スマートフォンは着実に顧客層を広げています。調査会社のMM
総研の調査によると、2007年度に国内で21万台――携帯電
話全体の0.4 %に過ぎなかったスマートフォンは、2010年
度には250万台――同7.7 %になると、予想されています。
アップル社のアイフォーンは、全世界で累計3000万台を販
売し、日本では発売以来100万台以上を販売しています。この
マシンはアップル社独特のコンセプトで作られており、今後日本
国内でも大きく伸びると予想されます。
グーグル社は、今年の10月に携帯メーカーに無償で提供する
携帯端末向けのOS「アンドロイド2.0」 の提供を開始しまし
たが、早くも台湾HTC社は、NTTドコモからアンドロイドを
搭載したスマートフォン「HT−03A」を販売しています。そ
して、2010年にはシャープもアンドロイド搭載端末を出すこ
とが伝えられています。
この台湾HTC社とは、1997年創業の企業で、設立当初か
らPDAやスマートフォン端末を開発し、世界50ヶ国以上でビ
ジネスを展開しています。
日本では、2006年にソフトバンク・モバイル、NTTドコ
モ、イー・モバイルから携帯端末を出しており、今年になって、
KDDIからも製品を出荷して、国内4キャリアすべてに製品を
提供する有力なメーカーなのです。
おそらく2010年には数多くのメーカーからアンドロイド端
末が発売されると考えられますが、果たして非アンドロイドであ
るアイフォーンにどこまで迫れるか注目されます。アップル社の
戦略は実に入念に練られており、後発のアンドロイド端末は相当
苦戦を強いられると予測されるのです。
なぜなら、アイフォーンは2007年に初代モデルを発売し、
2008年にはアイフォーン3G、2009年にはアイフォーン
3GSと機能を強化させているのに対し、アイフォーンに対抗す
るアンドロイド搭載のスマートフォンでは、日本製品はまだ発売
されていないのです。こんなことで果たしてアップル社に追いつ
けるのでしょうか。
初代アイフォーンで世界の端末メーカーが仰天したのがアップ
ル社のタッチパネルの使い方のうまさです。それまでにもタッチ
パネルを採用した端末はありましたが、その利用レベルやユーザ
ーインターフェースのできは、決して優れたものとはいえなかっ
たのです。
初代アイフォーンの発売以降、世界の端末メーカーはアイフォ
ーンのタッチパネルの使い方を意識して、端末に組み込むケース
が増えています。そのため、タッチパネルの生産量が急増してい
るのです。米「PCワールド」誌は、これに関して次の記事を書
いています。
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今年度は全世界で3億4100万枚の出荷が見込まれているも
のが、2012年には6億8200万枚、さらに2013年に
は、8億3300万枚に達し、64億ドルの巨大市場を築き上
げるというのである。 ――大谷和利著
『iPhone をつくった会社』/アスキー新書/073
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これによって、NTTドコモはシャープ製の「FOMA/SH
906i」というタッチパネル端末を投入しています。このよう
にこの会社は素早く手を打つのですが、肝心のトップには自社の
製品のことがよくわかっていないようなのです。
『iPhone をつくった会社』の著者である大谷和利氏は、当時
のNTTドコモの社長であった中村維夫氏のことを「キャリアの
トップ自身が自社扱いの製品についてよくわかっていないのでは
ないかと思わせる」として、次のような話をしているのです。
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中村社長は、ドコモがアイフォーンを扱う可能性がないことを
語った後で、記者からアイフォーン(初代モデル)を持たされ
「アイフォーンは若干重いですね、やはり」、「今日本のは軽
いですからね、ものすごく」と感想を述べた。急な取材を受け
何か自社に有利な印象を残そうとして、思いついたことをうっ
かり発言してしまったのだとは思うが、実際のところ、アイフ
ォーンは決して重い端末ではない。それどころか、例えば最新
の「FOMA906i」シリーズ8機種のうち、3機種が初代
アイフォーン(135グラム)と重量が同等あるいは重く、アイ
フォーン3G(133グラム)に至っては4機種が同等あるいは
重い。しかも、アイフォーンはそれらすべての機種の中で最大
となる3・5インチ液晶ディスプレイを搭載し、公称の連続通
話時間も「FOMA906i」シリーズで公表されている3機
種との比較で1・3〜1・5倍確保されている。
――大谷和利著
『iPhone をつくった会社』/アスキー新書/073
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信じがたいことですが、日本のキャリアのトップにはこういう
ことは不思議ではないのです。大会社から天下りでやってきた人
ですから、自社製品のことすら理解していないケースが他のこと
でも散見されるのです。大谷氏はその点を衝いているのです。
その点、ソフトバンク・モバイルの孫正義氏は別格です。IT
全般に関しては社内の誰よりも詳しく、自社製品のことはいうに
及ばず、その詳細にいたるまで理解しており、ネットワークやそ
れに関する法律に関しても詳しく理解している――技術の先端を
行く企業のトップはこうでなければダメなのです。
私が長い間使ってきたNTTドコモをソフトバンクに変更した
のは、同社のトップをはじめとする経営幹部の発言のブレなどに
失望したからです。私自身アイフォーンを使っていますが、アッ
プル社の技術力の高さとその先見性に驚嘆しているところです。
――[クラウド・コンピューティング/36]
≪画像および関連情報≫
●「HT−03A」の詳細について
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HT−03Aは、アンドロイドというOSを日本で初めて
搭載したスマートフォン。アンドロイドは、業界団体「O
HA」による、主に携帯電話をターゲットとしたプラット
フォーム。OHAはグーグルがが中心となって設立した業
界団体で、ドコモも参加している。グーグルがOHAやア
ンドロイド開発を主導していることもあり、アンドロイド
はグーグルのオンラインサービスとの親和性が高い。発表
会のプレゼンテーションでは、「ケータイするグーグル」
とも紹介された。
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/45367.html
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NTTドコモ/HT−03A


