いるのです。こういう情報は当然新聞などで大きく取り上げるべ
き大ニュースのはずですが、なぜか日本の新聞ではほとんど報道
されていないのです。
年代別に時系列に整理して並べてみると、既に2つの協議体が
できており、2010年にはもうひとつできることが計画されて
いるのです。
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●1994年
北米自由貿易協定/NAFTA
North American Free Trade Agreement
●2005年
安全と繁栄のためのパートナーシップ/SPP
Security and Prosperity Partnership of North America
●2010年(予定)
北米経済圏/NAU
North American Union
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驚くべきことですが、これらの協議体は、その目的はそれぞれ
異なるものの、いずれも米国、カナダ、メキシコ3国による協定
なのです。どうしてこんなにいくつも必要なのでしょうか。
これは、米国がもはや単独ではドルの信用を回復できる状態に
ないと判断し、国境を接するカナダとメキシコの両国と経済を一
体化させ、新たな経済圏を生み出して、その力を利用して通貨の
信用力を高めようとする戦略なのです。
この戦略を主導しているのは、シンクタンクの外交問題評議会
――CFRであり、クリントン政権、ブッシュ政権、オバマ政権
を通じて、着々と計画を進めているように見えるのです。
2007年のことですが、CFRの発行している機関誌「フォ
ーリン・アフェアーズ」/5月号・6月号」において、CFRの
国際経済部長のベン・スティル氏は「国家通貨の終り」と題して
次のように述べています。
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各国が自国通貨の価値を維持しょうとするあまり、金融ナショ
ナリズムが巻き起こる危険性が高い。そのようなリスクを克服
するためには地域的な共同通貨を経て、将来的には世界の統一
通貨を目指すべきだ。
――浜田和幸著、『オバマの仮面を剥ぐ』/光文社刊
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これに呼応するように、ノーベル経済学賞の受賞者のロバート
・マンデル教授とカザフスタンのナザルバエフ大統領は共同で、
世界の共通通貨を提案しています。そのうえで、その世界通貨の
名前は「アクメタル」と命名しています。そして、このアクメタ
ル構想は、今年の4月にロンドンで開催されたG20でも話題に
上がったといわれます。
しかし、当の米国はいわゆる「アメロ構想」については、否定
しています。原田武夫氏は、これについてSPPのホームページ
における「SPPをめぐる神話対事実」という記事を紹介してい
ますが、これを次のように整理してご紹介します。
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「神話」・・SPPはアメリカ、メキシコそしてカナダを北
米連合へと融合させ、共通通貨を創設するため
の活動を展開している
「事実」・・SPPはEUのような構造、あるいは共通通貨
の創出を検討するために結成され、あるいは形
成されたものではない
――原田武夫著
『計画破産国家/アメリカの罠』/講談社刊
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これを見る限り、SPPの活動が3ヶ国の主権をいかなる意味
でも変更させるものではないことを強調し、共通通貨「アメロ」
などあり得ないし、それは「陰謀論」の領域に属する問題である
としています。
しかし、共通通貨「アメロ」という通貨は、そのデザインされ
たものが既にウェブ上には存在するし、関連する記事もウェブ上
にはたくさん出ているのです。したがって、それがないといわれ
てもにわかに信ずることはできないのも事実です。そこには相当
周到な計画の存在があることは間違いないといえます。
そもそも共通通貨「アメロ」論に火を点けた原田武夫氏は自著
において次のように述べています。
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私の外交官としてのインサイダー経験からいっても、表媒体で
「そんなことは絶対にやっていません」とくどくどしく説明さ
れているからといって、本当に政府が一切動いていないという
ことの証明になるのかといえば、まったくそんなことはないの
である。政府はどの国であれ、「国益の増進」、つまり国民の
生命と財産を守るためとのお題目が立つ限り、事後承認は当た
り前の存在である。ナイーヴに政府の言うことだけを聞いてい
ると、あとで馬鹿を見ることは目に見えている。
――原田武夫著
『計画破産国家/アメリカの罠』/講談社刊
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北米共通通貨「アメロ」はけっして荒唐無稽なものではないの
です。かつてEUが結成され、1999年に「ユーロ」が登場し
たとき、現在の状況を誰が想像したでしょうか。
先の国連総会で鳩山首相が提唱した「東アジア共同体構想」も
同じ考え方に基づくものであるといえます。もはや一国だけでは
繁栄していくことが難しい時代になっているのです。そういう意
味でも北米共通通貨「アメロ」は現実のものになる可能性が高い
といえます。 ――[オバマの正体/59]
≪画像および関連情報≫
●北米共通通貨「アメロ」の誕生!?
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この「アメロ」がウソかホントかはともかく、EUがユーロ
という共通通貨をつくって拡大してきたことから、いまや通
貨統合の動きは世界のあちこちでも起きている。たとえば、
東アフリカ共同体(EAC)は2015年に通貨統合する予
定で、通貨の名称も「東アフリカ・シリング」に決まってい
る。ペルシャ湾岸6カ国で構成される湾岸協力会議――GC
Cも2010年の通貨統合を目指していて、通貨の名称は、
「カリージ」。近い将来、このカリージがドルに代わって原
油の決済通貨となるかもしれないわけだ。
http://r25.jp/b/honshi/a/ranking_review_details/id/110000006073
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北米共通通貨「アメロ」