2009年12月21日

●「『砂場』から『大平原』への大転換」(EJ第2719号)

 ここで、単なる携帯電話がPCに近い機能を持つスマートフォ
ンに進化するまでの歴史を開発者という立場から振り返ってみる
ことにします。
 第1に取り上げるべきは、NTTドコモによる「iアプリ」と
いう仕組みです。「iモード」が出たのは、1999年のことで
あり、「iアプリ」は2001年からはじまっています。既出の
佐々木陽氏は「iアプリ」は携帯業界における破壊的なイノベー
ションであるといっています。
 それは、世界で初めて日本で「携帯電話向けアプリケーション
・ビジネス」が立ち上がったからです。確かにこの時点でNTT
ドコモは、世界の携帯市場をリードする存在であったことは確か
なことです。
 ところで、「iアプリ」とは何でしょうか。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「iアプリ」というのは、NTTドコモの携帯電話で実行でき
 る「Java」を使用する「Java」アプリケーションおよびサービ
 スのことである。           ――ウィキペディア
―――――――――――――――――――――――――――――
 「Java」の世界には「砂場」――サンドボックスという考え方
があります。サンドボックスについてケータイ・アプリの開発者
である佐々木陽氏は次のよう説明しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「iアプリ」のモデルは、「Java」の世界でいうサンドボック
 ス(砂場)モデルです。セキュリティの関係で、僕らに与えら
 れたアプリケーションを書ける場所は砂場しかありません。世
 の中は広く、いろいろな環境や土地がありますが、僕ら携帯ア
 プリを作るエンジニアに与えられた環境は砂場だけ。非常に狭
 い場所です。ただ、それでも画期的でした。それまでは僕らが
 活躍できるフィールドがなかったのですが、それがある日突然
 サンドボックス・モデルが登場して、砂場で遊べるようになっ
 たのです。         ――日経コミュニケーション編
           『iPhone の本質とAndroidの真価』より
―――――――――――――――――――――――――――――
 本来、サンドボックスというのは公園などにある子供の遊び場
の砂場のことです。ウェブページに配置された「Java」アプレッ
トやフラッシュ、「Java」スクリプトなどのプログラムは自動的
に実行されます。
 これらのアプリは気づかないうちにコンピュータ上にあるファ
イルを盗み見たり、書き換えてしまったり、あるいはコンピュー
タウイルスに感染する恐れがあります。そこで安心してウェブサ
ーフィンを楽しめるように提供されたのが、そういった攻撃ので
きない、セキュリティに守られた安全な砂場――それが、サンド
ボックスなのです。
 第2に取り上げるべきは、J−フォン(現・ソフトバンクモバ
イル)が同社のネットサービス「J−SKY」用の「Java」なの
です。「iアプリ」用の「Java」とどう違うのでしょうか。
 佐々木氏は、「砂場であるが、遊具が付いている」という面白
い表現を使っています。ここで遊具というのは、3D(三次元画
像)エンジンのことです。この3DのAPI――アプリケーショ
ン・プログラミング・インターフェース――に「Java」アプリ上
からアクセスできるようになったのです。
 ここで「API」について説明します。APIを電気のコンセ
ントにたとえるのです。パンを焼きたいとき、トースターをコン
セントにつなぎます。これは、どこの家でも、どんな人でも同じ
ようにしてトースターを電源につなぐはずです。それは、どこの
家でも標準化されたAPIを備えているからです。APIとはそ
ういうものです。
 「J−SKY」用の「Java」では、「iアプリ」からAPIを
通して3D――三次元画像にアクセスできるので、砂場であるが
砂場を忘れさせる拡張性があるのです。
 第3に取り上げるべきは「BREW」――ブリューです。20
04年に米国のクアルコム社が開発し、日本国内ではKDDIが
採用しています。「BREW」についての説明はビジネスメディ
ア「誠」の次の説明を引用します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 現在auの端末は、基本的に全機種が「BREW」対応になっ
 ている。携帯上で動かすアプリを利用しようとする場合、ドコ
 モユーザーにとっての「iアプリ」に対し、auユーザーは、
 「BREW」アプリを使うことになるが、しかしアプリの配布
 ・運営の点において、「iアプリ」と「BREW」アプリには
 大きな違いがある。それは「iアプリ」が自由に開発・配布が
 できるのに対し、「BREW」アプリはKDDIの承認を得な
 くてはエンドユーザーへ配布できないというところだ。さらに
 言えば「BREW」アプリを配布するには原則としてKDDI
 のサーバにアップロードし、そこからユーザーがダウンロード
 する形を取らなくてはならないという決まりがある。これは自
 前のサーバにアップロードし、そこからユーザーに配布できる
 「iアプリ」とは大きな違いといえる。
 http://bizmakoto.jp/bizmobile/articles/0508/30/news004.html
―――――――――――――――――――――――――――――
 これについて、佐々木陽氏は「これは僕らからするともう大平
原であり、すべてできる。砂場ではない。しかし、入口と出口に
は警備員がいる」という面白い表現を使っています。これは「B
REW」を開発するには許可がいることをあらわしています。つ
まり、「許可が必要な大平原」であるといえます。
 そして第4に取り上げるべきは、2008年のアイフォーン3
Gの登場になるのです。佐々木氏によると、「何の許可もいらな
い自由な大平原」であるといっています。しかし、たまには入れ
ない柵付きの場所もある――佐々木氏はこのように表現している
のです。    ──[クラウド・コンピューティング/47]


≪画像および関連情報≫
 ●「BREW」その将来は?/三田隆治
  ―――――――――――――――――――――――――――
  2003年1月29日、KDDIは、かねてより一部の端末
  で採用されていたアプリケーションプラットフォームを今後
  発売するauの第3世代携帯電話機に順次導入していくと発
  表しました。携帯電話に搭載するアプリケーションとして、
  今までKDDIはNTTドコモの「iアプリ」の後塵を拝し
  てきました。ドコモの「iアプリ」対応モデルは現在約16
  00万台が出荷されていますが、これはKDDIの「Java」
  搭載端末約400万台の4倍にも当たる数です。今後KDD
  Iはローエンドの機種に対しても、「BREW」サービスを
  搭載していく方針であり、年間で700万台程度の「BRE
  W」対応端末を出していくとしています。つまり1年後には
  700万台ほどが「BREW」対応ケータイとなるというわ
  けです。
  http://japan.internet.com/column/allnet/20030206/6.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

「BREWアプリ」/お天気時計.jpg
「BREWアプリ」/お天気時計
posted by 平野 浩 at 04:18| Comment(0) | TrackBack(0) | クラウド・コンピューティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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