貌する時代をとらえると同時に、それを裏側で支えるクラウド・
コンピューティングを明らかにすることにあります。
まず、アイフォーンが注目されているアップル社を取り上げ、
それに対抗するマイクロソフト社の戦略について19回にわたっ
て述べてきたのです。しかし、もうひとつ語るべき重要な会社が
があります。それは、グーグル社です。今回からグーグル社につ
いて述べていきます。
グーグル社について述べるとき、注目しなければならないのは
グーグル社の最高経営責任者であるエリック・シュミットという
人物です。エリック・シュミット氏とは何者でしょうか。
エリック・シュミット氏は米パロアルト研究所や米ベル研究所
米ザイログ社を経て1983年にソフトウェアマネージャーとし
て米サン・マイクロシステムズ社に入社しています。シュミット
氏は同社でJavaの開発とインターネット戦略をプログラミン
グし、後に最高技術責任者と執行役員を歴任したのです。
そして、1997年から米ノベル社の最高経営責任者を務め、
重要な経営戦略や技術開発の中心的な役割を果たしたのです。し
かし、2001年3月に米グーグル社の会長に就任したのです。
そして、ラリー・ページ氏、セルゲイ・プリン氏の2人とともに
「三頭政治」を展開することになるのです。
1997年の春、このエリック・シュミット氏は、ノベルの会
長になってはじめて行った基調講演において、きわめて注目すべ
き発言を行っています。この講演をリポートしたITジャーナリ
ストの小池良次氏による記事の一部を紹介します。
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シュミット博士は、これからのネット時代をさまざまに分析し
た。まず、これまでのクライアント/サーバー時代は、「クラ
イアント/サービス」の時代に変わろうとしている。そして現
在のネットワークは階層構造になっているが、インターネット
・イントラネットの普及で階層を持たない「ミックスド・ティ
ア」の時代になるという。また、DSL技術の登場によって、
データと音声の垣根がなくなり、データ回線の上に音声が走る
時代がくると展開した。あんまり「自己宣伝はしたくはないの
だが」と前置きしながら、こうした新時代にはディレクトリー
(ネットワーク上の住所録に当たる)がますます重要になる。
ネットワークはデスクトップばかりでなく、ラップトップ、携
帯電話、ページャー、テレビなどさまざまな端末と結ばれるこ
とになる。「それはホモジーニアス(同質)な世界における調
和じゃない」とウィンドウズでネットワークの制覇をねらうマ
イクロソフトをやんわりと皮肉り、「ノベルはヘテロジーニア
ス(異質)な世界での調和を目指している」と話した。
――小池良次著、『クラウド』より/インプレスR&D刊
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ここでの指摘は、とても今から12年前に行われたものとは思
えないほど新鮮な内容なのです。とくに、「クライアント/サー
ビス」や「ミックスド・ティア」、「ヘテロジーニアス(異質)
な世界での調和」という概念は、まさにクラウド――グーグル社
が現在展開しているものと同じなのです。そのため、この基調講
演は「エリック・シュミットの予言」といわれているのです。
ところで、ノベルとはどういう企業でしょうか。
ノベル社といえば、インターネットの原型といわれるARPA
NET(アルパネット)まで源流をさかのぼれる企業なのです。
いわば、ネットワーク・ビジネスの最先端にいた企業です。とく
にノベルは「ネットウェア」というネットワークOSによって初
期のLANの時代――1980年代はネットワークの世界で君臨
していたのです。
1993年には、AT&Tからユニックス・システム・ラボラ
トリーを買収してユニックスOSを手に入れ、続いてクアトロ・
プロを買収して、ワードパーフェクトや表計算ソフトでマイクロ
ソフト社のウインドウズやオフィスとしのぎを削ったのですが、
敗れています。そのため、シュミット氏がCEOに就任した19
97年には同社は相当疲弊していたのです。
したがって、ノベル社としてシュミットCEOに期待したこと
は経営の再建とマイクロソフト社を打倒することだったのです。
しかし、シュミット氏は2001年に、まだ海のものとも山のも
のともわからないグーグル社のCEOに移籍したのです。
当時のグーグル社は、ヤフーやAOLに検索機能を提供するサ
ービス・プロバイダの一つに過ぎなかったのです。検索サービス
は商業化することはとても難しい世界で、それまでにもライコス
やインフォシーク、アルタビスタなどの多くのベンチャーがそれ
に挑んでいずれも成功していないのです。
したがって、グーグル社という企業は、当時いかに業績が疲弊
していたとはいえ、ユニックスコミュニティーの老舗であるノベ
ル社の会長がその任期途中で移るような企業ではないのです。
当時グーグル社は合議制による経営を行っていたのです。さま
ざまな経営事項を社員全員が参加する会議で議論して決めていた
のです。シュミット氏は自らそういう会議に参加したのです。
シュミット氏がグーグル社に移った2001年から3年間とい
うもの、シュミット氏の消息はまるで消えてしまうのです。一体
何をしていたのでしょうか。
今考えると、その間グーグル社内部では、ラリー&サーゲイ体
制からシュミット体制への移行が進み、はっきりとクラウド・コ
ンピューティングやモバイル・サービスに経営の向きが大きく変
えられていたのです。つまり、グーグル社はエリック・シュミッ
ト氏によって、単なる検索エンジンプロバイダからの脱却を果た
していたのです。シュミット氏はまるでクラスルームのような企
業であるグーグル社をクラウドを制する大企業へと方向変更させ
ることに成功したのです。
―――[クラウド・コンピューティング/20]
≪画像および関連情報≫
●米グーグル社とはどういう会社か
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米国グーグル社は、人類が使う全ての情報を集め整理すると
言う壮大な目的をもって設立された。独自開発したプログラ
ムが、世界中のウェブサイトを巡回して情報を集め、検索用
の索引を作り続けている。約30万台のコンピュータが稼動
中といわれる。検索結果の表示画面や提携したウェブサイト
上に広告を載せることで、収益の大部分をあげている。検索
エンジンとしては後発であるものの、リンクの集まる重要な
ページを上位に表示したり、表示に備えて検索対象のウェブ
ページを保存しておいたりと、それまでの検索エンジンには
ない機能によって2002年は世界で最も人気のあるものに
なり、AOLなどのクライアントを通じてインターネット検
索のトップを占めるまでになっている。日本では、ヤフー・
ジャパンに次いでシェア2位である。 ――ウィキペディア
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エリック・シュミット氏



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