2010年03月04日

●「石川議員は本当に重罪なのか」(EJ第2766号)

 2月21日に投開票が行われた長崎知事選で民主党系候補が大
敗してから10日間、依然として小沢の幹事長辞任論が高まって
います。内閣支持率も政党支持率も下がっています。何かデジャ
ヴ(既視感)、昨年の繰り返しを見ているようです。
 小沢が責められているのは、本人は不起訴になったものの、小
沢事務所の秘書2人と元秘書である衆議院議員が逮捕されている
からです。監督責任があるし、同義的にも秘書のせいにするのは
許されないというわけです。小沢自身の不起訴についても、「嫌
疑なし」ではなく「嫌疑不十分」だから、黒に近い灰色であると
大マスコミは執拗に喧伝しています。
 しかし、小沢の秘書たちは、本当に逮捕されるような重い罪を
犯したのでしょうか。政治資金規正法をていねいに読んでみると
3人の起訴には大きな疑問が出てくるのです。
 以下、『週刊朝日』3/5日号を参照してこの問題について考
えてみることにします。
 政治団体の会計帳簿は、民間とは異なり、家計簿レベルの単式
簿記であり、非公表なのです。それに、収支報告書に公表しなけ
ればならない内容は、収支のすべてではなく一部です。
 会計帳簿の方は、借入金の日付、金額、借入先をすべて書かな
ければならないのですが、収支報告書には借入金の日付を書く必
要はないのです。政治活動の自由の確保を根拠とし、政治団体の
資金繰りは明らかにしなくてもいいことになっています。
 実際の制度の運用では、年末時点の資産と借入金がわかるよう
になっていればよいとして、総務省は会計責任者に「余計な金銭
の出入りは書かなくてもよい」と指導しているのです。
 ここで石川議員の逮捕容疑を調べてみると、次のようになって
いるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢氏から提供された4億円と陸山会の定期預金を担保に銀行
 から借りた4億円の合計8億円を収支報告書の収入に記載しな
 かった。            ――『週刊朝日』3/5号
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、これはおかしいのです。政治資金規正法第4条は政治
団体の「収入」を次のように定めているからです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「収入」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の収受で、第
 八条の三各号に掲げる方法による運用(銀行預金など)のため
 に供与し、又は交付した金銭等の当該運用に係る当該金銭等に
 相当する金銭等の収受以外のものをいう
               ――政治資金規正法第4条より
―――――――――――――――――――――――――――――
 法律用語はわかりにくいが、要するに政治団体が手元資金を銀
行預金で運用し、それを担保に相当額を借り入れても、その借入
金は政治資金規正法上の「収入」には該当しないのです。
 そうであるとすると、政治団体の定期預金を担保にした4億円
の借入金は、収支報告書の記載すべき「収入」ではないというこ
とになります。しかし、その不記載を容疑として東京地検特捜部
は石川議員を逮捕しているのです。書かなくてもいいことになっ
ていることを書かなかったからといって逮捕される――考えられ
ないことです。
 それなら、小沢氏から提供された4億円については、どうなの
でしょうか。
 これについて、石川議員が保釈後に記者会見において次のよう
に述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
  「記載すべき時期を間違えたが、意図的ではなかった」
―――――――――――――――――――――――――――――
 これは、土地取引は2004年10月29日に行われたが、記
載はその2ヶ月後の2005年に行われているということをいっ
ているのでしょうか。
 これについて、『週刊朝日』3/5号は、次のように述べてい
るのてす。
―――――――――――――――――――――――――――――
 04年の土地取引を05に記載したのは確かに記載ミスだが、
 土地取引を隠そうとしたわけでもないし、陸山会の収支報告書
 によれば、小沢氏からの借入金残高は03年末は1億1854
 万9268円、04年末は4億9147万8416円と記載さ
 れている。差し引き3億7292万9148円借入金が増加し
 ていることがわかるが、その分の借入金収入が「記載漏れ」に
 なっていた。結果的に、04年分の陸山会の収支報告書はその
 分、帳尻が合っていない。    ――『週刊朝日』3/5号
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、『週刊朝日』は指摘していませんが、2004年の陸
山会の収支報告書には、次の記載があるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
   2004年10月29日:小沢一郎 借入金4億円
―――――――――――――――――――――――――――――
 この記載の事実は、1月10日のサンデープロジェクトで郷原
氏が指摘したのですが、テレビカメラで拡大したものを私も見て
いるのです。しかし、なぜか、この事実を検察も新聞も週刊誌も
書こうとはしないのです。いっさい無視です。
 おそらくそういう記載があることをマスコミ自身が知らなかっ
たので、いいたくないのでしょう。しかし、それが「小沢=悪」
を間違って裏付けているのです。
 銀行からの借入金4億円は政治資金規正法第4条によって「収
入」には当たらないので、記載する必要はないのであるから、こ
れは文字通り小沢からの借入金4億円ということになります。そ
うであるなら、こちらはちゃんと記載があるので不記載ではない
――どうして石川議員は、逮捕・起訴されなければならないので
しょうか。           ―――[小沢一郎論/42]


≪画像および関連情報≫
 ●サンプロ出演者/財部誠一氏のコメント
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ジャーナリストの財部誠一氏からは「4億円の借入金の記載
  があるというのは衝撃的だ。新聞ではないと報じているでは
  ないか」というような声が上がったが、日頃からこの問題に
  ついて新聞、テレビで解説している新聞の解説委員は、「確
  認してみる」などと言っているだけで、まともに答えられな
  い。毎日新聞の岸井成格特別編集委員に至っては「捜査の仕
  方がなんか変だな」と言い出す始末だ。
      ――日経ビジネスオンライン/2010.1.13
  ―――――――――――――――――――――――――――

郷原信郎氏.jpg
郷原信郎氏
posted by 平野 浩 at 04:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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