2009年09月08日

●「支持が急落しているオバマ大統領」(EJ第2651号)

 オバマ大統領は今までの米大統領と異なり、世界という視点に
立って考えると、かなり内向きの大統領であることはここまで指
摘してきています。ところが、その肝心な米国民のオバマ大統領
の支持が、大統領就任から7カ月しか経っていないのに、大幅に
下落してきているのです。以下、古森義久氏の「時評コラム」を
ベースにして支持率の現況をご紹介することにします。
 ラスムセン社の8月23日発表の全米世論調査によると、オバ
マ大統領の支持、不支持は次のようになっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
       支 持 ・・・・・・・ 48%
       不支持 ・・・・・・・ 51%
―――――――――――――――――――――――――――――
 また、オバマ大統領の職務執行ぶりに対する評価について聞い
た結果は次のようになっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
       強い支 持 ・・・・・ 27%
       強い不支持 ・・・・・ 41%
―――――――――――――――――――――――――――――
 大統領就任時から春ごろまでは70%の支持率を誇っていたに
もかかわらず、支持率が22%もダウンし、不支持が支持を上回
るという厳しい結果になっています。また、オバマ大統領の仕事
ぶりについても、「強い不支持」が「強い支持」を14%も上回
るという結果になっているのです。
 どうして、こんなにオバマ政権の支持率が下がったのでしょう
か。その原因を探ってみます。
 第1にオバマ政権の「経済政策」があります。
 ギャロップ社の世論調査によると、57%の米国民がオバマ政
権の7870億ドルに及ぶ経済刺激策が、実際の経済には影響が
あるどころか経済を悪化させていると答えています。60%がオ
バマ大統領の経済刺激策は数年後をみても米国経済を改善すると
は思わない」と回答しているのです。これは、国民の半分以上の
人が、オバマ政権の経済政策に対して不信任表明をしたことを意
味しています。
 第2に「アフガニスタンでの対テロ戦争」があります。
 ワシントンポスト紙の世論調査によると、アフガニスタンでの
対テロ戦争に対して次の評価をしているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
      価値がある ・・・・・ 47%
      価値がない ・・・・・ 51%
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、巨大な経済対策は未曽有の金融恐慌に対するものであ
り、ブッシュ前大統領から引き継いだものともいえるのです。ア
フガニスタンの戦争にしても前政権の残した負の遺産ともいえる
のです。必ずしもオバマ大統領だけが責められるべきものではな
いはずです。
 それでは、どうしてこれほど支持率が下がったのかというと、
もうひとつ大きなものがあるのです。それが次のポイントです。
 第3に「医療保険改革」があるのです。
 オバマ大統領に対して、激しい非難や反対の声が目立つように
なったのは、オバマ政権が今年5月ごろから議会を主舞台に本格
的にスタートさせた包括的な医療保険改革の立法措置にその原因
があります。
 米民主党にとって医療保険改革はもっとも成立させたい政策な
のです。同じ民主党のビル・クリントン政権が、発足当時の19
93年、大統領夫人であったヒラリー・クリントン女史が必死に
なって、推進しようとした政治目標が医療保険改革なのです。し
かし、それは失敗に終わっているのです。
 国民皆保険制度のある日本人からすると、米国民は医療保険改
革になぜ反対なのかは理解しにくい面があると思います。しかし
医療保険制度は巨額の政府資金を投入することが前提となる改革
です。つまり、大きな政府の究極ともいえる制度作りが必要にな
るのです。そこに多くの米国民は反対なのです。
 オバマ政権は、医療保険改革への一般の支持を広げるために全
米各地で「町の討論会」――日本でいう草の根集会、車座集会を
全米各地で開催したのですが、その集会でも激しい反対の声が出
るようになったのです。
 8月18日に発表されたNBCテレビの世論調査では、医療改
革について国民の支持が次のようになったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
    医療保険改革に賛成する ・・・ 41%
    医療保険改革に反対する ・・・ 47%
―――――――――――――――――――――――――――――
 このように、米国では政府が国民の医療や健康保持に巨額の公
的資金を投入して全面介入することについては、伝統的に根強い
抵抗があるのです。
 これは、別に医療問題に限らないのです。今年1月のビュー調
査センターの世論調査では、深刻な経済危機に対する政府支出に
対しても、次の結果が出ているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
   政府は国民の経済を傷つける ・・・・・ 50%
   政府は国民の経済を救済する ・・・・・ 39%
―――――――――――――――――――――――――――――
 これはオバマ政権がGMやAIGという大企業を事実上国営化
してしまったことに対して怒りを覚えているのです。つまり、米
国民は自分たちの政府が民間企業の救済に巨額の公的資金を注ぎ
込むことには反対なのです。しかも、それによって必ずしも経済
はよくなっていない――そう考えているのです。
 そういう状況のときに、さらに巨額の公的資金を入れることに
なる国民皆医療保険には「大きな政府」になり過ぎるとして反対
なのです。           ――[オバマの正体/41]


≪画像および関連情報≫
 ●米医療保険改革法案
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ワシントンD.C.発―支持率が低下するなか、オバマ米大
  統領は自身が掲げる医療保険改革について説明するため、7
  月22日夜、ゴールデンタイムに記者会見を開く。米国の医
  療保険制度を今すぐ見直す必要があると国民に納得させるだ
  けでも、オバマ大統領は十分に苦心している。さらに、国民
  に加え、議会をも説得しなければならない。米上院は未だに
  医療保険改革の財源を確保できずにおり、医療保険改革法案
  が8月の議会休会入り前に可決するのは厳しい状況となって
  いる。上院で法案が可決されるまで、下院が先週可決した評
  判の芳しくない法案がオバマ大統領の医療保険改革法案とな
  る。                  ――BPネット
  http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090731/171399/
  ―――――――――――――――――――――――――――

支持率が急落したオバマ大統領.jpg
支持率が急落したオバマ大統領
posted by 平野 浩 at 04:16| Comment(0) | TrackBack(0) | オバマの正体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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