2010年02月26日

●「小沢流選挙/川上から川下へ」(EJ第2762号)

 「風に頼った選挙をやるな」――これは小沢の選挙についての
信条なのです。2007年夏の参議院選で、大接戦を演じていた
一人区の民主党候補者に小沢自身が送った檄文の一部をご紹介し
ましょう。
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 緩めば負ける。必死で戦え
 参議院選挙は、早くも勝敗を決する中盤戦に入ります。今のと
 ころ確かに国民生活を顧みない安倍政治に対する国民の怒りが
 「風」となり、我々に追い風になっています。しかし、「風」
 は一瞬にして変わる。変わるからこそ「風」なのです。我々が
 油断をして隙を見せると、「風」はすぐ変わる。今のように気
 が緩んだまま投票日を迎えれば、下馬評とは逆に、我々は敗北
 してしまいます。(中略)幸運の女神は前髪しかないといいま
 す。女神の先に回り込み、その前髪をつかんだ人だけ、女神が
 微笑みます。私が先頭を走ります。ともに女神を追い抜き、勝
 利を手にしようではありませんか。        小沢一郎
                ――野地秩嘉/小塚かおる著
      『小沢選挙に学ぶ/人を動かす力』/かんき出版刊
――――――――――――――――――――――――――───
 小沢が民主党の代表になった直後の千葉七区の補欠選挙――こ
の選挙では太田和美氏が当選したのですが、この選挙ほど小沢選
挙の凄さを民主党議員に知らしめた選挙はなかったのです。その
ときの民主党は、「偽メール問題」の後遺症があり、党内はガタ
ガタの状態であり、選挙どころではなかったのです。
 告示は、2006年4月11日でしたが、直前の7日に小沢が
民主党の代表に就任したのです。このとき、小沢は、全国国会議
員に千葉県入りを命じるとともに、千葉県に住んでいる親戚縁者
や企業関係者の名簿を出すよう要請したのです。
 これに対する自民党は、この選挙に勝利して小沢に土をつける
ことによって、メール問題で傷ついた民主党にさらなる打撃を与
えるべく、武部幹事長自ら陣頭指揮をとり、小泉チルドレンを動
員して街頭に立たせたのです。
 しかし、小沢の選挙は完全に自民党の虚を衝くものであったの
です。全国からやってきた国会議員にはいっさい街頭に立たせる
ことはせず、全議員から提出させた千葉県関連の名簿を基に徹底
的に水面下で活動させたのです。街頭演説をするべきだと主張す
る議員に小沢はこういっています。
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 あなたたち国会議員のことなんか、だれも知らない。マイクな
 んか持ってもしかたない。   ――野地秩嘉/小塚かおる著
      『小沢選挙に学ぶ/人を動かす力』/かんき出版刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 そして弁護士出身の議員には、徹底的に選挙区内の弁護士事務
所を訪問させたのです。当時弁護士会は完全に自民党の勢力下に
あったのですが、弁護士バッジをつけた人間が同業者を訪ねれば
必ず会ってくれることを小沢は知っていて訪問を命じたのです。
 そして小沢がはじめて選挙区内に入って行った先は、太田和美
候補の事務所ではなく、千葉県の最北で田園風景が広がる関宿町
(現・千葉県野田市)だったのです。そして、その関宿町に本籍
がある鈴木貫太郎――第42代内閣総理大臣の記念館の前で演説
したのです。茨城と埼玉に囲まれた小さな町ですが、小沢が来る
というので、200〜300人も集まったのです。こういう場所
で小沢一郎という政治家はとても人気があるのです。そのとき、
小沢はビール箱の上に立って演説をしています。上から目線にな
ることを小沢は嫌うからです。
 現在、マスメディアでは70%の国民は幹事長を辞めるべきだ
としていますが、地方に行くと今でも根強い小沢人気があり、大
勢の人が集まるといいます。
 小沢が二度目に選挙区入りをしたのは流山市なのです。選挙区
の中では中くらいの規模の街ですが、このとき小沢は候補者の太
田とともに自転車で遊説をしているのです。当然のことながら、
マスコミはこの遊説風景を撮ってテレビで放映したのです。その
とき小沢が自転車に乗れるのを見てびっくりした有権者がいるほ
どです。自転車遊説は小沢のような有名人がやるからこそ報道ネ
タになることを小沢自身がよく知っているのです。
 そして小沢が三度目に選挙区に入ったのは、最も人通りの多い
新松戸駅前だったのです。ようやく繁華街にやってきたのです。
これこそ小沢流選挙の真髄である「川上から川下へ」の鉄則なの
です。『小沢選挙に学ぶ/人を動かす力』の著者は、これについ
て次のように書いています。
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 川の下流で問題が起こるとき、その原因の多くは上流にある。
 それと同じで、「川下の票を効果的にとるためには、まずは川
 上を押さえよ」というのが「小沢選挙」の鉄則なのだ。川上は
 高齢者が多く、人口も少ない。しかし、親世代の声は、必ず川
 下の子どもや孫へ伝播するというのである。 ――前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢の来る前の民主党であれば、真っ先に新松戸駅前を遊説場
所に選んだはずです。代表がわざわざ行くのだから、人が少なけ
れば話にならないと考えるわけです。むしろ、それが常識ではな
いかと考える人が多いのです。
 ちょうど小沢が関宿町に入った日、自民党候補、斎藤健氏のた
めに小泉首相は松戸市の大手スーパー前や野田市役所前で演説を
しています。そのとき、小泉は党本部からまわした大型の選挙カ
ーの上から演説をしています。完全に有権者を見下ろすかたちで
演説を行っているのです。選挙の考え方、やり方が自民党と小沢
民主党ではまるで違うのです。
 テレビで報道される小沢の演説では、大型選挙カーで有権者を
見下ろすかたちで選挙演説をしている姿はほとんどみられないの
はこのためです。        ―――[小沢一郎論/38]


≪画像および関連情報≫
 ●民主党・太田和美氏(衆院千葉7区補選)の勝因分析
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  今回、民主党の太田和美氏が当選した要因として、様々な見
  方がされています。「小沢効果・小沢旋風」、「小泉自民党
  にあまり勝たせ過ぎたという有権者の思い」、「小沢流のド
  ブ板選挙手法の効果」、「『格差拡大社会の是正』の主張が
  受けた」、「小泉チルドレンの大量投入に有権者が飽きた」
  「武部勤考案の『ジャンケンパフォーマンス』が逆に反感を
  買った」、「小沢一郎が自転車に乗った」等々・・。どれも
  当てはまると思いますし、選挙というのは様々な諸事情が複
  雑に絡み合ったゆえに出てくるものなのだと思います。
  http://soy-cerveza.at.webry.info/200604/article_7.html
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民主党/太田和美氏.jpg
民主党/太田和美氏
posted by 平野 浩 at 04:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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