い合い、必死に
なったことはなかったといいます。
 そこで外務省は夕食会のさい、鳩山首相の席をオバマ大統領の
隣の席にするよう働きかけ、それを実現させています。そして、
10分間ではあったけれども鳩山首相はオバマ大統領と1対1の
会談をしているのです。
 このことはどのメディアも書いていますが、そのさい大事なあ
る出来事を日本のメディアはあえて報道していないのです。それ
は全員が夕食会の席に着いたとき、オバマ大統領は立ち上がり、
次の趣旨のようなことを述べたことについてです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 これから約10分間ほどは私は(日本の鳩山首相と)話があり
 ます。みなさんはゆっくりと食事を楽しんでください。
―――――――――――――――――――――――――――――
 これはオバマ大統領としては、会談ができなかったことへの鳩
山首相に対するささやかな配慮であると思います。席が隣なので
すから、別にそんなことをいう必要はないからです。しかし、そ
の事実を日本のマスメディアは報道しなかったのです。この事実
を知らない場合と知っている場合では、日本人のオバマ大統領に
対する印象は大きく異なると思います。
 しかし、14日の米ワシントンポスト紙の報道は、いささかき
ついものであったのです。産経ニュースはこれについて次のよう
に伝えています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 【ワシントン=佐々木類】藤崎一郎駐米大使は15日の記者会
 見で、核安全保障サミットに出席した鳩山由紀夫首相に関し、
 米紙ワシントン・ポストが14日付のコラムで「首相が最大の
 敗者」などと報じたことについて、「一国の首相に対して失礼
 だ」と不快感を示した。藤崎大使は「記事はコラムであり、ポ
 スト紙の考え方を反映しているとは思わない」としながらも、
 同紙に対して抗議するのではなく、日本の立場を説明する機会
 を設けるかどうか検討する考えを示した。記事は風刺調のコラ
 ムとして掲載された。この中で鳩山首相を「不運で愚かな日本
 の首相」と紹介。米軍普天間飛行場の移設問題で首相のことを
 「まったくあてにならない」とこきおろし、「あなたは同盟国
 の首相ではなかったか。首相を相手にしたのは中国の胡錦濤国
 家主席だけだ」と皮肉った。       ――産経ニュース
―――――――――――――――――――――――――――――
 たとえコラムとはいえ、日本の首相をバカにした表現を使って
いますが、日本のメディアはその事実を伝えるだけで──こうい
うときは客観報道になる──鳩山首相がいかにダメであるかを強
調して報道しています。そして、世論調査を実施していかにこの
政権がダメな政権であるかのダメ押しまでしているのです。なぜ
日本のマスメディアは抗議をしないのでしょうか。もし、米国の
大統領に対して日本のメディアがこういう報道をしたらどうなる
でしょうか。米国から物凄い抗議がきます。
 ワシントンポスト紙が鳩山首相に使った言葉は、英語の次の言
葉です。
―――――――――――――――――――――――――――――
        hapless and increasingly Loopy
―――――――――――――――――――――――――――――
 「ルーピー」とは、くるくる回るという意味ですが、要するに
「くるくるパー/バカ」という意味です。自国の首相に対しここ
までいわれても抗議もせず、逆に「こんなひどいことをいわれて
いるじゃないか」と、自分の国の首相を貶める日本のマスメディ
アはあまりにもおかしいと思います。
 このまま行くと、普天間問題は解決せず、衆参同日選がますま
す現実のものになります。野党の党首も「辞任」を口にしていま
すが、衆参ダブル選挙なると、小沢幹事長の采配がものをいうこ
とになります。     ――──[ジャーナリズム論/01]


≪画像および関連情報≫
 ●「哀れなハトヤマが最大の敗者」/ワシントンポスト紙
  ―――――――――――――――――――――――――――
  「哀れなハトヤマが最大の敗者」。14日付の米紙ワシント
  ン・ポストは3面のコラムで、核安全保障サミットでの各国
  首脳外交を総括し、オバマ米大統領と公式の首脳会談を行え
  なかった鳩山由紀夫首相を皮肉った。筆者は著名コラムニス
  トのアル・カメン氏。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)
  の移設問題をめぐる迷走の結果、米政権で鳩山氏に対し「変
  わり者」「信頼できない」との評価が広まっていると紹介。
  首脳会談を申し込んだが受け入れられず「残念賞が夕食会で
  の“非公式”会談。メーンディッシュとデザートの間にやっ
  たのだろうか」とこき下ろした。さらに普天間問題を5月中
  に解決すると約束しながら実現しそうにない現状に触れ「ユ
  キオ、盟友のはずだろう?米国の核の傘で何十億ドルも節約
  しただろう?」と畳み掛けた。一方で“勝者”の筆頭には、
  首脳会談が1時間半に及び主役の座を手にした中国の胡錦濤
  国家主席を挙げ、オバマ大統領が握手をしながら胡主席に頭
  を下げている写真が掲載された。(ワシントン共同)
  ―――――――――――――――――――――――――――

夕食会での鳩山・オバマ会談.jpg
夕食会での鳩山・オバマ会談
posted by 平野 浩 at 04:19| Comment(2) | TrackBack(1) | ジャーナリズム論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>> 自国の首相に対しここまでいわれても抗議もせず、

なぜだかわからないの?
みんな、「確かにその通り、、、」と思ってるからだろ。
そんなこともわからないのですか?

物事の本質(この場合は、鳩山がほんとうにバカかどうか?)には踏み込まずに、
表面的な形式のみ(揶揄された事)だけに過剰反応するのは、
幼稚な詭弁の典型パターン。

平野くんは、中学生くらいですか?
もう少し色々お勉強してから書いた方が良いのでは?
Posted by 角栄 at 2010年04月22日 23:58
鳩山が本当に馬鹿かどうかなんてお前さんが軽々しく言えることなのか?
まあ、あなたが馬鹿かどうかはすぐにわかるけどさ。

Posted by あむ at 2010年04月24日 02:53
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