2009年09月01日

●「大幅な工事遅延の上海万博米国館」(EJ第2646号)

 2010年5月1日〜10月31日――これは何が行われる日
かご存知でしょうか。
 上海万博の開催日とその期間なのです。中国政府は、北京オリ
ンピックを上回る450億ドルの予算を投入して、目下準備を進
めているのです。残されている期間はあと9ヶ月――300日を
切っているのです。
 ところが万博敷地内のアメリカ館は、少なくとも7月時点では
着工すらされていないというのです。当初年内完成を目指してい
たのですが、それはとても無理であり、開催日までに間に合うの
かさえ心配されているのです。
 米国は「日本館」と並んで、最大規模の約6000平方メート
ルの敷地に出展する意向を表明していたのです。既に日本は、官
民合同の日本館について、2009年2月4日に福田康夫前首相
などが出席して、起工式を行っています。
 しかし、「米国館」については、3月の時点でスポンサー契約
に同意したのは3M(スリーエム)1社のみだったのです。こう
した米国の状況を見かねた中国サイドは米国の国会議員に働きか
けてクリントン国務長官に書簡を送り、一年以内の着工を促した
のですが、それでも着工にいたらなかったのです。
 この事態において、上海万博への参加を表明している190ヶ
国以上の中で、中国と国交がありながら出展が最終確定していな
いのは、米国と欧州のアンドラだけになっているのです。こんな
ことは、今まででは考えられないことです。
 上海紙、新聞晨報などの報道では、米国政府は7月5日までに
「米国館」総代表にテキサス州在住の弁護士、ホセ・ビジャレア
ル氏を任命し、万博参加への強い意欲を表明したことを伝えてい
ます。また、清涼飲料大手の米ペプシコが、スポンサーとして、
500万ドルの拠出を決め、清涼飲料やスナック菓子を独占的に
提供することを表明したといいます。
 しかし、こうした進展はあるものの、米国館の建設費用や運営
費として見込まれる6100万ドルのうち、スポンサーが確保で
きたのは約3分の1の2000万ドル分に過ぎず、協賛企業はペ
プシコを含め8社にとどまっているのです。
 なぜ、政府が出さないのかというと、米国は法律で万博への政
府支出を禁じていて、民間の寄付だけが頼りなのです。しかし、
金融危機にあえぐ米企業は「万博どころではない」というのが実
情なのです。それだけ米国経済が傷んでいるということです。
 この事態に、上海万博事務局では「来年5月1日の開幕までに
完成しないパビリオンがあると、全体の運営に大きな影響を与え
る」として、7月末までの米国館着工を求めていたのですが、そ
れが果たされていないのです。
 ここまでくると、場合によっては米国の不参加もあり得るとし
て、中国サイドは次のように牽制したというのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 もし不参加なら、米国は世界最大の舞台でアピールする機会を
 失うことになる。米国政府と米国民にとって最も残念なことで
 あると考える。            ――上海万博事務局
―――――――――――――――――――――――――――――
 ちなみに、日本館のテーマは、「こころの和・わざの和」であ
り、最新の環境技術を導入したドーム型の建物を予定しており、
今年中にも完成の予定です。運営費を含めた総事業費は130億
円――政府が半分を拠出し、残りはスポンサー企業20社以上か
らの協賛金を当てることになっています。
 まさか、米国が不参加ということにはならないでしょうが、こ
ういう事態をみると、米国経済がいかに疲弊しているか理解でき
ると思います。
 さて、米国が中国に大きく依存しなければならない理由につい
ては昨日のEJで述べたとおりですが、オバマ大統領がいかに中
国におもねっているかを示す「ある人事」をめぐる騒動をご紹介
したいと思います。
 米国に国家情報会議(NIC)という機関があります。NIC
とは、中央情報局(CIA)など16の情報機関で構成する情報
共同体であり、各種の情報に基づき、米大統領のために、中・長
期的予測を行う諮問機関です。15〜20年間に渡る世界の政治
情勢の予測のほか、同機関は、国家情報評価(NIE)と称され
る短期的な評価を大統領のために作成しているのです。
 このNICは、2003年11月のことですが、次のような驚
くべき報告をまとめているのです。韓国の新聞である東亜日報が
次のように伝えています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 日本が2020年をめどに自衛隊の役割を強化する改憲を終え
 て核兵器を保有する可能性があると、米中央情報局(CIA)
 が属している国家情報会議(NIC)が展望した。米国の公的
 機関が日本の改憲と核武装の可能性を取り上げたのは異例なこ
 とである。  ――2003年11月31日付、東亜日報より
―――――――――――――――――――――――――――――
 話を戻しますが、オバマ大統領はこの国家情報会議の委員長に
チャス・フリーマンなる人物を任命しようとして、大騒ぎになっ
たのです。
 このチャス・フリーマンという人は、元サウジアラビア駐在大
使なのですが、彼は中国の手先であるとしてもの凄い反対が巻き
起こったのです。NICの委員長といえば、米政府の諜報機関の
最高責任者であり、そんなポストに親中国系の人物を任命すると
は何事かという反対です。
 なぜ、彼が中国の手先であるといわれるのかというと、彼がワ
シントンで講演したり、論文を書いたりするさいに必ず天安門事
件に言及し、「この事件は中国政府にとって必要かつ大切なこと
であった」と、中国を弁護していたからです。こういう人物を安
易に諜報機関のトップにする人事にワシントン中の保守グループ
が驚愕したのです。      ―――[オバマの正体/36]


≪画像および関連情報≫
 ●上海万国博覧会について
  ―――――――――――――――――――――――――――
  2010年5月1日〜10月31日に開催される中国初の万
  国博覧。会場予定地(黄浦江周辺)の総面積は528ヘクター
  ル、投資総額も約30億ドルと万博史上最大規模である。入
  場者も7000万人を見込んでおり、達成されれば過去最多
  だった「大阪万博(1970年)」の6422万人を上回る。
  中国にとっては、北京オリンピック(2008年)に続く国家
  的プロジェクトだが、近年の国際イベントの主流である「環
  境」に配慮した都市づくりを主眼に、「より良い都市、より
  良い生活」をテーマに掲げている。
  http://kotobank.jp/word/%E4%B8%8A%E6%B5%B7%E4%B8%87%E5%8D%9A
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上海万博/日本館完成予定図.jpg
上海万博/日本館完成予定図
posted by 平野 浩 at 04:17| Comment(0) | TrackBack(0) | オバマの正体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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