2010年03月29日

●小沢一郎は独裁政治家にあらず(EJ第2782号)

 先週末の次元の低い民主党の乱とそれに対するマスコミの報道
姿勢と世論調査、そして、それをほぼそのまま受け入れる国民を
見ていると、小沢一郎という人物がいかに世間から誤解されてい
るかがよくわかります。
 それに民主党党内でも小沢一郎という政治家を、自民党の田中
竹下、金丸らの田中派、経世会のやり方を継承する古いタイプの
金権政治家であると見ているものが多くおります。これは大きな
間違いであると私は思います。
 私はかねてから、小沢自身の書いた本、小沢一郎という政治家
について書かれた本──小沢を肯定する本も批判する本も含めて
ほとんど読み、今回のテーマの記事を書いています。私は小沢を
批判する人で、小沢一郎の書いた本を一冊も読んでいない人が多
いのに驚いています。人を批判するには、その人の考え方をよく
知った上で行うべきであります。
 しかし、幹事長室の副幹事長は、直接小沢の人物に触れ、小沢
の指導や指揮を受けることが多いので、次第に小沢の姿勢や考え
方が理解できるようになるといいます。
 小沢批判の騒ぎを起こした生方議員などは例外中の例外なので
す。想像するに彼は幹事長室では相手にされないので、外部に出
て今回のようなパフォーマンスをやるのです。生方氏の本来の役
割は国対と幹事長室を結ぶパイプ役なのにもかかわらずです。
 しかし、生方氏は解任撤回を受けた翌日の24日に朝から民放
3局にハシゴ出演し、懲りもせず小沢批判を繰り返しています。
24日は国対会議があったのに、それをスッポカしてテレビに出
ているのです。呼ぶテレビ局もテレビ局ですが、どうしてマスコ
ミは、こんな人物の片棒を担ぐのでしょうか。
 たまたまスッポカしたのではないのです。国対委員長代理の三
井弁雄衆院議員によると、この通常国会に入ってから29回の国
対会議をやっていますが、生方氏は今までに3回しか出席してい
ないというのです。理由は「朝に弱いから」ということですが、
そんなことは理由になりません。自分の職責をまっとうできない
人に政治家など任せられないし、人を批判する資格などないと思
います。幹事長室では相手にされないのは当然のことです。
 昨年12月のことです。幹事長室では、小沢を囲んで筆頭副幹
事長の高嶋良充氏と細野豪志氏が会議をしていたのです。16日
の午後開かれる政府と民主党の各種陳情・要望に関する意見交換
会のための打ち合わせです。そのとき、「子ども手当て」の扱い
が検討されたのです。
 これに対して小沢は言下に「所得制限を入れるべきだ」といっ
たのです。これに対して高嶋氏と細野氏は反対したといいます。
マニフェストには「すべての親に支給する」と書いたし、もし所
得制限を設けたら、来夏の参院選に影響が出るといったのです。
 そうすると、小沢は「きみたちは、国民の気持ちを分かってい
ない」として、2人を一喝したのです。
 後で高嶋氏と細野氏は、2007年1月29日において、安倍
晋三総理の施政方針演説に対する代表質問で、当時の小沢代表が
民主党の基本方針について次のように述べていたことを知り、自
らの不勉強を反省したというのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 第一に政治は生活。どんなに立派なことをいい、どんなに大き
 な事業をおこなっても、国民の生活が向上しないのであれば、
 よい政治とはいいません。また政治は本来、社会的、経済的に
 弱い人たちのために存在するのです。あえて極論すれば、強い
 人たち、いわゆる勝ち組には政治は手を差しのべる必要はなく
 むしろ勝ち組に経済や社会を支配させないように公正なルール
 を定めねばなりません。          ──大下英治著
       『小沢一郎の最終戦争』/KKベストセラーズ刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢には一本ちゃんと筋の通った考え方があり、それにブレる
ことはないのです。このように「国民の生活が第一」という基本
理念を掲げる小沢一郎が、なぜ、金丸や竹下といった自民党の政
治家を継承する金権政治家といわれるのでしょうか。自民党は勝
ち組に政治の手を差し伸べた政党だったのですから。
 民由合併してから、小沢は無役、代表代行、代表、幹事長、代
表代行兼選挙担当のように、いろいろポジションが変わっていま
すが、それぞれ職務に合った仕事をしてきていると私は思ってい
ます。しかし、小沢といえば、独裁者、権力の二重構造という報
道ばかりですが、実際はそれとは大きく異なるのです。
 つまりメディアや国民は、小沢のこれまでの役職に関係なく、
自民党幹事長、細川連立政権代表幹事、新生党・新進党幹事長、
新進党党首、自由党党首、それに一連の民主党の役職全体のイメ
ージを重ね合わせて小沢の虚像を創り上げているのです。実際に
小沢のいうようにコトが決まるのは、小沢のいうことがそれだけ
筋が通っているから、そう決まるだけの話です。
 子ども手当については、党が政府に重点項目を提出した直後に
党独自で世論調査を実施しており、的確に国民の意思を確認して
いるのです。ちなみに、子ども手当てに所得制限を設けることは
70%以上が賛成であり、高嶋・細野両氏はその結果に驚嘆した
といいます。
 暫定税率の維持については、ガソリン税を下げてくれという要
望はどのくらいきているのか、地方の財源を削られたら、大変な
ことになるという声がどのくらいあるのかについて、入念に調べ
た上で、暫定税率維持に踏み切っているのです。
 しかし、この暫定税率維持は、政府が「国債発行額約44兆円
以下」の閣議決定したので、小沢が子ども手当てなどの財源を確
保するため、鳩山政権に助け船を出したのです。つまり、自分が
独裁者と呼ばれていることを逆に利用してそれを重点要望の中に
入れたのです。しかし、この閣議決定「国債発行額約44兆円以
下」には、とんでもない財務省官僚の悪知恵というか陰謀が加え
られたのです。         ―――[小沢一郎論/58]


≪画像および関連情報≫
 ●2007年1月29日/安倍内閣への代表質問
  ―――――――――――――――――――――――――――
  [東京 29日 ロイター]安倍晋三首相の施政方針演説に
  対する衆院代表質問が行われ、初日の29日には民主党の小
  沢一郎代表が格差問題をテーマに論戦に臨んだ。小沢代表は
  消費税率を現行5%に据え置くべきなどと持論を展開した。
  また、企業から家計への波及の問題について、安倍首相は、
  景気回復基調を持続させることの重要性を強調した。衆院代
  表質問トップの小沢代表は、安倍首相が憲法改正について意
  欲を示していることについて「生活維新こそが全力で取り組
  むべき最重要課題だ」とし、その点に関して国会で議論した
  うえで、夏の参院選で国民の審判を仰ぐべきだとやや抑え気
  味に主張した。
http://jp.reuters.com/article/marketEyeNews/idJPnTK305871520070129
  ―――――――――――――――――――――――――――

安倍総理に代表質問する小沢民主党代表.jpg
安倍総理に代表質問する小沢民主党代表
posted by 平野 浩 at 04:15| Comment(2) | TrackBack(0) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「先週末の次元の低い民主党の乱とそれに対するマスコミの報道姿勢と世論調査、そして、それをほぼそのまま受け入れる国民を見ていると、小沢一郎という人物がいかに世間から誤解されているかがよくわかります」

 失礼ながら平野さんは我々有権者をバカにしておられるのでは?
 たしかに小沢氏の報道で支持率に影響した面もあるでしょう。しかし民主党のこれまでやってきたことが評価に値するものとはとても思えない。自民党の方がまだマシだったと思う人間も多いはず。おっしゃるとおり私は寡占や独占は否定しますが、勝ち組になる努力をも否定されるのですか? 現政権は歯を食いしばって努力し、勝ち組たらんとする人間たちのインセンティブを著しく低下させているように思えてなりません。
 それを小沢氏の報道でと言われれば、「オレたちゃそこまでバカじゃねーぜ」と思わずコメントしたくなりました。

 製造業勤めもしがないサラリーマンの駄文失礼しました。
Posted by 通りすがり at 2010年03月30日 20:29
民主党がいつ勝ち組の足を引っ張る政策を取ったの?所得税の累進制を強化したわけでも無いし、法人税を上げたわけでもないのに。
むしろ、セーフティーネットの充実に舵を切っただけじゃんか。勝ち組だっていつまでも勝ち組とは限らない。セーフティーネットが充実していれば、今まで以上に積極的に動けるだろうに。自民党は過去何かしたか?否応無く突きつけられた課題を官僚にやらせて、おこぼれで私腹を肥やしただけじゃん。
Posted by 匿名 at 2010年03月30日 22:54
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。