2009年10月30日

●「大幅に修正されたウインドウズ7」(EJ第2685号)

 ここで「ウインドウズ7」について述べておく必要があると思
います。「ウインドウズ7」は、2009年10月22日の発売
以来その売れ行きは好調のようですが、それはある意味で当然の
ことであるといえます。
 というのは、前のOSである「ウインドウズ・ビスタ」が極度
の販売不振であったからです。具体的にいうと、それまでのOS
をビスタにバージョン・アップしようとすると、PCを買い替え
ないと軽快な動作が保障されなかったからです。そのため、XP
からのバージョンアップがスムーズに行かなかったのです。
 当初ウインドウズ・ビスタについて、マイクロソフト社として
は相当自信を持っていたのです。広告宣伝にもふんだんにお金を
使い、とくに「エアロ・グラス」と呼ばれる画面の半透明処理を
テレビCMで徹底的にPRしたのです。とくにPCのOSに関心
がなくても、あのCMは見たことがあると思います。確かに見た
目に派手で、未来を感じさせるデザインであったので、期待した
PCユーザーは多かったと思います。
 しかし、ウインドウズXPがかなり完成度が高かったこともあ
り、多くのユーザーはXPに慣れていたのです。それに加えて、
XPは2001年以来5年以上にわたって使い続けてきたので、
いまさらPCを買い替えてまで、ビスタにバージョンアップする
のは得策ではないと考えたユーザーが多かったので、その売れ行
きはさっぱりだったのです。とくに法人ユーザーはその多くが、
XPからのバージョンアップをやらなかったことは、マイクロソ
フト社にとって相当の痛手になったと思われます。
 ところが、ウインドウズ7はどうだったでしょうか。発売日以
前にウインドウズ7のCMを見た人はいるでしょうか。少なくと
も私は見ていないのです。
 米国では、ウインドウズ7のCMをテレビのゴールデンタイム
の枠を買うことなく、ネットで流していたといわれます。そのC
Mは、次のURLをクリックすれば見ることができます。
―――――――――――――――――――――――――――――
   http://wiredvision.jp/news/200810/2008100920.html
―――――――――――――――――――――――――――――
 明らかにウインドウズ7についてマイクロソフト社は、ビスタ
とは対照的に地味な戦略で臨んでいるように思います。実はウイ
ンドウズ・ビスタを主軸に据えるPC用OS戦略についてマイク
ロソフト社は大幅な修正を行っているのです。その原因は「ネッ
トブック」と呼ばれる小型PCの出現にあるのです。
 ネットブックは、一言でいえば「安価な小型ノートPC」なの
です。サイズはB5判程度と小さくて持ち運びが簡単であり、価
格も3万円から8万円程度のPCです。ノートPCに比べるとか
なり価格は安いのです。
 ネットブックの狙いは、移動先や旅行先、自宅の寝室やリビン
グなどで、メールをしたり、ウェブアプリを利用する――こうい
う使い方にあります。本格的な作業をするためのPCではない、
2台目、3台目のPCという位置づけです。
 ところが2008年10月以降、このネットブックが非常によ
く売れたのです。2008年10月以降、店頭で出荷されたPC
のうちなんと25%がネットブックだったのです。2007年の
同じ時期には、このジャンルは存在しなかったので、伸びは「爆
発的」であったといえます。
 台湾のアスーステック・コンピュータ社が、2007年末に台
湾や米国で発売した「EeePC」がヒットしたこともあって、
デル、ヒューレット・パッカード、東芝、NECなどの大手メー
カーが相次いでこのジャンルに参入して大混戦になったのです。
 どうしてこういうPCが出現したかというと、インテルが将来
の携帯電話や家電製品のニーズを考えて、性能は多少落としても
低価格・低消費電力に焦点を絞った「アトム」というCPUを開
発し、製造を始めたことにあるのです。
 ところがこれらのネットブックに搭載されているOSは、ウイ
ンドウズXPであり、当然のことながらビスタではないのです。
そこでPCメーカーとしては、マイクロソフト社に対し、ウイン
ドウズXPのサービスの存続を要望したのです。
 しかし、これはマイクロソフト社にとって頭の痛い問題なので
す。なぜなら、ウインドウズXPとビスタ、それに次に出る予定
の新OS「ウインドウズ7」の3つを維持しなければならなくな
るからです。これはとてもできない相談なのです。3つのOSを
抱えることは、そのセキュリティの面から考えても、不可能に近
いことだからです。
 そうかといって、マイクロソフト社としては、このネットブッ
ク市場を失いたくない――そこで、当初2009年4月に終える
としていたXPのサポート期間を2014年4月まで延長すると
いう措置をとったのです。
 ネットブックを製造するメーカーとしては、2008年時点で
もしマイクロソフト社がXPの提供を打ち切るのであれば、無償
のリナックスOSを使う意思を表明しており、マイクロソフト社
は早急な対応を迫られたのです。そのため、ウインドウズ7を当
初考えていたものから大きく修正することになったのです。
 そこでマイクロソフト社は、2008年10月の「PDC20
08」において、ウインドウズ7の方向性を明らかにしているの
です。その基調講演の中で、マイクロソフト社でウインドウズの
開発を統括するスティーブン・シノフスキー副社長は片手にネッ
トブックをかざしながら次のようにいったのです。
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 ウインドウズ7は、クロック周波数1ギガヘルツ、メモリ1ギ
 ガのこのPCでも快適に動作する。実際、メモリはまだ半分も
 空いている。              ――西田宗千佳著
           『クラウド・コンピューティング』より
―――――――――――――――――――――――――――――
        ──[クラウド・コンピューティング/13]


≪画像および関連情報≫
 ●「ネットブック」はどういうPCか
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ネットブックは、ネットワーク機能を備えてインターネット
  に接続し作業する事を主な用途とした、比較的安価で小型軽
  量なノートパソコンであり、その製品やカテゴリーの呼称で
  ある。2007年10月にアスーステック・コンピュータが
  販売した「EeePC」が最初に販売されたネットブックと
  される。ただし「ネットブック」の名称を初めて提唱したの
  は、2008年3月米インテル社が自社CPUである「イン
  テル・アトム」について語った時であると見られている。イ
  ンテル自身もこの時点ではあまり明確な基準ではなく、「イ
  ンターネット利用に特化した低価格モバイル」程度の意味で
  あった。              ――ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

ビスタ・エアロ.jpg
ビスタ・エアロ
posted by 平野 浩 at 04:17| Comment(0) | TrackBack(0) | クラウド・コンピューティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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