あるのです。フィリピンがそうです。
1986年2月フィリピンにおける民衆革命の成功によってマ
ルコス政権が倒され、コラソン・アキノ大統領の下で自由民主党
政府が成立してフィリピンは劇的に変化したのです。さらに19
87年2月には、フィリピン国民は圧倒的多数の投票で、フィリ
ピン国内の米軍基地の維持を継続する条件を制限する条項を含む
新しい憲法を批准したのです。
この憲法を盾にしてフィリピンは米軍を基地から追い出したの
です。フィリピンは日本以上に米国への依存度が強い国ですが、
それでいてフィリピンと米国の関係はそれほど悪化していないの
です。日本も第3海兵遠征軍を国外に移すよう国会決議をすれば
可能ですが、その勇気が日本にないだけです。いや、そこまでし
なくても、もともと米軍は着々とグアムに海兵隊の移転を実行に
移しているからです。引き止めなければよいだけの話です。
キルギス共和国という国があります。キルギス共和国は中央ア
ジアの北東部に位置し、西はウズベキスタン、北はカザフスタン
南はタジキスタン及び中国と隣接する国です。ここにも米軍基地
があるのですが、キルギス共和国政府は、米軍から空港使用料を
取り、しかも最近それを引き上げているのです。「米軍を駐留さ
せてやっている」キリギス共和国に対して「駐留していただいて
いる」日本――きわめて対照的です。
辺野古の海域には、ジュゴンが10頭から50頭ほどいると推
測されています。ジュゴンは珊瑚に生える海草を餌にしているで
すが、海上に滑走路が建設されると、その珊瑚が死に絶え、ジュ
ゴンの餌がなくなり生存が脅かされるというのです。沖縄防衛局
の環境アセスメントは、非常にいい加減で結論ありきとしか思え
ない内容であり、そのやり直しを求め現在、提訴中であるといい
ます。ジュゴン保護運動は、米国の環境団体からの支援も受けて
おり、本国で訴訟も起こしているところです。
既出の田中宇氏は、米前国防長官ラムズフェルド氏ですら、美
しい辺野古沿岸を壊すことになるので移設案には必ずしも賛成で
はなかったとして、次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
米軍再編は軍のハイテク化をともなうので、米国の防衛産業に
は利益になる。防衛産業の代理人だった米国のラムズフェルド
前国防長官は米軍再編の推進に熱心だった。彼は普天間基地も
代わりの辺野古基地も要らないと思っていたようで、2003
年の沖縄訪問時に「辺野古(移設案)はもう死んでいる」と述
べた。彼は「辺野古の海は美しい」とも言い、反対派の理論に
依拠して辺野古移設案を潰し、引き留める日本政府を振り切ろ
うとした。しかしその後、日本政府による米軍再編への資金提
供の追加買収作戟が効いたのか、ラムズフェルドは黙り、辺野
古移設案は復活した。
――田中宇著、『日本が「対米従属」を脱する日』/風雲舎刊
―――――――――――――――――――――――――――――
日本人の米国観は、すべて外務省というフィルターを通ったか
たちで作られています。日本の大学の国際政治学者は、外務省の
息のかかった人物が配置され、テレビなどによく登場する外交の
専門家の多くも外務省寄りの人物で占められています。
新聞記者やテレビのコメンテーターなども、外務省の意向を無
視して書いたり、話したりすると、少しずつ第一線から外されて
いくようになっています。外務省の米国についての意向とは、次
のようなことです。
―――――――――――――――――――――――――――――
1.米国は怖い。米国に逆らったら、日本は破滅する
2.対米従属を今後も続ける限り、日本は安泰である
3.日本独力では中国や北朝鮮の脅威に対抗できない
―――――――――――――――――――――――――――――
米国が何を望んでいるかは、すべて外務省を通じて日本側に伝
えられ、通訳を務める外務省は、自分たちに都合のよい米国像を
日本人に植え付け、これまで日本人に一定の米国観を持たせるこ
とに成功しています。そして、日本が外務省の考え方と違う方に
動こうとすると、米国のVIPに頼んで、ガイアツをかけさせる
――まさに外務省は、米国という虎の威を借りる狐の役割を演じ
ているのです。
そして、大新聞、テレビなどのマスコミも外務省と歩調を合わ
せて、対米従属プロパガンダ機構と化しています。したがって、
政治主導を貫こうとする民主党政権は、外務省をはじめとする巨
大な官僚機構と同様に巨大な宣伝力を持つマスコミを相手に戦う
必要があり、大変な苦労を強いられているのです。
民主党政権は、政治主導を前面に掲げて、官僚のブリーフィン
グをいち早く禁止し、事務次官の廃止などを検討していますが、
これは政府の政策の方向が歪められるのを少しでも防ごうとして
いるのです。しかし、官僚機構はマスコミに情報をリークし、マ
スコミがそれにバイアスをかけて伝えるので、効果は上がってい
るとはいえない状況にあります。このことに関連して田中宇氏は
次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
官僚機構は、ブリーフィングや情報リークによってマスコミ報
道を動かし、国民の善悪観を操作するプロパガンダ機能を握っ
ている。冷戦が終わり、米国のテロ戦争も破綻して、明らかに
日本の対米従属が日本の国益に合っていない状態になっている
にもかかわらず、日本のマスコミ論調は対米従属をやめたら日
本が破滅するかのような価値観で貫かれ、日本人の多くがその
非現実的な価値観に染まってしまっている。
――田中宇著、『日本が「対米従属」を脱する日』/風雲舎刊
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来週のEJから、本来のテーマである小沢一郎が前面に登場し
てきます。 ―――[小沢一郎論/05]
≪画像および関連情報≫
●土佐高知の雑記帳/コラソン・アキノ元大統領の死を悼む
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フィリピンのコラソン・アキノ元大統領が亡くなった。76
歳、若すぎる死である。1986年のフィリピン革命の象徴
であり、当ブログにとっては知り合いに似た人もいたので、
ひと一倍親しみがあった。(中略)フィリピンはアメリカの
基地協定拡張を拒否し、両基地はフィリピンに返還された。
フィリピンの米軍基地は、途中で日本軍による占領もあった
が、1903年から1991年まで88年も続いた。日本の
米軍基地は1945年から64年。フィリピンと並ぶのは、
2033年である。それまでに返還させられないものだろう
か。http://jcphata.blog26.fc2.com/blog-entry-1593.html
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「日本が『対米従属』を脱する日」


