2009年08月20日

●「意外に好戦的なオバマ大統領」(EJ第2638号)

 軍拡一辺倒に走る中国によって、日本をめぐる軍事情勢は一変
しつつあります。米国は中国と接近する一方で、中国を仮想敵国
として備えを厳重にしているのです。
 こういう状況下において重要な鍵を握るのは、オバマ大統領の
国際政治に関する考え方です。バラク・オバマ氏は、どういう大
統領なのでしょうか。
 オバマ大統領は、前任者のブッシュ大統領と比べると、平和主
義者に見えるときがあります。「核廃絶」なども唱えています。
しかし、よく調べてみると、オバマ氏にかなり好戦的な一面があ
ることがわかってきたのです。
 ウェブスター・グリフィン・タープレイという米調査ジャーナ
リストの手になる『オバマの危険な正体』という本には、あるテ
レビ討論におけるオバマ発言について、次のエピソードが書かれ
ています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 多くの人が驚くだろうが、テレビ討論の発言から読み取れたの
 は、オバマが民主党きっての主戦論者であることだ。2007
 年7月にシカゴで行われた討論会では、「テロリストの拠点を
 攻撃する目的であれば、パキスタン政府の意向を確認せずに同
 国を爆撃するつもりだ」と宣言している。これは非常に挑発的
 で危険な発言であり、ヒラリー・クリントンは無責任な発言だ
 と激しく批判した。ジョン・マケインは「いかにも経験不足で
 あることを露呈している」と指摘した。究極の軍事的冒険主義
 者と長年目されてきたブッシュでさえ、「ムシャラフ大統領の
 協力をあおぐことなく、パキスタンを攻撃することは絶対にな
 い」と強調している。この発言によって、オバマが民主党候補
 者のなかでもっとも好戦的な人物だと露見してしまった。
       ――ウェブスター・G・タープレイ著/太田龍訳
          『オバマの危険な正体』より/成甲書房刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 もうひとつ、オバマ政権の姿勢をあらわしている、ソマリアの
海賊問題に対する米国の対応があります。
 ソマリア沖の海賊問題とは、アデン湾とインド洋のソマリア周
辺海域で発生し、国際海運の障害となっている海賊問題のことで
す。1990年代初期にソマリア内戦が始まった頃から目立つよ
うになり、近年に活動が活発化して、スエズ運河・紅海を経由し
地中海とインド洋を往来する年間約2万隻の商船にとって大きな
脅威となっているのです。
 なお、一口にソマリア沖といいますが、事件の多くはアデン湾
で発生し、2008年にいたっては、そのほとんどがアラビア半
島のイエメン沿岸というべき海域で起こっているのです。
 このソマリア沖の海賊はソマリアからやってくるのではないの
です。近くのイエメンでアルカイダと一緒に行動しているテロリ
ストたちなのです。彼らはヨーロッパ社会に対して嫌がらせをし
て海賊行為をやっているのです。
 このように海賊がテロリストであることがわかっていながら、
オバマ政権は海賊騒ぎが起こっても、米海軍を現地に派遣しよう
とはしなかったのです。ちなみにソマリア沖の海域は米第5艦隊
の担当地域です。
 オバマ大統領は、世界の国々からソマリア沖に第5艦隊の主力
を派遣して欲しいと強く要望されたにもかかわらず、なかなか支
援をしようとせず、小型艦艇をたった一隻しか派遣しなかったの
です。それでもさすが米国で、その艦艇は大活躍したのです。
 ところが米国人の艦長が海賊に拉致されるという事件が発生す
ると、突然オバマ大統領の態度が一変したのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 オバマ大統領が真剣になって海賊問題にとりくみ始めたのは、
 海賊がアメリカ人艦長を拉致したからである。オバマ大統領は
 アメリカ第五艦隊の司令官に直接、命令を発しただけでなく、
 第五艦隊の艦艇に乗り組んでいる海軍特殊部隊シールズの射撃
 手に対して、「遠慮なく海賊を撃ち殺せ」と命令した。アメリ
 カ第五艦隊の駆逐艦は4月12日、まっくらな海上に海賊船を
 みつけた。赤外線の特殊眼鏡をかけたシールズの隊員が30メ
 ートル先から狙撃銃で海賊船の舳先から頭を出した二人の海賊
 を射殺した。二人の隊員が二発を発射、つまり一発で仕留めた
 のである。おどろいた三人目の海賊は水中に飛び込み、アメリ
 カ人の船長は無事に救助された。
        ――日高義樹著『オバマ外交で沈没する日本』
                        徳間書店刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、その後も海賊問題は続いていますが、オバマ大統領は
米国の船と乗務員に対する攻撃以外の行動は口はともかくとして
消極的であり、今までの米大統領とは明らかに異なっています。
 2009年3月末に米国の調査会社が行った世論調査では、米
国の国民の37%が米国は強い国である必要はなく、世界のこと
に責任を持つ必要もないと答えていることがわかったのです。要
するに、米国人が世界のために犠牲を払うことは反対であり、自
分たちのことだけに力を使うべきである――このように答えてい
る人が37%を占めたのです。
 おそらくこの37%の人たちがオバマ氏に投票したと思われま
す。これに対して共和党のマケイン候補に投票した人たちはこれ
まで通り、強いアメリカを望んでおり、国際的な責任はもちろん
とるべきであると考えているのです。
 37%といえば国民全体の3分の1以上であり、それらの人た
ちが「強いアメリカ」を望んでいないとすると、米国は大きく変
わりつつあるといえます。つまり、これらの人たちは、今までと
はぜんぜん異なる大統領をホワイトハウスに送り込んだことにな
るのです。日高義樹氏は、米国の指導者と話していて感ずるのは
日本の防衛について低い関心しかもっていないということです
               ―――[オバマの正体/28]


≪画像および関連情報≫
 ●イスラム勢力と組んだソマリア海賊/吉田鈴香氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ソマリアはアフリカ大陸で最も東に張り出した土地であり、
  真北にイラン、真西にスーダン、ナイジェリア、コートジボ
  ワール(象牙海岸)、リベリア、シエラレオネなど、近年内
  戦の火が絶えなかった地が並ぶ。内戦中の国々は大量の小型
  武器を要する。さらに近年は戦車など、重量のものも使われ
  ている。ソマリア内で使用されるもの、ソマリアを通過して
  西へと運ばれるもの。どちらであれ、これらの武器、兵器は
  どのルートをたどってソマリアに入ってきたか、調べねばな
  らない。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20090427/193130/
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海賊退治に出動した米イージス艦.jpg
海賊退治に出動した米イージス艦
posted by 平野 浩 at 04:18| Comment(0) | TrackBack(0) | オバマの正体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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