2009年10月07日

●「NAFTA/SPP/NAUとは何か」(EJ第2669号)

 米国、カナダ、メキシコの3国は、どんどんその連携を強めて
いるのです。こういう情報は当然新聞などで大きく取り上げるべ
き大ニュースのはずですが、なぜか日本の新聞ではほとんど報道
されていないのです。
 年代別に時系列に整理して並べてみると、既に2つの協議体が
できており、2010年にはもうひとつできることが計画されて
いるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ●1994年
  北米自由貿易協定/NAFTA
  North American Free Trade Agreement
 ●2005年
  安全と繁栄のためのパートナーシップ/SPP
  Security and Prosperity Partnership of North America
 ●2010年(予定)
  北米経済圏/NAU
  North American Union
―――――――――――――――――――――――――――――
 驚くべきことですが、これらの協議体は、その目的はそれぞれ
異なるものの、いずれも米国、カナダ、メキシコ3国による協定
なのです。どうしてこんなにいくつも必要なのでしょうか。
 これは、米国がもはや単独ではドルの信用を回復できる状態に
ないと判断し、国境を接するカナダとメキシコの両国と経済を一
体化させ、新たな経済圏を生み出して、その力を利用して通貨の
信用力を高めようとする戦略なのです。
 この戦略を主導しているのは、シンクタンクの外交問題評議会
――CFRであり、クリントン政権、ブッシュ政権、オバマ政権
を通じて、着々と計画を進めているように見えるのです。
 2007年のことですが、CFRの発行している機関誌「フォ
ーリン・アフェアーズ」/5月号・6月号」において、CFRの
国際経済部長のベン・スティル氏は「国家通貨の終り」と題して
次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 各国が自国通貨の価値を維持しょうとするあまり、金融ナショ
 ナリズムが巻き起こる危険性が高い。そのようなリスクを克服
 するためには地域的な共同通貨を経て、将来的には世界の統一
 通貨を目指すべきだ。
     ――浜田和幸著、『オバマの仮面を剥ぐ』/光文社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 これに呼応するように、ノーベル経済学賞の受賞者のロバート
・マンデル教授とカザフスタンのナザルバエフ大統領は共同で、
世界の共通通貨を提案しています。そのうえで、その世界通貨の
名前は「アクメタル」と命名しています。そして、このアクメタ
ル構想は、今年の4月にロンドンで開催されたG20でも話題に
上がったといわれます。
 しかし、当の米国はいわゆる「アメロ構想」については、否定
しています。原田武夫氏は、これについてSPPのホームページ
における「SPPをめぐる神話対事実」という記事を紹介してい
ますが、これを次のように整理してご紹介します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「神話」・・SPPはアメリカ、メキシコそしてカナダを北
       米連合へと融合させ、共通通貨を創設するため
       の活動を展開している
 「事実」・・SPPはEUのような構造、あるいは共通通貨
       の創出を検討するために結成され、あるいは形
       成されたものではない
                     ――原田武夫著
        『計画破産国家/アメリカの罠』/講談社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 これを見る限り、SPPの活動が3ヶ国の主権をいかなる意味
でも変更させるものではないことを強調し、共通通貨「アメロ」
などあり得ないし、それは「陰謀論」の領域に属する問題である
としています。
 しかし、共通通貨「アメロ」という通貨は、そのデザインされ
たものが既にウェブ上には存在するし、関連する記事もウェブ上
にはたくさん出ているのです。したがって、それがないといわれ
てもにわかに信ずることはできないのも事実です。そこには相当
周到な計画の存在があることは間違いないといえます。
 そもそも共通通貨「アメロ」論に火を点けた原田武夫氏は自著
において次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 私の外交官としてのインサイダー経験からいっても、表媒体で
 「そんなことは絶対にやっていません」とくどくどしく説明さ
 れているからといって、本当に政府が一切動いていないという
 ことの証明になるのかといえば、まったくそんなことはないの
 である。政府はどの国であれ、「国益の増進」、つまり国民の
 生命と財産を守るためとのお題目が立つ限り、事後承認は当た
 り前の存在である。ナイーヴに政府の言うことだけを聞いてい
 ると、あとで馬鹿を見ることは目に見えている。
                      ――原田武夫著
         『計画破産国家/アメリカの罠』/講談社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 北米共通通貨「アメロ」はけっして荒唐無稽なものではないの
です。かつてEUが結成され、1999年に「ユーロ」が登場し
たとき、現在の状況を誰が想像したでしょうか。
 先の国連総会で鳩山首相が提唱した「東アジア共同体構想」も
同じ考え方に基づくものであるといえます。もはや一国だけでは
繁栄していくことが難しい時代になっているのです。そういう意
味でも北米共通通貨「アメロ」は現実のものになる可能性が高い
といえます。          ――[オバマの正体/59]


≪画像および関連情報≫
 ●北米共通通貨「アメロ」の誕生!?
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  この「アメロ」がウソかホントかはともかく、EUがユーロ
  という共通通貨をつくって拡大してきたことから、いまや通
  貨統合の動きは世界のあちこちでも起きている。たとえば、
  東アフリカ共同体(EAC)は2015年に通貨統合する予
  定で、通貨の名称も「東アフリカ・シリング」に決まってい
  る。ペルシャ湾岸6カ国で構成される湾岸協力会議――GC
  Cも2010年の通貨統合を目指していて、通貨の名称は、
  「カリージ」。近い将来、このカリージがドルに代わって原
  油の決済通貨となるかもしれないわけだ。
  http://r25.jp/b/honshi/a/ranking_review_details/id/110000006073
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北米共通通貨「アメロ」.jpg
北米共通通貨「アメロ」
posted by 平野 浩 at 04:14| Comment(0) | TrackBack(0) | オバマの正体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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