2010年03月31日

●「藤井財務相辞任の真の理由」(EJ第2784号)

 藤井前財務相が小沢の不信を買ったことは確かであり、それが
辞任の原因になったと考えられますが、それは国債発行枠44兆
円の問題ではないのです。それよりももっと重要な小沢に対する
裏切り行為があったからです。
 民主党のマニュフェストを見ると、次の項目が載っています。
―――――――――――――――――――――――――――――
     税制調査会で租税特別措置を全面見直しする
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、税制調査会の会長である藤井財務相は、それをぜんぜ
ん行わなかったのです。それをもって小沢は藤井氏が日本経団連
や財務省のいいなりになっていると考えたわけです。
 小沢は、石油化学製品の原料ナフサに対する揮発油税の免税措
置を見直そうと考えたのです。この免税措置は長年続いており、
その減税規模は、3兆6千億円にもなるのです。全部は無理とし
ても一部課税しただけでも、財源難に苦しんでいる政府にとって
格好の恒久財源になるからです。小沢はそれをマニフェスト実現
のための財源として考えていたのです。
 既に述べたように、中小企業には免税を残すが、勝ち組の大企
業に免税してやる必要はないというのは、小沢の政治の基本的な
考え方なのです。
 しかし、日本経団連はナフサの免税見直しには、次のように全
面反対したのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ナフサのような原料は、非課税が世界の常識だ。国際的な価格
 競争が激化するなか、日本だけ課税されれば業界にとって死活
 問題になる。               ──大下英治著
       『小沢一郎の最終戦争』/KKベストセラーズ刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、藤井税制調査会会長は、日本経団連の求める「ナフサ
免税措置」と「企業の研究開発税制」の延長・拡充を受け入れて
しまったのです。
 しかも、まずいことに、12月9日朝、財務省と日本経団連は
都内のホテルで意見交換会を開いているのですが、その次の日の
朝、小沢を名誉団長とする民主党議員団が中国に出発することに
なっていたのです。あたかも小沢が慌しいその日を狙って開催し
たかのようにとられても仕方がないタイミングだったのです。
 これ会合には、財務省の政務三役と日本経団連の御手洗会長と
副会長などが参加したのです。ちょうどその会合は、経団連が政
務三役にお礼を述べる会のようであったといわれているのです。
 12月16日夕方に政府と党の各種陳情・要望に関する意見交
換会が行われたとき、小沢が副幹事長を全員引き連れて出かけた
のは、予算編成にかかわった各省の政務三役に一言クギを刺して
おきたかったからなのです。
 しかし、重点要望事項にはナフサの免税措置見直しは入れてい
ないのです。もし、そんなことをすれば、確実に財務大臣のクビ
が飛ぶことになるからです。しかし、その分、小沢のいい方が少
しきつくなったことは予想できます。
 小沢は、政府と党の意見交換会でマスコミの頭撮りが終わった
あとで立ち上がってこういっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 まだまだ、官僚の影響力から抜け切れていない。もっと、しっ
 かりしなきゃいけない。私が悪役を引き受ける。だから、もっ
 と徹底して政治主導をやれ。ちゃんとやらなきゃならない。自
 分たちのところには2800もの陳情が届けられている。これ
 が、まさに国民の声なのだ。この国民の声を、よく聞かなけれ
 ば駄目だ。一回だけのことではないんだ。そのことを、果たし
 てみなさん、どれだけ思っておられますか? ──前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 このとき、小沢は経団連との付き合い方についてまで言及して
いるのです。「経団連とか、そういう連中と安易にやってもらっ
ては困る」といっているのですが、これは藤井財務相にとって、
耳の痛い言葉であったに違いないのです。
 その後の財務省との会合で、幹事長室高嶋筆頭副幹事長は政務
三役に次のようにいい渡しているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢幹事長は、租税特別措置の見直しで中小企業を苦しめるよ
 うなことをしておきながら、日本経団連が求めるナフサの減税
 措置を延長したことに憤りを感じている。幹事長とすれば「お
 前たちは強いところの味方なのか、国民の生活第一という理念
 がわからないのか」ということをいいたかったのだ。
                      ──前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 この高嶋氏の発言は確実に藤井財務相の耳に入っており、藤井
氏はそれで辞める決断をしたものと思われます。その後、財務政
務官の一人である古本伸一郎氏は、小沢のいうように確かにこれ
は不公平だと思い、ナフサの免税措置見直しに動いたのですが、
経済界を守る立場の経産省の根強い抵抗で頓挫しています。
 小沢と日本経団連とは自民党幹事長時代からの長い確執がある
のです。日本経団連といえば財界の総本山であり、これまで自民
党に資金提供することによって政権に強い発言力を有してきたの
です。そのため、日本経団連の会長といえば、「財界総理」と呼
ばれるほど強い権力の保持者なのです。
 実は小沢は16年も前から、自民党と日本経団連の引き離しを
画策してきているのです。2009年8月の総選挙でも小沢は経
団連に出かけて行き、支援を要請しているのですが、その対応は
きわめて冷たいものであったといいます。日本経団連としては戦
略を誤ったというべきなのです。
 小沢としては、自民党が作り上げた政官財のトライアングルを
崩すため、「脱官僚」と合わせて、「脱日本経団連」を推進しよ
うとしているのです。      ―――[小沢一郎論/60]


≪画像および関連情報≫
 ●ナフサ免税措置継続の決定
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  平成22年度の税制改正を議論する政府税制調査会は(会長
  ・藤井裕久財務相)12月3日、特定業界などを税制優遇す
  る租税特別措置(租特)見直し論議で最大の焦点となってい
  たナフサ(粗製ガソリン)の免税措置について、経済産業省
  の要望通り継続させる方針を決めた。ナフサは租特でも免税
  規模が最大の3兆7千億円に上り、幅広い石油化学製品に影
  響が及ぶため、産業界から免税措置の打ち切りに猛反対する
  声が上がっていた。
         ──2009年12月3日付、産経ニュース
  ―――――――――――――――――――――――――――

藤井前財務相.jpg
藤井前財務相
posted by 平野 浩 at 04:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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