2009年11月30日

●「日本のケータイはガラパゴス」(EJ第2704号)

 日本の携帯電話端末メーカー全社の世界シェアは5%を切って
います。この数字、実は不思議な数字なのです。なぜなら、日本
のメーカーが外に出て行っていないし、海外のメーカーが日本に
入っていないからです。
 しかも、日本人の持っている携帯電話──あえてケータイと呼
ぶことにしますが、実に多機能で豪華そのものなのです。「iモ
ード」を中心として、「着うた」「絵文字」「デコメール」など
ケータイに特化したサービスが利用できるようになっており、ス
イカやパスモの代わりができる「お財布ケータイ」まである──
すべて日本独自の規格なのです。
 こういうケータイを約1億人の日本人が持っているのです。当
然大きなビジネスになるので、着うたや音楽やゲームなど、ケー
タイの限られた画面サイズに合わせ、ケータイの単純な操作キー
でも快適に使えるように調整を行い、それに加えて、しっかりと
した課金システムを確立させているのです。
 しかし、そのさい、PCの連携はとくに意識されていないので
す。つまり、日本のケータイはPCがなくても、ケータイでほと
んどのことができるようにしてあるのです。そのため、若者の中
にはPCを持っていないユーザーもたくさんいるのです。
 こうしたケータイ用のコンテンツを売る業者としては、そうい
うものに最もお金を落とす層──20歳代から30歳代層にター
ゲットを絞り、ゲームや着うたなどを重視する「エンターテイン
メント指向」のビジネスを推進してきたのです。
 日本の場合、ケータイの世界とPCの世界は、同じネットを使
いながら、別々に発展しており、そこに明らかに「壁」のような
ものが存在するのです。その典型的なものが「メール」です。
 日本では、PCのメールとケータイのメールは別のものとして
進化してきています。そのためケータイのメールアドレスとPC
のメールアドレスは違うし、ケータイの場合は絵文字などのPC
のメールではできないことができる反面、添付ファイルの利用が
制限されるなどの不便な点があります。
 こういう日本のケータイの現状に不満を抱く層は明らかに存在
するのです。それは、PCに大きく依存し、PCを中心にネット
を利用しているビジネスパーソンの層がそれです。欧米のPCの
利用率は圧倒的であり、日本でもこういうビジネス層が増加して
きているのです。
 ケータイはビジネスにおけるコミュニケーションツールとして
今後ますます重要な機能を果たしていくことになるが、ビジネス
相手のPCのメールアドレス以外にケータイのメールアドレスが
存在することはきわめて不便です。PCのメールアドレス、ケー
タイの電話番号、ケータイのメールアドレスの3つの情報を入手
しなければならないからです。
 その点日本を除くほとんどの国では、ケータイの電話番号さえ
わかっていれば、相手の人がどこのキャリアと契約していても、
ケータイの電話番号をアドレスにして、ショートメールが送れる
のです。いわゆる「SMS/ショート・メッセージング・サービ
ス」がそれです。
 もちろん日本にもSMSはあります。しかし、同じキャリアの
ユーザー同士──ドコモ同士、au同士、ソフトバンク同士でな
いとSMSはできないようになっているのです。
 ケータイの電話番号を知っている人というのは、よくコミュニ
ケーションを取り合う人ということになります。この場合、必ず
しも直接電話しなくても簡単なメッセージで済むケースも多くあ
ります。こういう場合、日本以外の国では相手のケータイの電話
番号をそのままアドレスとして簡単にショート・メッセージが送
れるのです。
 この機能を利用して欧米では、忙しい相手に電話をする場合は
最初に「これから電話していいですか。イエスなら空メールをく
ださい」というショートメッセージを送るのがマナーになってい
るそうです。「空メール」というのは、メッセージのない返信の
ことです。これは合理的であり、便利です。
 しかし、キャリア同士でないとSMSが送れない日本では、相
手がどこのキャリアと契約しているかを知らないとSMSが使え
ないことになります。その点ソフトバンク・モバイルの開発した
サービスは実に画期的です。
 それは相手に電話をしたとき、その人が同じソフトバンク・モ
バイルのユーザーであれば、「プップップッ・・・」という音が
聞こえるのです。実際に電話がつながるのはその後なので、そこ
で電話を切ってショート・メッセージを送ることができます。そ
ういう音が聞こえないときは、相手はソフトバンク・モバイル以
外のキャリアであることがわかるので、SMSが使えないことも
わかるということになります。
 しかし、この事実を知らない日本人は多いのです。なぜ、他の
キャリアのユーザーとSMSができないのかは、キャリア側の事
情によるものと思われますが、少なくともユーザーのためになら
ないことは確かです。やろうと思えばできるはずです。
 まさに世界の常識は日本の非常識の典型です。ユーザー自身が
知らなければそんなものだと思ってしまいます。私見ですが、長
文のメールはPCで送るべきであり、ケータイのメールはショー
ト・メッセージで十分です。欧米では、PCを使うことを前提に
してケータイが進化しており、日本のようにPCを持たないでケ
ータイだけを使うユーザーは少ないのです。
 大雑把にいうと、欧米型のケータイ・メールは「SMS」、日
本型のケータイ・メールは「MMS/マルチメディア・メッセー
ジング・サービス」なのです。しかし、絵文字やデコメールとい
う「装飾の多いメール」がビジネスで果たして必要なのでしょう
か。現在、日本で流行しているケータイ・メール文化は20歳代
から30歳代の若者が使っている独自の文化に過ぎないのです。
だから、「日本のケータイはガラパゴス」といわれるのです。
        ――[クラウド・コンピューティング/32]


≪画像および関連情報≫
 ●ITと携帯電話で成功した韓国、敗れた日本
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  2004年に韓国を旅行したときのことだ。ソウル市内の南
  大門市場(日本で言えば上野のアメ横のような街)で韓国海
  苔を買ったら,店のお婆さんが,会員カードを作ってあげる
  から用紙に名前と住所を書きなさいと,流暢な日本語で言っ
  てくる。別にカードは欲しくなかったが,その場の流れで書
  いて差し出すと「メール・アドレスも書きなさい」という。
  正確には覚えていないが,割引情報などをメールで送ってく
  れるようなことを言っていた。
  http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070123/259361/
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ガラパゴス化した日本のケータイ.jpg
ガラパゴス化した日本のケータイ
posted by 平野 浩 at 04:19| Comment(0) | TrackBack(0) | クラウド・コンピューティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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