2010年04月12日

●「なぜ2人区2人擁立に反対か」(EJ第2792号)

 民主党は構造的に不幸である──これは元内閣総理大臣・中曽
根康弘氏のことばです。民主党は右から左までのウイングが広く
旧社会党などの勢力がかなりいるので、安全保障や国家観、憲法
などの重要な点で、政権の姿をきちんと示すことが困難であると
いうことをいっているのです。
 そして、中曽根氏は小沢幹事長の独裁的なやり方について次の
ように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢君の実体というのは、多くのメディアが報道する印象とは
 かなり別のものです。ただし、本人が言うように東北人特有の
 鈍重さゆえか、そういう本来の姿を顕示する機会を持てずにき
 た政治家です。(中略)旧社会党のような勢力を抱え込む民主
 党が本当に力を発揮するためには、やはり権力の一元化が必要
 なのです。   ──「SAPIO」4/14・4/21より
―――――――――――――――――――――――――――――
 いま小沢の頭にあるのは、夏の参議院選での単独過半数獲得そ
れあるのみです。「命をかけた戦い」と小沢自らそういっている
そうです。
 民主党の非改選議席は62です。したがって、過半数の122
には60足りないのです。ところが、改選数は53ですから、全
員当選しても7つ不足するのです。小沢が2人区に2人の候補者
を立てた理由はここにあります。
 これをめぐって民主党内の小沢と距離を置くいつものグループ
は、「共倒れ」の危機を煽って反対を唱えています。その理由は
鳩山内閣や民主党の支持率が低下しているからです。
 これが自由党と合併する前の民主党の正体なのです。とくに選
挙では支持率ばかりを気にしており、きちんとした目標を持って
いないのです。そういう「風」に頼った選挙では、とうてい政権
交代など夢のまた夢です。ちなみに、2007年の参議院選──
小沢党首率いる民主党は与野党逆転を果たしているのですが、そ
のときの民主党の支持率は20%なのです。支持率がすべてを決
めるわけではないのです。それに下がったとはいえ、民主党の支
持率は30%以上あるのです。しかも、2007年のときは野党
だったのに対し、今回は与党なのです。
 さて、参議院選の2人区は全国に12あります。そこに自民党
は1人ずつの候補者を立てています。自民党としてはもし2人立
てると、それこそ共倒れになるので、このままで戦うはずです。
 民主党は既に12の2人区に2人ずつの候補者の擁立を終えて
います。確かに共倒れの危険はないわけではありません。しかし
2人の候補者が競い合えば、得票率も上がり、最悪の場合でも1
人は当選するのです。何が問題なのでしょうか。
 民主党でこの2人区2人擁立にとくに反対しているのは、京都
府の現職・福山哲郎氏、静岡の藤本祐司氏、長野の北沢俊美防衛
相なのです。彼らはもし2人区に1人擁立なら、おそらく楽勝で
しょう。その場合は、民主党と自民党は1人ずつ当選することに
なると思います。しかし、これでは民主党は単独過半数は取れな
いのです。反小沢派の人たちは、それでもよいといっているので
す。こういうところがかつての民主党の体質なのです。
 一体彼らは何を恐れているのでしょうか。
 もし、みんなの党が出てきたら相当票を食われる──これが表
向きの理由です。確かにみんなの党には少し「風」が吹いている
ように見えます。しかし、みんなの党には支部も組織もなく、し
かも運動資金が、最低でも一億円以上かかるといわれているので
す。いくつかの2人区には立ててくる可能性はありますが、みん
なの党が議席を奪うのは至難のわざです。「風」だけではどうし
ても限界があるのです。
 それでは何を恐れているのでしょうか。
 2人区に立てるもうひとりの候補は、すべてがそうではありま
せんが、いわゆる「小沢ガールズ」的候補が多いのです。そのさ
い、小沢幹事長はこういっています。
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 一次公認をした現職の候補については地元組織が全面的に面倒
 を見てくれ。幹事長室が送り込んだ2人目の候補者についての
 面倒はこちらがみる。           ──小沢幹事長
―――――――――――――――――――――――――――――
 2人区の現職が恐れているのは、小沢が送り込んだ2人目の新
人候補なのです。これらの候補はバックに小沢がついているので
当然のことながら、小沢型選挙を繰り広げられます。そうすると
新人に票が流れて自分が危なくなる──こう考えているのです。
つまり、現職が落選しかねないのです。
 このような小沢流の選挙のやり方には批判する人が多いですが
民主主義の政治では、政治家は選挙で選ばれるのです。どんなに
学識があり、立派な主義主張を持っていても、選挙に落ちれば只
の人です。田中角栄は、選挙に弱い政治家を絶対に重要閣僚に選
ばなかったといいます。小沢も同じことをいっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 選挙に弱い政治家というのは、結局のところ、外部の組織だの
 みだったり、あるいは人気だのみの人である。そういう政治家
 はつねに「他人の目」を気にしていなければいけない。(一部
 略)本当に政治家として志を貫き通すためには、まず自分の理
 解者を一人でも増やすことだ。自分の足元を固めるのが、政治
 家として活動する上で最優先のことなのである。政治家は一人
 の力で働いているのではない。政治家に本当の意味で力を与え
 るのはやはり選挙民の支持なのだ。     ──小沢一郎著
          『小沢主義/志を持て日本人』 集英社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 確かに、いつも「風」を気にして、選挙に弱い政治家にはろく
な仕事はできないでしょう。「小沢は選挙だけ」と批判されます
が、政治家にとって選挙ほど重要なものはないはずです。
                 ――[小沢一郎論/68]


≪画像および関連情報≫
 ●前原誠司国土交通相/小沢幹事長を批判
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  前原誠司国土交通相は4月2日の会見で、参院選で複数擁立
  方針を強引に進める小沢一郎幹事長の手法を批判した。自身
  が府連常任顧問を務める京都選挙区で、現職の福山哲郎外務
  副大臣に続き、河上満栄衆院議員(近畿比例ブロック)のく
  ら替え擁立するのを受け「2人目の候補は党本部の直轄。府
  連としては福山氏を応援する」と、河上氏支援に消極的な発
  言。実際、2人擁立では現職、新人とも共倒れという懸念も
  あり、「(複数擁立は)内閣支持率が70%あった時に決め
  たこと。大きな疑問がある」とも述べ、支持率低下が著しい
  今はふさわしくないとの見解を示した。
            ──「日刊スポーツ/政治ニュース」
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp3-20100403-613608.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

中曽根康弘氏.jpg
中曽根康弘氏
posted by 平野 浩 at 04:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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