2009年08月24日

●「伊藤貫氏による日本核武装論」(EJ第2640号)

 終戦記念日の8月15日、NHK総合テレビの午後7時30分
から放映された『日本の、これから「核」』という番組をご覧に
なったでしょうか。
 米国のオバマ大統領がプラハで「核兵器のない世界を目指す」
と宣言し、核兵器削減に向けて動き出そうとしていることに対し
唯一の被爆国日本では核兵器廃絶の方針を歓迎する声があがって
います。しかし、日本の外務省は、11月初旬に初来日が予定さ
れているオバマ大統領に対し、広島・長崎の被爆地訪問を要請し
ないことを米国に伝えたそうです。
 その一方で、北朝鮮はミサイル発射と核実験を強行し、「核の
闇ルート」を経て、核がテロリストへわたる危険性が指摘されて
います。日本の安全保障は明らかに脅かされているのです。
 これまで日本は「核廃絶」を訴えながら、自らは日米安保条約
によって米国の核の傘の下に入り、安全を保障されてきていると
いう一見矛盾したスタンスでここまでやってきたのです。
 15日のNHKテレビの『日本の、これから』という番組は、
核をめぐる緊張感が高まるなかで日本人は、隣国の脅威にどう対
峙していけばよいのかというテーマを真正面から取り上げ、時間
をかけて討論が行われたのです。
 討論の中では、多少表現はぼかしながらも、「日本は核を持つ
べきか否か」というテーマも討論され、意外に多くのパネラーか
ら、このテーマに対して肯定的な発言――日本も専守防衛という
目的で核を持つべきである――に近い発言があったことに正直驚
いております。今までこの問題を討議することはタブーであり、
テレビ、とくにNHKの番組で取上げることなど、とうてい考え
られなかったからです。
 既にここまで述べてきたように、オバマ政権になって、肝心の
日米安保条約が変質しようとしています。そして、この流れはも
はや止められないような気がします。
 既出の国際政治アナリストの伊藤貫氏――ワシントン在住――
は、『Voice/2009年9月号』で、次の衝撃的なテーマ
で、日本の核武装論を展開しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 核武装なくして日本は滅ぶ/あえてタブーに踏み込んだ8つの
 理由                    ――伊藤貫氏
―――――――――――――――――――――――――――――
 伊藤貫氏は、東京大学経済学部を卒業し、米コーネル大学で国
際政治学・安全保障政策を学んた後、ワシントンのビジネス・コ
ンサルティング会社に国際政治・金融政策アナリストとして勤務
しています。ワシントンに在住し、BBC、CBS、CNNなど
の政治番組で、外交政策と金融政策を解説するなど幅広い活躍を
しています。伊藤氏によると、核は平和の兵器であり、日本が核
を持つことによって東アジアの平和は安定する――けっして過激
ではない、まっとうな日本核武装論を展開する人です。
 そういうわけで、テーマと関係があるので、今日から5回にわ
たって伊藤貫氏の論文をご紹介することにします。
 伊藤氏は、上記の論文において、「あえてタブーに踏み込んだ
8つの理由」を上げていますが、私なりに整理してその理由を示
すと、次のようになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
  1.国際政治の勢力均衡構造が日本に不利な方向に変化
  2.今後、米国の軍事力・政治力が、東アジアから撤退
  3.米政府が提供する「核の傘」では、日本を守れない
  4.MDシステムでは、中朝露からの核攻撃を防げない
  5.オバマ大統領がいう「核兵器の廃絶」は絶対不可能
  6.米国自身がNPT違反の核政策を長く実行している
  7.「米の核持ち込み」では真の核抑止力とはならない
  8.日本のミニマム・ディテランス構築で、問題は解決
   ――『Voice/2009年9月号/第381号』
                   伊藤貫氏論文より
―――――――――――――――――――――――――――――
 第1の理由「国際政治の勢力均衡構造が日本に不利な方向に変
化」から考えていくことにします。
 過去500年間の国際政治は、バランス・オブ・パワー(勢力
均衡)の論理で動いてきたと伊藤氏はいいます。ある国が世界制
覇を企てて行動すると、必ずその動きを阻止し、牽制しようとす
る勢力が現れ、その企ては阻止されています。
 16世紀のスペイン、17世紀後半と19世紀初頭のフランス
20世紀前半のドイツ――これらはすべて世界制覇の試みを他の
諸国の連携プレーによって阻止されているのです。
 そして、1947年から42年間に及ぶソ連と米国の二極時代
――いわゆる冷戦時代が続くのですが、その間日本は、対米依存
・対米協調の外交主義をとってきており、これは判断としては正
しかったといえます。
 しかし、1991年にソ連が崩壊して米国の一極構造になった
あとも日本外交は依然として対米依存・対米協調の外交政策を継
続したのです。こうした日本の外交姿勢に対して、米国の優秀な
リアリスト派の国際政治学者――ケナン、ウォルツ(コロンビア
大学)、キッシンジャー、ミアンシャイマー(シカゴ大学)、ハ
ンティントン(ハーバード大学)たちは、次のように警告してい
ますが、日本の親米保守派は聞く耳をもたなかったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 アメリカによる一極支配は不可能である。21世紀の世界は必
 ず多極化する。      ――リアリスト派の国際政治学者
―――――――――――――――――――――――――――――
 2009年の現在、国際構造が多極化しているのは、誰の目に
も明らかです。こういう国際構造の多極化が今後も進んで、米国
の支配力が相対的に衰退していくことは避けられないことです。
 こういう時代に日本政府は、対米依存・対米協調の外交政策を
とり続けるのでしょうか。   ―――[オバマの正体/30]


≪画像および関連情報≫
 ●サミュエル・フィリップス・ハンティントン氏とは
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ハンティントンはリアリズムを基調とした保守的な思想で知
  られる国際政治学の世界的権威である。彼はもともと近代化
  とそれに伴う社会変動や民主化の理論で政治理論家としての
  名声を築いた。しかしその名を一躍世界に広めたのは「フォ
  ーリン・アフェアーズ」誌に投稿した論文をもとにした著書
  『文明の衝突』である。ハンティントンは、冷戦以後の世界
  を文明にアイデンティティを求める諸国家の対立として描い
  た。コソボ紛争やトルコのEU加盟などさまざまな国際的な
  事例を引きつつ、文明同士のブロック化が進む世界を分析し
  た。この主張は世界各国で反響を呼び、彼の名を世界的なも
  のにした。             ――ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

ハンティントン氏.jpg
ハンティントン氏
posted by 平野 浩 at 04:17| Comment(1) | TrackBack(0) | オバマの正体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 伊藤貫さんの記事HPを検索中にこのサイトにたどり着きました。 「中国の核が世界を制する」を読み、核保有を漠として思っていましたが、確信をもてるようになりました。核を保有し、中型の国として自主独立すべきです。経済・軍備・哲学の三要素をしっかり兼ね備えて、世界に尊敬される国柄を目指し、世論を喚起してください。
今の左派勢力をどう打破するればいいのか、一緒に考えたいと思います。




Posted by 富安 孝亮 at 2009年11月16日 12:20
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