が、同じリンゴのマークを使う会社があるのです。ビートルズの
音源を管理する英国のアップル・コープスという会社です。
両方ともリンゴをロゴマークにしており、きわめて紛らわしい
のです。そのため両社は長期にわたる法廷闘争の歴史を持ってい
るのです。
会社の創設時期を比較すると、アップル・コープス社の方が先
なのです。
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アップル・コープス社 ・・・・・ 1968年創設
アップルコンピュータ ・・・・・ 1976年創設
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アップル・コープス社は、1968年の創設時期からグラニー
スミスと呼ばれるオーストラリア原産の青リンゴをモチーフとし
たロゴを使用してきています。このアップル・コープス社は、現
在、ポール・マッカートニー、リンゴ・スター、ジョン・レノン
の未亡人オノ・ヨーコ、ジョージ・ハリスンの遺産管財人によっ
て共同所有されています。
一方のアップルコンピュータ社は、1976年に創業し、右側
に一口かじった跡のある、横縞6色のカラフルなリンゴのマーク
をロゴとして長らく使用してきています。しかし、アップル社を
追放されたスティーブ・ジョブズが1997年に復帰したとき、
カラフルな色調は単色に変更されて現在にいたっています。
リンゴを企業の顔とする「アップル」同士の闘いは、アップル
コンピュータ社の創業時より始まっています。アップル・コープ
ス社は直ちに「アップル」を企業名に使ったことに関して、アッ
プルコンピュータ社を相手取り、訴訟を起こしたのです。企業と
して当然の措置であるといえます。
しかし、1991年に両社は和解し、両社の間で商標契約が結
ばれたのです。アップル・コープス社は高額な和解金と引き換え
に、アップルコンピュータ社が「アップル」の名前を企業名とコ
ンピュータ製品に使用することに同意したのです。
もう少し詳しくいうと、アップルコンピュータ社は音楽を配信
するためのデバイスとソフトウエアに、アップル・コープスは楽
曲の制作と販売に「アップル」という名称を独占的に使う権利が
認められたのです。ただし、音楽市場に参入しないことが条件と
されたのです。
ところがです。ジョブズ率いるアップル社がiTMSのスター
トに当たって、ビートルズ側にもiTMSに加わらないかという
打診を行ったところ、ビートルズ側は、これは「1991年の商
標利用の合意を破るもの」として、再びアップル社を提訴してき
たのです。
この裁判は、ビートルズの故国である英国の法廷で争われたの
ですが、これについてiPodがいかに世界中で愛されているか
を示すエピソードがあるのです。
それは、この裁判を担当する判事が、「私はiPodのファン
であり、自分は審理を担当する資格はない」として降りてしまっ
たというのです。これは改めて単なる携帯音楽プレーヤーに過ぎ
ないiPodが、どれほど多くの人のライフスタイルに影響を与
えているかを示す証左となったのです。
2006年に判決が出たのですが、その結果は次のようにアッ
プル社の勝利に終わっているのです。裁判所もiPodの影響力
に左右されたのでしょうか。
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アップルコンピュータは記録された音楽ではなく、データを配
信しているにすぎない。 ――裁判所の判決
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スティーブ・ジョブズは、この裁判の結果を受けて、次のよう
にコメントしています。
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ビートルズを愛している。ビートルズの曲をiTMSで配信す
るために協力できることを望んでいる。
――竹内一正著/リュウブックスアステ新書
『スティーブ・ジョブズ/神の交渉力』より
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2007年1月のことです。アップル社の最大のイベントであ
る「マックワールド・エキスポ」の直前にアップル社はある決断
を行っています。それは、「アップルコンピュータ」から「コン
ピュータ」の文字をカットし、文字通りのアップル社となったの
です。これはアップル社にとって大きな決断だったのです。
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Apple Computer.Inc → Apple Inc
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そして、この「マックワールド・エキスポ」において、ジョブ
ズは、アイフォーンの発表を行ったのです。もうPCだけの会社
じゃないという強いメッセージを世界に送ったのです。そのとき
ジョブズは有名な次のフレーズをウェブサイトのトップに掲げて
いるのです。
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最初の30年は単なる始まりだった
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この社名変更を行ったとき、アップル社は、2007年度第1
四半期の売り上げ高が70億ドルを超えて、純利益も過去最高の
10億ドルを記録したのです。
過去にアップル社が犯した最大のミスは早い時期にマックOS
を他社にライセンスしなかったことです。というのは、マイクロ
ソフト社が初期のウインドウズの開発に苦しんでいたとき、同社
はもしマックOSがライセンスされるのであれば、OS事業から
撤退しも良いとライセンスを求めたのに対し、アップル社は応じ
なかったのです。−―[クラウド・コンピューティング/07]
≪画像および関連情報≫
●大衆が絶賛する商品とは何か
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大衆が絶賛する商品とは、大衆がまったく気づかなかった楽
しみを提供する独創的なものだ。市場調査に頼って商品開発
を進めると、「ちょっといいもの」で終わる。大衆が手にし
てはじめて「あっ!これがほしかったんだ」と気づくような
「どこにもないもの」は市場調査からは決して生まれない。
目の前に見える需要を追うのではなく、「自分たちが需要を
つくる」ことが、これから、より強く求められている。
――竹内一正著/リュウブックスアステ新書
『スティーブ・ジョブズ/神の交渉力』より
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アップルコープス社対アップル社ロゴマーク


