2010年03月02日

●「小沢戦略/小選挙区150の論理」(EJ第2764号)

 2月20日付の日本経済新聞は、日歯連の政治団体である「日
本歯科医師連盟」が、今年夏の参議院選で、初めて民主党の比例
代表候補を支援する方針を正式決定したと伝えています。
 このように今まで自民党を支援してきた大団体が次々と民主党
支援に切り替えています。この動きは、日本医師会や他の団体な
どにも大きな影響を与えるものと思われます。これらの工作も小
沢幹事長ならではの手腕であるということができます。
 小沢は、選挙において大衆を動かすときは一人でも多くの人に
会い、握手をする――しかし、演説には時間をかけない方針を徹
底します。しかし、組織を説得するときはそれとはまるで違う対
応をするのです。
 組織の説得には時間をかけてじっくり話すのです。場合によっ
ては宴席を設けてとことん話し込むこともある。そういうとき、
小沢はどのようにやるのでしょうか。『小沢選挙に学ぶ/人を動
かす力』の著者は次のように述べています。企業の管理職にきっ
と役に立つことが多いと思います。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢はまた、現場の労働組合の幹部と盃を交わすこともある。
 そういうときは必ず居酒屋を使う。ホテルの宴会場などではな
 い。民主党関係者は、その理由をこう述べている。
 「小沢さんは、いちばん狭い部屋を用意させるんです。体を寄
 せ合うくらいの距離で話し込む。そうすることで、はじめて一
 体感が生まれる」。小沢は、労働組合の幹部一人ひとりにお酌
 をしてまわり、じっくり話を聞く。しかも、必ず上着を脱いで
 ワイシャツ姿になるのだ。場が盛り上がり、雰囲気がいいとき
 は、帰りの電車や飛行機の時間にかまわず、小沢は同行してい
 る側近や職員にこう声をかける。「しかたない。泊まっていこ
 う。おい、二次会をセットしろ」。そして、カラオケに繰り出
 す。小沢の十八番は、八代亜紀の「舟唄」である。
                ――野地秩嘉/小塚かおる著
      『小沢選挙に学ぶ/人を動かす力』/かんき出版刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢の選挙戦略に「150の論理」というのがあるのだそうで
す。日本の衆議院総選挙の制度は「小選挙区比例代表並立制」と
いい、480議席を次のように分類します。このうち、小選挙区
は300議席です。
―――――――――――――――――――――――――――――
      小選挙区  ・・・・・ 300
      比例代表制 ・・・・・ 180
      ―――――――――――――――
                  480
―――――――――――――――――――――――――――――
 この小選挙区300のうち、150――つまり過半数を取れば
必然的に比例も過半数に近い議席数が取れるというのです。その
ために小沢は、勝てる選挙区を絞って、そこに集中的に人と資金
を注ぎ込むという「選択と集中」の考え方を徹底したのです。
 小沢が選挙を一元的に担当する前は、民主党は無駄なところに
経費を使い、効果を上げていなかったのです。例えば、政策をア
ピールするために、「おかしなことなくし隊」とか「ガソリン値
下げ隊」のためのキャラバン隊を作り、全国を遊説して回ったの
です。あくまで、政策で勝負しようとしたのです。
 しかし、そのために、5000万円から1億円も経費をかけて
いたのですが、それをやったからといって、どのくらい票に結び
つくか一向に把握できなかったのです。何となくムードアップの
ためにやっていたに過ぎないのです。これは売れない店舗にもお
金をかけてその分資金を無駄に使っていたことになります。
 そして2009年の衆議院選で小沢は何回も世論調査を繰り返
し行い、勝てないと思う選挙区は捨て、勝敗ラインぎりぎりの重
点選挙区には集中的に人と資金を投入し、勝ちに行ったのです。
 ちなみに小沢が2009年の衆議院選では勝てないと判断した
選挙区は東京では次の3つです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  1.東京 8区 ・・・・・ 自民党・石原伸晃代議士
  2.東京11区 ・・・・・ 自民党・下村博文代議士
  3.東京25区 ・・・・・ 自民党・井上信治代議士
―――――――――――――――――――――――――――――
 これらは、1996年に小選挙区制になって以降、自民党が議
席を死守してきているところばかりなのです。とくに8区と11
区にいたっては、自民党以外の政党が比例復活すらしたことがな
いという最強選挙区なのです。小沢はそういう選挙区は捨て、徹
底的な「選択と集中」の結果、民主党は221議席という圧倒的
な勝利を勝ち取ったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
    ≪2009年衆議院選党派別小選挙区議席獲得実績≫
    自民党    ・・・・・・・・・・・・  64
    民主党    ・・・・・・・・・・・・ 221
    公明党    ・・・・・・・・・・・・   0
    共産党    ・・・・・・・・・・・・   0
    社民党    ・・・・・・・・・・・・   3
    国民新党   ・・・・・・・・・・・・   3
    みんなの党  ・・・・・・・・・・・・   2
    新党日本   ・・・・・・・・・・・・   1
    無所属    ・・・・・・・・・・・・   6
    ―――――――――――――――――――――――
                        300
―――――――――――――――――――――――――――――
 まさに「選挙の小沢」そのものです。現在は民主党に逆風が吹
いていますが、自民党の支持率は上がっておらず、夏の参議院選
までは時間があるので、小沢は勝利のために着実に手を打って行
くはずです。          ―――[小沢一郎論/40]


≪画像および関連情報≫
 ●衆議院総選挙の仕組み/基礎の基礎る
  ―――――――――――――――――――――――――――
  小選挙区制は「多数代表制」。1票でも多数の支持を得られ
  た人が当選するしくみです。要は、ナンバーワン、1人だけ
  が当選するしくみです。アメリカ両院、イギリスやカナダの
  下院は純粋にこの小選挙区制です。しかし、アメリカのよう
  な二大政党制ならいざしらず、日本のように小政党もある場
  合、たくさんの候補がしのぎを削り、「40%弱の得票率で
  当選」ということもあるのですね。それはいかがなものか、
  という議論もあります。ちなみに、下院で小選挙区を採用し
  ているフランスは過半数の得票率を獲得した候補がいない場
  合、1週間後、12.5 %の得票をしたもののみで決選投票
  をするようにしています(2回投票制)
  http://allabout.co.jp/career/politicsabc/closeup/CU20050808A/
  ―――――――――――――――――――――――――――

「小沢選挙に学ぶ/人を動かす力」.jpg
「小沢選挙に学ぶ/人を動かす力」
posted by 平野 浩 at 04:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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