2009年10月05日

●「NAFTAとNACをめぐる動き」(EJ第2667号)

 NAFTA(ナフタ)と呼ばれる協定があります。ナフタは次
の協定のことです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  北米自由貿易協定/North American Free Trade Agreement
―――――――――――――――――――――――――――――
 どういう協定なのでしょうか。これはアメリカ合衆国、カナダ
メキシコの3国で結ばれた自由貿易協定です。1992年12月
に署名し、1994年から発効しています。NAFTAは域内G
DP約11.9 兆米ドル、人口約4.3 億人となっており、EU
を凌ぐ大規模経済圏になるのです。
 なぜ、いきなりNAFTAなのかと疑問を持つ人も多いと思い
ます。それは、現オバマ政権が今後とっていく政策に深く関係し
てくるからです。
 実は、昨年の米大統領選挙において民主党が統一候補を決める
さい、最も重要になったのは、米国、カナダ、メキシコとの関係
なのです。それは、NAFTAの改定問題という形で噴出してき
たのです。
 選挙戦では、ヒラリー・クリントン候補が夫であるビル・クリ
ントン元大統領が尽力したNAFTAを支持したのです。これに
対してオバマ候補はそれを次のように批判したのです。
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 NAFTAのおかげで、オハイオ州だけでも約5万人の雇用
 が失われている             ――オバマ候補
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、これをめぐって大スキャンダルが発覚し、オバマ陣営
は火消しに追われることになったのです。そのスキンダルとは、
オバマ候補の懐刀といわれる、オースタン・グールズビー経済顧
問がシカゴでカナダ政府関係者に対し、オバマ候補のNAFTA
批判は政治的なジェスチャーであるという秘密メモを渡していた
ことが発覚してしまったのです。
 結果はどうなったかというと、結局この問題はうやむやのまま
沙汰やみとなっているのです。このオースタン・グールズビー氏
は、現在、オバマ政権における大統領経済諮問委員会(CEA)
のスタッフに就任しているのです。
 既出のウェブスター・G・タープレイ氏は、オースタン・グー
ルズビー氏について次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 グールズピーは現在シカゴ大学教授であり、自由市場主義をか
 かげるシカゴ学派の主要な提唱者でもある。シカゴ学派の創設
 者はミルトン・フリードマンだが、彼の経済理論によって開発
 途上国ではほとんど大量虐殺に近い事態が生じている。バリー
 ・ゴールドウオーター、リチャード・ニクソン、ロナルド・レ
 ーガンといった共和党保守政治家はフリードマンと緊密に連携
 して動いていた。フリードマンの理論にひたすら従い、アメリ
 カ国民の経済的な権利を少しずつ奪い取っていったのだ。これ
 らの権利は、アメリカ国民がニューディール時代の労働運動に
 よって勝ち取ったものだった。
      ――ウェブスター・G・タープレイ著/太田龍監訳
           『オバマ危険な正体』より/成甲書房刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 結局うやむやのまま終わった大スキャンダルですが、オバマ大
統領は、NAFTAの積極推進派ヒラリー・クリントン氏を国務
長官に任命することによってNAFTAを守り、カナダとメキシ
コの顔を立てた形になったのです。これは明らかに手打ち人事で
あるといえます。なぜなら、それはいろいろ取り沙汰されている
北米新通貨「アメロ」に深く関係してくるからです。
 実はこの件に関しては、米国を代表するシンクタンク「外交評
議会/CFR」の政策提言が2005年5月に出ているのです。
それは、アメリカ、メキシコ、カナダの3国の首脳――米・ブッ
シュ大統領、メキシコ・フォックス大統領、カナダ・マーティン
大統領が初めての会議を開催し、NAFTAとは別にSPP「北
米の安全と繁栄のパートナーシップ」という枠組みを立ち上げた
2005年3月の直後の5月に発表されており、きわめて現実的
なものであるといえます。
 NAFTAは関税の撤廃が最終ゴールだったのですが、SPP
は北米版の欧州連合(EU)を目指していて、経済的な連携強化
だけでなく、安全保障やエネルギー資源での共有を掲げている点
が重要であるといえます。
 原田武夫氏は、このCFRの政策提言について、次のように述
べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 このCFRの政策提言は、北米共同体(NAC)の創設を求め
 圧倒的に障壁のない自由貿易ゾーンの創設、あるいは「緊急対
 応」に際しての協力強化、さらには教育や投資についての域内
 協力などについて細かく議論しつつも、域内共通通貨といった
 ものについての言及は確かにまったくない。しかし、この報告
 書には「我々の経済面であてるべき焦点は、この地域における
 すべての人々にとって経済的機会を拡大させるような、モノ・
 カネ・ヒトが自由に移動するような共通経済圏の創設に絞られ
 るべきである」(同報告書第6ページ)とくつきりと記されて
 いるのだ。この目標が最も達成されるためには、もはや通貨を
 一つにしたほうが良いことは明らかである以上、暗黙の内にそ
 の前提となっていると考えるべきなのだ。  ――原田武夫著
         『計画破産国家/アメリカの罠』/講談社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 なお、この政策提言では「北米共同体(NAC)の創設を20
10年までに求める」と明言しています。なぜ、2010年なの
かという理由はわかりませんが、これによって、地域内共通通貨
「アメロ」がかなり現実なものになりつつあるような気がしてき
ます。             ――[オバマの正体/57]


≪画像および関連情報≫
 ●堀田佳男――ジャーナリストのエンジン/ブログ
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  数ヶ月前、北米3国(アメリカ、カナダ、メキシコ)の新し
  い動きを知った。主要メディアではなくインターネットでの
  情報だった。私の勉強不足かもしれないが、少なくとも大手
  メディアでは大きな扱いをしていない内容である。3国が新
  しい同盟関係を築くというニュースだった。北米3国の同盟
  といえば、すぐに北米自由貿易協定(NAFTA) が思い浮
  かぶが、それとは別に「北米の安全と繁栄のパートナーシッ
  プ(SPP)」という枠組みを立ち上げたという。
             http://www.yoshiohotta.com/?p=17
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オースタン・グーズビー氏.jpg
オースタン・グーズビー氏
posted by 平野 浩 at 04:17| Comment(0) | TrackBack(0) | オバマの正体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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