置く」ための技術です。オフィス14もこの技術を基盤のひとつ
として使っており、両者は非常に密接な関係にあります。マイク
ロソフト社がどのような目的でライブメッシュを開発したのかに
ついて考えてみることにします。
グーグルの「Gメール」というサービスがあります。2004
年4月から始まっていますが、マイクロソフト社の「ホットメー
ル」、ヤフーの「ヤフーメール」よりも後発でありながら、現在
ではそれらをしのいで、大きく普及しています。
ホットメールやヤフーメールは、「ウェブメール」と呼ばれて
います。Gメールももちろんウェブメールです。ウェブメールは
専用のメールソフトを利用せず、複雑な設定作業がなく、しかも
無料で使えるので、人気を集めてきたのです。
たとえば、旅行者がインターネット・カフェやホテルなどの共
用PCを使ってメールをやりとりできることから幅広く使われて
きたのです。しかし、グーグルの進出に対して、既に寡占状態に
あるウェブメールの市場に莫大な資本を投入して参入する意義が
あるかどうか疑問視する声が多かったのです。
そのとき多くの人は、ウェブメールを外出時などの「補助的な
メール」として使っていたのです。しかし、Gメールはユーザー
それぞれに大容量の保存エリアを与えるなど、他のウェブメール
サービスと違うところが多かったので、後発でありながら、多く
のユーザーを獲得するにいたったのです。なかにはGメールを自
分のメインのメールサービスとして使うユーザーも増えてきてお
り、まさにグーグルの狙い通りです。そういう意味でGメールは
「ローカルからウェブへ」の転換を促す格好のツールとなったの
です。Gメールは現在次のように評価されています。
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(Gメールは)パソコンとインターネットの未来を決定づけた
「画期的サービス」(である) ――西田宗千佳著
『クラウド・コンピューティング』より
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今までPCユーザーは、メールをはじめとするあらゆるデータ
をローカル、すなわちハードディスクに保存してきたのです。し
かし、データをローカルに保存すると不便なことが多いのです。
まず、ハードディスクの容量の問題があります。すべてのデー
タを残しておこうと考えると、ハードディスクの容量を無限に増
やしていく必要があります。これにはコストがかかるのです。
続いて安全性の問題があります。もし、PCのハードディスク
が壊れたら多くの場合、データは失われます。そうかといって、
他のPCのハードディスクなり、CDなどにバックアップ保存す
る方法は、現実的な方法とはいえないのです。
もうひとつの問題はデータをPCのハードディスクに保存する
場合は、そのデータを見たり、編集したり、データを作るときは
そのPCでやらなければならないということです。例えば、外出
時にPCに届いたメールを見ることはできないし、もちろんメー
ルを発信することもできないのです。
しかし、Gメールのようにメールデータをウェブに預けると、
どこでも他のPC、アイフォーンなどのスマートフォン、携帯電
話などのネットにつながる機器で見ることができます。
そこでマイクロソフト社は、メールだけでなく、PCで扱うす
べてのデータをウェブ上に置いて使うプラットフォームを作る必
要に迫られたのです。それが「ライブメッシュ」というかたちで
実現を見たわけです。
しかし、「データをネット上に置く」といっても、グーグル・
ドキュメントとライブメッシュとはそのポリシーがかなり異なる
のです。その違いについて説明しましょう。
グーグル・ドキュメントでは、それを使って作成したデータは
グーグルが預かっています。それをさまざまな場所から見て、編
集するというかたちになります。つまり、データの原本はグーグ
ルの手元にあると考えるとわかりやすいと思います。
しかし、既出の西田宗千佳氏はライブメッシュを次のように定
義しています。
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ライブメッシュは複数のパソコンや携帯電話の間で、データを
「同期」するサービス。それぞれのパソコンや携帯電話が持っ
ているデータを、常に「同じ状態に保つ」、という仕組みが中
核となっている。 ――西田宗千佳著
『クラウド・コンピューティング』より
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どういうことかというと、データがウェブ上にあるので、ネッ
トPCを含むどのPCでも、スマートフォンでも、携帯電話でも
データを見ることはもちろんのこと、データを編集したり、作成
することもできるのです。
ライブメッシュは、それぞれのデータを常に同期して、同じ状
態にしてくれるのです。この場合、ライブメッシュでは元データ
――すなわち原本という概念はなく、原本と同じものが分散して
いるのです。つまり、データを作成・編集しているのはあくまで
それぞれの機器の中にあるデータなのです。
これに対してグーグルの場合は大変わかりやすいのです。それ
はグーグルのサーバーにすべてのデータを預かるからです。これ
はいわばデータの原本であり、それをいろいろな機器から見たり
編集したり、作成したりするが、あくまで原本はグーグルのサー
バーの中にあるのです。
しかし、この方法は相当のリスクを伴うのです。データを集中
させると必ずパンクの原因になるからです。実際問題として、G
メールは何回かパンクしているのです。
これに対して、ライブメッシュの場合は、あの悪名高き「ウィ
ニー」のようなシステムをベースにしているのです。詳しくは明
日のEJで述べます。[クラウド・コンピューティング/18]
≪画像および関連情報≫
●「ウイニー」とは何か
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ウィニーは、マイクロソフト・ウインドウズで動作するP2
P技術を利用したファイル共有ソフトである。ウィニーは、
ファイル共有に中央サーバーを必要としないピュアP2P方
式で動作する。それ以前のいわゆる「P2Pファイル交換ソ
フト」では、各クライアントの情報をサーバーに集積する様
式(ハイブリッドP2Pモデル)が主流であったため、サー
バー非稼動時には利用できないという問題を抱えていた。そ
の意味でウィニーはシステム上の障害に対して非常に強く、
一度稼働を始めたネットワークは止められないことが特徴で
ある。 ――ウィキペディア
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