2010年02月10日

●「記者クラブ廃止に向けての小沢の戦略」(EJ第2751号)

 記者クラブを廃止する――これは小沢が自民党の幹事長時代か
ら密かに抱いている目標といえます。しかし、記者クラブを廃止
するというのは容易ならざることです。それは時間をかけてひと
つずつ既成事実を積み重ねていくしかない――小沢はそのように
考えていたのです。
 そこで小沢は自民党時代に記者懇を廃止し、記者会見をオープ
ンにしたのです。そして野党党首時代に野党でもできることをも
う一つやっているのです。
 それは外遊随行記者団の公開参加なのです。野党党首、それも
野党第1党党首の外国訪問ともなると、野党クラブは随行取材団
を編成します。この野党クラブは既に述べたように、記者クラブ
に属しているのです。
 政治部記者にとって、総理大臣や野党党首の外国訪問の随行取
材記者の一員として選ばれることは大変名誉なことであり、これ
こそ記者クラブ記者の特権だったのです。そこにフリーメディア
の記者たちが参加することなどあり得なかったのです。
 1996年5月、小沢は新進党党首として中国を訪問し、江沢
民国家主席、李鵬首相など中国の政府や共産党最高幹部と会談し
ています。このときの随行取材団は総勢25名であり、新進党議
員10数名の中に若き日の岡田克也氏の顔もあったのです。
 このときの随行取材団の中には、記者クラブ15社17名のほ
か、地元岩手の放送2社と県紙1社3名、週刊誌3社5名の記者
クラブ以外のメディアの参加を認めているのです。
 これは野党クラブにとって大ショックであったのです。しかし
正面切って反対できないので、「小沢は自分に好意的なメディア
を選んで随行記者団に参加させている」という記事を書いて対抗
するのが、せいいっぱいであったのです。
 しかし、中国では野党クラブの求めた記者懇に応じ、記者クラ
ブにサービスをしているのです。そのとき、小沢は記者懇で、自
民党が社会党、新党さきがけとの連立を解消するなら、新進党と
して協力もあり得るという重要なコメントをしているのです。小
沢は野党クラブにも配慮を示しているのです。
 そして今回の政権交代では小沢は与党民主党の幹事長であり、
記者クラブの廃止、開放が決まる可能性は高まったといえます。
記者クラブ側の危機感は相当あると思います。まして民主党は選
挙でも「記者クラブ廃止」を公言しているからです。
 しかし、記者クラブとして直接小沢を攻撃するのは問題がある
ので、渡辺乾介氏によると、非常にトリッキーな手法を使って小
沢を攻撃しているというのです。
 それは「小沢対反小沢」という構図を作って、反小沢側の小沢
批判に寄生することによって小沢を叩くという手法です。したが
って、小沢事務所にかかわる昨年来からの秘書逮捕は渡りに船の
事件であったのです。
 この裏金疑惑によって「小沢はこのように批判されている」と
報道するだけで、記事のリスクを回避して小沢を叩けるし、小沢
本人に取材する必要もないというわけです。そして、小沢を潰せ
ば民主党は崩壊すると考えているのです。
 しかし、これまでに一番小沢を怒らせたのは、組織メディアに
よる福田政権時代の大連立協議をめぐる報道なのです。このとき
組織メディアは、福田首相と野党第一党の小沢との会談の内容よ
りも、その会談の仕掛け人は誰かということに中心を置いた報道
に終始したのです。
 しかし、常識的に考えてこの仕掛け人は福田首相と考えるのが
筋というものです。なぜなら、当時与党の自民党・公明党は、参
院で過半数を持っていないので、法案が通らず困り果てていたか
らです。したがって、民主党党首の小沢に働きかけることによっ
て法案成立に協力してもらいたいとして、会談を申し入れること
はあっても不思議はなかったのです。
 しかし、組織メディアは最初からその仕掛け人は小沢であると
して一斉に報道したのです。これに対して激怒した小沢は、連立
をめぐる政治的混乱を生じたことを理由として、鳩山幹事長に代
表辞任を申し出たのです。2007年11月4日のことです。
 その記者会見において小沢は2枚のペーパーを用意しているの
です。問題はその2枚目のペーパーです。これには、衆議院議員
・小沢一郎名で「中傷報道に厳重抗議する」という標題がついて
おり、おおよそ次の内容だったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 福田総理との党首会談に関する新聞・テレビの報道は、明らか
 に報道機関としての報道、論評、批判の域を大きく逸脱してお
 り、私は強い憤りをもって厳重に抗議いたしたいと思います。
 私の方から党首会談を呼びかけたとか、私が自民・民主両党の
 連立を持ちかけたとか、はては今回の連立構想について、小沢
 首謀説なるものまでが、社会の公器を自称する新聞・テレビで
 公然と報道されております。いずれも事実無根です。――この
 あと一切取材を受けたことはないと断って――それにもかかわ
 らず、事実無根の報道が氾濫していることは、朝日新聞、日経
 新聞等を除き、ほとんどの報道機関が政府・自民党の情報を垂
 れ流し、自ら世論操作の一翼を担っているとしか、考えられま
 せん。それにより、私を政治的に抹殺し、民主党のイメージを
 決定的にダウンさせることを意図した、明白な誹譲中傷報道で
 あり、強い憤りを感ずるものであります。――一部略――
 ──渡辺乾介著、『小沢一郎/嫌われる伝説』より/小学館刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 これは小沢の記者クラブの報道姿勢に対して向けられた怒りで
あり、一種の挑戦状ともとれる内容です。このあたりから小沢対
記者クラブは全面対決に入っていると考えられます。
 現在は大臣によって記者会見のやり方はバラバラになっていま
す。しかし、流れは確実にオープン化に向かっており、いずれ、
記者クラブの存続の是非が問われることになると思われます。
                  ―[小沢一郎論/27]


≪画像および関連情報≫
 ●マスコミ報道の信頼性調査/2010.1.29
  ―――――――――――――――――――――――――――
  マスコミ信頼度調査/中間速報(有効回答6530件)10
  1月29日現在、『設題3:マスコミは信頼できる報道をし
  ていますか?』
  1.どちらかと言えば信頼できる ・・・・・ 36.3%
  2.偏向報道が見受けられる ・・・・・・・ 27.5%
  3.どちらかと言えば信頼できない ・・・・ 18.5%
  4.信頼できない ・・・・・・・・・・・・  8.6%
  5.このままだとマスコミ業界が崩壊して行   5.4%
  6.信頼できる ・・・・・・・・・・・・・  3.0%
  7.その他 ・・・・・・・・・・・・・・・  0.7%
   http://www.olive-x.com/news_ex/newsdisp.php?n=83534
  ――――――――――――――――――――――――――−

小沢幹事長記者会見.jpg
小沢幹事長記者会見
posted by 平野 浩 at 04:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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