2009年09月03日

●「台湾有事に米国は台湾を守るのか」(EJ第2648号)

 ゲイリー・ロック氏は、中国系3世の政治家なのです。彼は、
中国系アメリカ人の史上はじめて州知事に就任した人物として知
られています。当然のことながら、彼は米国でもっとも有名な中
国系の政治家です。北京オリンピックの聖火が、ワシントン州に
やってきたとき、ロック知事は聖火を持って走っているのです。
 ロック氏はワシントン州知事になってからは、胡錦濤首席と何
回も会い、中国からの移民や輸入製品をほとんど無条件で受け入
れてきたのです。そういう意味でロック氏は中国にとって米国と
コンタクトをつけるための強力なカードということになります。
 そのゲイリー・ロック知事をオバマ大統領は、商務長官にして
いるのです。最初からロック氏を商務長官に任命したら、反対が
あったと思われますが、人事が二転三転したために議会の承認が
下りたのです。この人事について、日高義樹氏は、次のように懸
念を表明しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 商務長官はダンピングの問題をはじめ米中間の経済問題につい
 て大きな力を持つ。その商務長官が中国のオリンピックの聖火
 を掲げて走った中国系の人物に決まったのである。オバマ大統
 領は中国政府に、ワシントンに自由に出入りできる大きな金の
 鍵をわたしたようなものである。
        ――日高義樹著『オバマ外交で沈没する日本』
                        徳間書店刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 オバマ大統領のこういう中国寄りの姿勢は、日本にとってきわ
めて警戒すべき事態であるといえます。それは、次の命題に対し
て、オバマ政権がどのような対応をするかを考えてみるとよくわ
かります。
―――――――――――――――――――――――――――――
    オバマ政権は台湾有事のさい、台湾を守るのか
―――――――――――――――――――――――――――――
 2008年10月の大統領選の直前のことです。米国と中国の
間でちょっとした対立があったのです。それは、ブッシュ政権が
台湾に対して総額65億ドルの新しい兵器を売ったことに対して
中国が強く反発したのです。
 台湾に売却した兵器の中には、ミサイル防衛の中核になるパト
リオットミサイル、アパッチヘリコプター、ジャベリン対戦車ミ
サイル、それにF16戦闘機の部品が含まれていたのです。
 米国政府は、台湾問題について中国と次のように3回の話し合
いをしているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
     ニクソン政権 ・・・・・ 1972年
     カーター政権 ・・・・・ 1979年
     レーガン政権 ・・・・・ 1982年
―――――――――――――――――――――――――――――
 この3回の話し合いのいずれも次の2つのことが確認されてい
るのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
    1.中国は1つであり、台湾は別の国ではない
    2.台湾に対する中国の主権はこれを認めない
―――――――――――――――――――――――――――――
 つまり、台湾はきわめて中途半端なポジションに置かれている
のです。しかし、これら2つの取り決めのウラには、米国の次の
強い意思が働いているのです。つまり、米国は台湾と次の約束を
しているのです。これは米国の台湾に対する基本政策です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 もし、中国が台湾に対して武力行使をすれば、米国は軍事力
 をもって台湾を防衛する。
―――――――――――――――――――――――――――――
 米国はこの約束を守るために台湾に武器を売っているのです。
台湾の自衛力を高めるためです。しかし、ここに難しい問題があ
るのです。
 それは、中国が台湾を併合することは規定路線であり、それを
法律で決めていることです。しかし、それは許されないとして、
米国は、あらゆる軍事力を使ってそれを阻止する構えであるとい
うことです。
 しかし、ここにきて次の3つの情勢変化があり、米国が断固と
して今までの台湾に対する姿勢を貫けるかどうか、微妙になって
きていることです。
―――――――――――――――――――――――――――――
   1.中国の軍事力が増強されてきていること
   2.台湾内部で独立勢力が弱体化しつつある
   3.米国が中国に対して弱腰になりつつある
―――――――――――――――――――――――――――――
 中国が通常兵力で台湾を占領し、軍事的に制圧できるかどうか
というと、これは現在でも非常に困難であるといえます。台湾に
は高レベルのレーダーや通信網があります。中国はそれを破壊す
るためのミサイル攻撃を行う必要があります。しかし、占領する
には、船や飛行機で戦闘部隊を台湾に送り込む必要がありますが
これが難しいのです。なぜなら、中国は台湾海峡を越えて多数の
地上戦闘部隊を台湾に送り込むだけの輸送能力を持っていないか
らです。ラムズフェルド前防衛長官は、これについて次のように
いっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 あらゆる漁船や小型船舶を利用したとしても、中国が海を越え
 て地上軍を送り込み、台湾を軍事的に占領することは不可能で
 ある。    ――日高義樹著『オバマ外交で沈没する日本』
                        徳間書店刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 台湾は優秀な地上部隊と戦車、多数の航空機を持っており、制
圧に多大な時間を要するのです。 ――[オバマの正体/38]


≪画像および関連情報≫
 ●台湾有事と日本の対応について
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  防衛省の高見沢将林防衛政策局長は2008年3月13日の自
  民党安全保障調査会で、台湾海峡有事について「中国から『周
  辺事態(認定)はどうするのか』と聞かれれば、『日本は当然
  する』(と答える)。日米安保ではなく、これは日本自身の安
  全保障の問題だ」と述べ周辺事態法適用の可能性に言及した。
  これまで政府は台湾有事が同法の適用対象となるか明確にして
  こなかった。発言は台湾の武力統一も視野に急激な軍備増強を
  進める中国への防衛当局の強い警戒感を示したものといえる。
            http://sakura4987.exblog.jp/7542439/
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ゲイリー・ロック商務長官.jpg
ゲイリー・ロック商務長官
posted by 平野 浩 at 04:15| Comment(0) | TrackBack(0) | オバマの正体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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