たのに、発表したのは、オープン・ソースの携帯OS「アンドロ
イド」と、そのOSを使ってビジネスを行うOHA──オープン
・ハンドセット・アライアンスの枠組みだけだったのです。
そのため、ドコモやKDDIをはじめとするOHA加盟会社に
よる色とりどりの「Gフォーン」が今後続々と登場してくること
になり、独自のOSを採用するアップル社などには衝撃を与える
ことになったのです。
しかし、携帯電話会社になる気がないとしたらグーグル社は、
一体今後何を目指そうとしているのでしょうか。
それを解明するには、2005年以降にグーグル社がどういう
ところに投資してきたかを知ることが必要になります。前号と若
干重複しますが、少していねいにチェックしてみましょう。
2005年7月にグーグル社は、電力線ブロードバンドのカレ
ント社に出資しています。そして、2005年から2006年に
かけて、グーグル社はグローバル・クロッシング社から大量の国
際回線を購入しています。
さらに2006年8月にはグーグル社の本社周辺──カリフォ
ルニア州マウンテンビュー市で、380ヶ所のアクセスポイント
を敷設して無料無線ISP事業を開始しています。
2007年夏には、フェムトセル(小型宅内携帯基地局)のベ
ンチャー「ユビキシス」へ出資し、2007年暮れには、最先端
コア・イーサスイッチ(10Gビット・パー・セカンド)の社内
開発を業界紙が報じて、注目を集めています。そして、この年に
は携帯OS「アンドロイド」の発表を行っています。
2008年2月には、KDDIなどと日米海底ケーブルの建設
プロジェクトに参加し、自社専用の日米海底ケーブルの取得に乗
り出しています。そして、既に述べたように、同年春には、成功
しなかったものの、アナログテレビ跡地競売に参加しています。
また、同じ年に次世代モバイル網ワイマックスへ5億ドル──
575億円規模の大型投資を行い、同年9月には衛星通信のベン
チャー「03bネットワークス」社にも投資しています。
このようなグーグル社の海底ケーブルや光ファイバー網の買い
漁りは、検索広告サービスの用途をはるかに超えるものであり、
通信事業者の規模に該当する──グーグル社は通信サービスに参
入しようとしているのでしょうか。
これに関して既出の小池良次氏は興味ある分析をしているので
す。グーグル社は上場以来急成長を続けており、米国の証券筋は
少し成長に陰りが見えるマイクロソフト社やヤフーよりも、「ハ
イリスク・ハイリターン」の代表企業として注目しています。そ
ういう企業が「ローリスク・ローリターン」の代表格である通信
ビジネスに参入するはずがないというわけです。
それにグーグル社の投資行動は通信分野だけではないのです。
これについて、小池良次氏は次のように述べています。
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たとえば、2005年9月に同社はNASA(米航空宇宙局)
エームズ研究センターと提携している。その目的は「巨大デー
タ管理」や「超巨大分散コンピューティング」などとなってお
り、2006年には提携強化を発表し、研究項目に「ヒューマ
ンコンピューターインターフェース」などを追加した。そして
2008年6月には、エームズ研究センター内にグーグルの研
究施設建設も約束している。なぜ、検索広告の大手グーグルが
ロケットサイエンスの総本山であるNASAと手を組まなけれ
ばならないのだろうか。
――小池良次著、『クラウド』より/インプレスR&D刊
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海底ケーブルにワイマックス網への巨大投資、日本をはじめと
する主要都市での光ファイバーの買い漁り、それに最先端通信機
器の社内開発と米航空宇宙局との提携──これらは、明らかに検
索広告を超えています。
これらの先にあるものといえば、「クラウド・コンピューティ
ングのインフラ整備」しか考えられない──このように小池良次
氏は推測しています。
このあたりで、今回のメインのテーマである「クラウド・コン
ピューティング」について、その歴史的経過を含めて考えてみる
ところにきていると思います。
「クラウド・コンピューティング」については、データベース
・システムの最大手、オラクル社のラリー・エリソンCEOは、
2008年9月の「オラクルオープンワールド」において、クラ
ウドについて次のように述べています。
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クラウドコンピューティングで興味深いのは、クラウドコンピ
ューティングという言葉が再定義され、われわれが既に行って
いるあらゆることが含まれるようになったことである。どんな
発表を見ても、クラウドコンピューティングを標榜していない
ものはない。コンピュータ業界は、女性ファッション業界より
も流行志向が強い唯一の業界だ。わたしがバカなのかもしれな
いが、みんなが何を言っているのか理解できない。いったい何
のことなのか、まったくわけが分からない。このバカ騒ぎはい
つ終わるのだろうか。当社もクラウドコンピューティングの発
表を行うだろう。わたしはこういったことに抵抗するつもりは
ない。しかしクラウドコンピューティングという点について言
えば当社の宣伝文句のほかに何が変わるのか理解できない。以
上がわたしの考えだ。
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0810/01/news031.html
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このラリー・エリソンCEOのスピーチは、明らかにグーグル
社のエリック・シュミットCEOの発言を痛烈に批判していると
いっても過言ではないでしょう。
―――[クラウド・コンピューティング/23]
≪画像および関連情報≫
●ラリー・エリソンについて
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ローレンス・ジョセフ・エリソンは、データベースソフトを
はじめとする大手ビジネスソフトウェア企業オラクル・コー
ポレーションの共同設立者であり、CEOである。世界的な
大富豪であると同時に、3度の離婚歴を含む華麗な(?)私
生活、幾多の訴訟や買収合戦、ビル・ゲイツとのライバル関
係など華々しい話題に事欠かない人物である。自宅を和風建
築にしてしまうほどの親日家としても知られている。近年で
は、中小規模向けSaaS型アプリケーション企業のネット
スウィート社設立メンバーの一人としても知られる。
──ウィキペディア
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オラクル社/ラリー・エリソンCEO


