2010年01月28日

●「湾岸戦争から13年後の第4幕」(EJ第2742号)

 既出の政治ジャーナリストの渡辺乾介氏は、「小沢一郎VS外
務省」のバトルを次の3幕に分けています。
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 第1幕/外務省幹部による小沢への「申し入れ書」の提出
 第2幕/自衛隊海外派遣を可能にするPKO法成立バトル
 第3幕/第1次湾岸戦争における90億ドル支援のバトル
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、渡辺氏は既に第4幕があったというのです。それは、
第1次湾岸戦争から13年後のことです。
 2003年3月12日、イラク戦争が始まる一週間前のことで
す。ときの首相である小泉純一郎は首相官邸に野党党首を呼び出
したのです。そして、小泉は野党党首と一人ずつ会談をもったの
です。このとき小沢も自由党党首として小泉と会談しています。
 その会談で小泉が各党の党首に何を話したのかは定かではあり
ませんが、米国がイラクと戦争した場合、日本はどうすべきかと
いう話だったようです。小泉は最初から米国支援を決めていて、
そのため一応野党党首の意見を聞いたものと考えられます。小沢
はこのとき冒頭で小泉にこういっているのです。
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 何のためにわれわれ野党の意見を聞くのか。まず、あなたの考
 えを決めることのほうが大事だ。国会の多数を持っているのだ
 から、決めるべきことはそちらが責任をもってやればいい。
 ──渡辺乾介著、『小沢一郎/嫌われる伝説』より/小学館刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 このとき、小沢は小泉に対して、もうひとつ重要なことを聞い
ています。もし、米国がイラクに対する武力行使を認める国連決
議がないまま開戦した場合、日本は米国を支持するのかと聞いた
ところ、小泉は「その場の雰囲気で決める」と答えたそうです。
 2003年3月19日、米英両軍は大量破壊兵器を持っている
ことを理由にイラクを攻撃したのです。このとき米国は日本には
戦争開始後に連絡を入れてきたのです。それも大統領や国務長官
ではなく、国務省の日本担当の副長官からの連絡だったのです。
日本がいかに軽視されているかがよくわかります。
 イラク戦争は、国連安保理決議がないまま、国際社会からその
正当性に疑問を持たれた状況下で、米国の自衛のための戦争とし
て開始されたのです。
 しかし、小泉内閣は日米同盟は重要であり、米国を支援するこ
とが国益になるとして、自衛隊派遣を閣議決定したのです。この
決断に対し、自民党は「日本もようやく“普通の国”になった」
と自画自賛したものですが、小沢はこの決断を次のよう切り捨て
ています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 国際社会から見れば、理解不能の『特殊な国』と思われ、逆行
 している。                 ――小沢一郎
 ──渡辺乾介著、『小沢一郎/嫌われる伝説』より/小学館刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢の言い分はこうです。1991年の湾岸戦争のとき日本は
二重三重の国連決議に基づく平和維持活動に対してさえ憲法を楯
にして各国との共同行動に参加しなかったのです。
 ところがイラク戦争のときは国連決議がないにもかかわらず、
集団的自衛権と武力の行使の一切を否定する憲法解釈をそのまま
にして、簡単に自衛隊派遣を決めています。13年前と考え方が
変わったのでしょうか。まったく整合性がとれない――これは憲
法違反であると小沢はいうのです。
 その後「小沢なき自民党」は、矢継ぎ早に新法を作って、場当
たり的に自衛隊を海外に派遣しています。こういう自民党に対し
て小沢は、次のように批判しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 そもそも、自衛隊は紛れもない軍隊であり、その軍隊を自国の
 領土の外に派遣するというのは、ひじょうに重大な意味を持っ
 ている。日本政府がいくら苦し紛れの理屈を付けてイラクに自
 衛隊を送っても、国際社会がそのまま受け取ってくれるわけで
 はない。「日本はアメリカの戦争を利用して、ふたたび海外に
 軍隊を派遣するための既成事実作りをしようとしているのでは
 ないか」と一部の国々から疑われかねないやり方である。自衛
 隊を派遣するならば、まず日本の立場と方針を明確に説明し、
 その枠の中で行動するのが当然のことであって、「その場その
 場で対応する」という対応は国家のあり方としては下策だ。
                      ――小沢一郎著
  『小沢主義/オザワイズム/志を持て、日本人』/集英社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 第一次湾岸戦争のとき、小沢が国連決議さえあれば現行の憲法
でも自衛隊を派遣できるという主張をしたが、そのとき、多くの
人は憲法の拡大解釈のような感じがしたものです。しかし、これ
と比べると、1990年代半ば以降の自民党の自衛隊の海外派遣
の憲法解釈の方がもっと拡大解釈をしているのです。
 とくに小泉元首相は、そうした憲法解釈に踏み込まず、法的根
拠も曖昧にしたまま、自衛隊をイラクに派遣してしまっているの
です。自衛隊のイラク派遣の名目は「復興支援活動」なのです。
これが拡大解釈でなくてなんでしょうか。
 また、小沢はこうもいっているのです。何が何でも国連決議と
いっているわけではないのです。
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 国際社会全体がアメリカのやり方を支持しなくても、日本の同
 盟や世界平和の観点から、同盟国としてアメリカを支えるとい
 う判断がそこにあるなら、それはそれで国家としての生き方で
 あり、一つの外交政策となりうる。 小沢一郎著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、あのときはそのような判断があったとはとうてい思え
ないのです。          ―――[小沢一郎論/18]


≪画像および関連情報≫
 ●疑惑を持たれてもすぐ辞任しない理由
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  普通の政治家なら、とりあえず国民の批判を鎮めるためにポ
  ストは辞任するかもしれない。しかし、そこが小沢の普通の
  政治家と違うところだ。たとえ相手が検察であろうと、自分
  が正しければ徹底して闘うのである。敵の自民党はもちろん
  マスコミも批判してくるだろうし、身内の民主党の中からも
  批判の声が出るだろうが、自分が正しいと思うことは曲げな
  い男なのだ。              ――平野貞夫著
            『わが友・小沢一郎』より/幻冬舎刊
  ―――――――――――――――――――――――――――

小沢一郎著/「小沢主義」.jpg
小沢一郎著/「小沢主義」
posted by 平野 浩 at 04:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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