国は次の5ヵ国で構成されています。
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1.アメリカ合衆国
2.イギリス
3.中華人民共和国
4.フランス
5.ロシア
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2009年9月末、米大統領が議長を務める安保理事会を開き
核拡散防止条約(NPT)の強化や米露核軍縮の推進によって、
世界の完全な核廃絶を目指すことを決めています。「安保理決議
1887」がそれです。
これは何を意味するのでしょうか。
安保理常任理事国の5ヶ国は、いずれも核兵器を保有しており
それが常任理事国であることにつながっています。つまり、米国
はこれらの常任理事国が核武装することを暗黙のうえ認めてきた
疑いがあります。5大国による世界支配体制を作るためです。
しかし、「安保理決議1887」は、そういう5ヶ国の核廃絶
を求めているのです。現在では、5大国以外にも核兵器を保有す
る国が増えてきており、そういう意味からも「安保理決議188
7」が決議されたのです。
核兵器は実際に使えない兵器です。しかし、核兵器は単独覇権
型の世界支配の道具としては使えます。「核の力」で紛争を抑止
するからです。
これに対して多極型の世界──国家間民主主義の場である国連
では、「核の力」ではなく「数の力」がモノをいうようになって
きています。これによって現在、国連では、BRICsや発展途
上国の発言力が増加しつつあります。
米国のオバマ政権の誕生を契機として、こうした多極型の世界
がしだいに形成されつつあるのです。それはどのような世界なの
でしょうか。田中宇氏は次のように述べています。
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国連が世界政府となる多極型の新世界秩序は、世界の各地域が
その地域の大国を中心に協調し、内戟や紛争をできるだけ地域
内で解決する体制である。従来のような、米英が全世界の地域
紛争に介入する体制は終わる。米国は、世界の中心から北米地
域の中心に自らを格下げする。東アジアでは中国が中心となり
そうだ。こうした政治面での地域ごとの安保体制作りは、経済
面での地域通貨統合や自由貿易圏作り、IMFでの新興諸国の
発言権増大などと並行して進んでおり、全体として世界体制の
多極化の流れとなっている。
――田中宇著『日本が「対米従属」を脱する日』/風雲舎刊
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そういう時代においても日本は「対米従属」を取り続けていま
す。何とかアジア重視に舵を切ろうとした小泉政権に続く安倍政
権、福田政権、そして麻生政権はいずれも対米従属を続けようと
していたのです。
どうしてそこまで「対米従属」にこだわるのでしょうか。
戦後の日本は、米国中枢内の多極主義派と米英中心主義派のう
ち、米英中心主義派、すなわち、冷戦派の影響を強く受けている
のです。その冷戦派は占領軍として、日本に政治家よりも官僚機
構が権力を持つ現在の国家統治スタイルを築き上げたのです。そ
の方が日本をコントロールしやすいと考えたからです。そのスタ
イルが現在まで続いてきたのです。
ところが、民主党政権になって政治主導が打ち出され、戦後現
在まで続いてきたスタイルが崩れそうになってきています。その
ため、官僚機構は何とかして「対米従属」に戻そうとして必死に
なっているのです。
しかし、現在米国はオバマ大統領の率いる民主党政権になって
おり、多極主義派が力を持っています。もちろん表面的には米英
中心主義を続ける姿勢ですが、オバマ大統領が就任後にやってい
ることを分析すると、明らかに多極主義に向かうことを決めてい
るようにみえます。したがって、田中宇氏は、オバマ政権のこと
を「隠れ多極主義」と名付けているのです。
小泉政権を引き継いだ安倍首相と麻生首相は、米大統領と会談
できる前に半年間待たされています。とくに安倍首相の場合は、
強い対米従属を考えていたにもかかわらず、訪米の前に訪中・訪
韓を、おそらく米国の強い要望によってさせられているのです。
麻生首相は就任後にブッシュ大統領と会おうとしたのですが、
折からのリーマンショックなどの金融危機への対応を理由に断ら
れています。結局オバマ大統領になってから、2月25日に会っ
ていますが、歓迎の晩さん会もなく、ワーキング・ランチで片づ
けられています。安倍元首相も同様です。
しかし、鳩山首相は就任から10日後の9月23日にオバマ大
統領と会っています。そんなこと、たまたまニューヨークでの国
連総会に両者が出ていたので会えたに過ぎないのではないかと考
える人が多いと思いますが、その前にオバマ大統領に正式会談を
申し入れていた英国のブラウン首相が断られているのです。
まして鳩山首相は就任前から反米的とみなされる方針や言動を
発しており、米国が会談を断ってもおかしくはなかったのです。
それが25分間ではあっても、あっさりと会ってくれ、悪意のあ
るメッセージを何も受けていないのです。しかも、11月12日
にはオバマ大統領は来日を果たしているのです。
それに対してブラウン首相は、条件を変えて5回もオバマ会談
を要請したのですが、すべて断られています。そこでブラウン首
相は国連本部内でオバマ大統領を追っかけ、人混みを避ける目的
裏道として厨房内を通ったとき、オバマ大統領をつかまえて10
分ほど立ち話をしたというのです。鳩山首相がオバマ大統領にす
ぐ会えたのは大変なことなのです。―――[小沢一郎論/09]
≪画像および関連情報≫
●オバマは隠れ多極主義である
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オバマは国連総会を機に鳩山のほか、中国、ロシアの首脳と
も2者会談を行った。オバマが親米のはずの英国との会談を
断る一方、反米的な中露とは会談したのはいかにも「隠れ多
極主義」的だが、会談相手の中に反米的な日本の鳩山が入っ
ているのは、新政権になった日本がようやく世界の多極化に
対応して「非米同盟」の方向に傾いたことを象徴しており、
興味深い。
――田中宇著『日本が「対米従属」を脱する日』/風雲舎刊
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ブラウン英国首相


