2010年01月05日

●「宜野湾市伊波市長が入手した情報」(EJ第2726号)

 普天間基地の話を続けます。なかなか小沢一郎が出てきません
が、新聞やテレビで報道されていない前提的事実を明らかにしな
ければ、この国の政治――特に密約がらみの日米関係の奇々怪々
の事情はわからないと思うからです。
 米軍は、世界各国の基地の施設や設備に関する計画を数年ごと
にマスタープランとしてまとめているのです。普天間基地につい
ては、1980年と1992年にマスタープランが作られていま
す。これらは非公開文書ですが、1992年のマスタープランを
宜野湾市が手に入れ、ウェブサイトに公開しているのです。
 宜野湾市が入手した1992年のマスタープランの序文には、
1992年計画は1980年計画を踏襲したものであること、そ
れに加えて、それとは別に1985年計画の草案が作成されたが
採用されなかったということが書いてあるというのです。
 ちなみに宜野湾市とは、沖縄県の人口の80%が集中する沖縄
島中南部の中央に位置する都市で、市の中央には普天間基地があ
るのです。宜野湾市の現伊波洋一市長は情報収集力があり、こう
した文書をいち早く手に入れることで定評のある市長です。
 2009年11月26日と12月11日にも伊波市長は、与党
議員に対し、最新情報に基づいて講演を行っているのです。その
ときのレポートが次のサイトに出ています。あとからこの内容に
ついても書きますが、目を通しておかれると参考になります。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「普天間基地のグァム移転の可能性について」
http://www.city.ginowan.okinawa.jp/2556/2581/2582/37840/37844.html
―――――――――――――――――――――――――――――
 さて、草案が作られ、採用されなかったという1985年のマ
スタープランの内容です。そのマスタープランの内容は「普天間
基地の閉鎖・返還計画」ではなかったかといわれているのです。
 1985年の時代背景を考えてみましょう。当時の米国のレー
ガン政権は、1982年にソ連と戦略兵器削減交渉を開始してい
ます。そして1986年にはレーガンとゴルバチョフがレイキャ
ビクで会談し、この時点から冷戦終結の交渉が具体化しているの
です。したがって、1985年に冷戦終結を予測し、沖縄の基地
縮小を考えたとしても不思議ではないのです。
 それがなぜか撤回され、米軍が日本に恒久駐留することになっ
てしまったのでしょうか。
 それは、撤退しようとする米軍に対して、日本政府が「駐留費
を負担する」ことを条件に残って欲しいと頼んだからです。いわ
ゆる「思いやり予算」です。この思いやり予算は70年代からは
じまっているのですが、そのときは基地で働く日本人の福利厚生
や給料の一部を負担することが趣旨であったのです。
 しかし、この思いやり予算が1985年を境にして倍増してい
るのです。現在は思いやり予算は、小泉政権以降は約2000億
円といわれていますが、実際はこんなものではないのです。
 これに加えて、米軍基地用地の地代(賃料)や基地周辺住民へ
の対策費も支出しており、その総額は6000億円以上に膨張す
るのです。仮に6000億円としても、在日米軍4万人とした場
合、実に米兵一人当たり1000万円以上のお金を在日米軍は受
け取っていることになります。米軍にとってこんなおいしい話は
ないのです。
 ネットジャーナリストの田中宇氏によると、駐留費の日本の負
担額について次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 05年の米国防総省の発表によると、日本政府は在日米軍の駐
 留経費の75%(44億ドル)を負担している。世界規模で見
 ると、米軍が米国外での駐留で必要とする総額は年に約160
 億ドルといわれるが、そのうち米国自身が出すのは半分以下で
 駐留先の地元国が85億ドルを負担している。44億ドルを出
 している日本は、全世界の地元国の負担の半分を一国だけで出
 している。日本は、米軍の米国外での駐留費総額の4分の1を
 出している。日本だけが突出して米軍に金を出しているのだか
 ら、日本政府がその気になれば激減できるはずだ。日本政府が
 米軍を買収している構図は、ここからもうかがえる。
  ――田中宇著『日本が「対米従属」を脱する日』/風雲舎刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 戦争を放棄する憲法を盾にして、国の安全保障を米軍にお金を
払って買っている国、それが日本です。しかし、それでもなお、
米軍は普天間からグアムに海兵隊をほとんどすべて引き揚げよう
としているのです。それは、伊波市長のレポートをていねいに見
れば明らかなことです。
 2009年6月4日に米国海兵隊司令官ジェイムズ・コンウェ
イ大将が上院軍事委員会に「米国海兵隊の軍事態勢」に関する報
告書を提出し、沖縄からグアムへの海兵隊の移転を評価して次の
ように記述しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 日米再編協議の重要な決定事項の一つは、約8000人の海兵
 隊員の沖縄からグアムへの移転である。これは、沖縄で海兵隊
 が直面している、民間地域の基地への侵害を解決するためのも
 のである。グアム移転により、アジア・友好同盟国との協働、
 アメリカ領土での多国籍軍事訓練、アジア地域で想定される様
 々な有事へ対応するのに有利な場所での配備、といった新しい
 可能性が生まれる。適切に実施されれば、グアムへの移転は即
 応能力を備えて前方展開態勢を備えた海兵隊戦力を実現し、今
 後50年間にわたって太平洋における米国の国益に貢献するこ
 とになる。グアムや北マリアナ諸島での訓練地や射撃場の確保
 が、海兵隊のグアム移転の前提であり必須条件である。
      ――米国海兵隊司令官ジェイムズ・コンウェイ大将
―――――――――――――――――――――――――――――
 伊波市長の資料を見ると、事実上海兵隊の総引き上げと考える
のが自然です。         ―――[小沢一郎論/02]


≪画像および関連情報≫
 ●グアム移転の10部隊/伊波洋一市長資料より
  ―――――――――――――――――――――――――――
  2008年9月15日に、海軍長官から米国下院軍事委員会
  議長に国防総省グアム軍事計画報告書として「グアムにおけ
  る米軍計画の現状」が報告された。その中で沖縄から移転す
  る部隊名が示されており、沖縄のほとんどの海兵隊実戦部隊
  と、岩国基地に移転予定のKC130空中給油機部隊を除い
  て、ヘリ部隊を含め普天間飛行場のほとんどの関連部隊がグ
  アムに行くと示された。米海兵隊第1海兵航空団で図示する
  と黄色で表示した10部隊。
  ―――――――――――――――――――――――――――

グアムに移転するとされる部隊.jpg
グアムに移転するとされる部隊
posted by 平野 浩 at 04:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 小沢一郎論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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