2009年08月17日

●「在日米軍基地が無力化しつつある」(EJ第2635)

 2008年の大統領選挙が行われる少し前のことです。米国太
平洋空軍(PACAF)のチャンドラー司令官は、その指揮下に
ある全航空機を投入して大がかりの訓練を行ったのです。これは
米空軍の戦闘能力をチェックする訓練なのです。
 この訓練では、実際の航空機を使って、米国側のブルー・フォ
ースと中国側のレッド・フォースに分かれ、実戦さながらの戦闘
訓練が行われたのです。実際にどのような訓練が行われたのかに
ついては不明であるが、中国の新しい軍事力の脅威に対して米国
がどこまで防御できるかを見極め、これからの米国の空の太平洋
戦略を決める重要な訓練であったのです。
 この訓練の主力となる戦闘機は、グアム島を基地とする米国第
13空軍であり、参加した航空機は、F22戦闘爆撃機、B1戦
略爆撃機、B52爆撃機と最新鋭のB2なのです。これらの米軍
最前線の飛行部隊は、グアム島を飛び立ち、空中給油を受けなが
ら、長時間にわたって戦闘訓練を行ったのです。また、沖縄の嘉
手納基地からF15、米国本土アラスカの基地からも地上迎撃用
F16戦闘機が参加したのです。
 このなかでF−22は、米国のはじめてのレーダーに映らない
戦闘爆撃機で、高い能力を持っています。その能力は「3S」と
いわれています。
―――――――――――――――――――――――――――――
    第1のS ・・・・・ ステルス性が高度である
    第2のS ・・・・・ スーパークルーズが可能
    第3のS ・・・・・ STOL/短距離離着陸
―――――――――――――――――――――――――――――
 F22の最大の特色は「ステルス性」ですが、その精度はきわ
めて高いのです。第2のSの「スーパークルーズ」とは、超音速
巡航のことですが、F22はそれをアフターバーナーを使用しな
いでやることができるのです。
 アフターバーナーというのは、ジェットエンジンの排気にもう
一度燃料(ケロシン)を吹きつけて燃焼させ、高推力を得ること
をいうのです。今までのスーパークルーズの達成には、このアフ
ターバーナーが不可欠だったのですが、F22はアフターバーナ
ーを使わないで、スーパークルーズを達成できるのです。
 第3のSのSTOLは、ほとんどヘリコプターなみの離着陸が
可能になっているのです。実際にこの訓練のシミュレーションで
は、F22が1機で40機から50機のレッド・フォースの新鋭
戦闘機を撃ち落としているのです。
 この大がかりな訓練の結果は、チャンドラー大将のもとでまと
められ、「パシフィック・ビジョン」というタイトルが付けられ
て、キーティング太平洋軍司令官に送られ、統合参謀本部を経由
して、ゲーツ国防長官のもとに届けられたのです。
 その「パシフィック・ビジョン」の詳細な内容は知る由もない
が、中国の新しいミサイル戦略はかなり強力であり、これに対抗
するため、米国は太平洋における空軍とそれを支援する基地体系
や通信体制の革新が不可欠であるという結論になった模様です。
日高義樹氏は、米太平洋軍の関係者の言葉として次のように伝え
ています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 あらゆる日本列島のアメリカ軍の基地は中国のミサイルに簡単
 に攻撃され、軍事行動が始まれば、あっというまに壊滅する。
 台湾の対岸に配備された中国の最新ミサイルは、半数以上が移
 動型の車両から発射されるモービル・ランチャー型で、アメリ
 カ側が場所を前もって探知し攻撃することは難しい。中国側が
 配備している中距離ミサイルは、中国本土から台湾を簡単に攻
 撃できるだけでなく、沖縄の基地や、九州をはじめとする日本
 本土のアメリカ軍基地を簡単に攻撃できる。
        ――日高義樹著『オバマ外交で沈没する日本』
                        徳間書店刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 つまり、この訓練で明らかになったことは、在日米軍基地が中
国の新しい膨大なサイルの脅威に対して、まったくの無防備であ
ることなのです。かつては在日米軍基地は強力そのものであり、
日本列島に対する軍事行動などあり得なかったのです。
 冷戦時代には、ソ連軍が北海道に侵攻することを想定しての日
米の守りがありましたが、中国や北朝鮮が日本を攻撃してくるこ
となど考えられなかったのです。そのため、在日米軍基地では、
いまだに弾薬庫や燃料を陸上の格納庫に入れたままになっている
のです。したがって、それを目掛けてミサイルが攻撃してきたら
大変な被害が出ることになります。
 しかし、ソ連が崩壊して冷戦が終結し、長い年月を経て中国と
いう強大な軍事大国に対する備えを米国としては十分とってこな
かったといえるのです。
 とくに日本は平和ボケして、米国がついているから大丈夫であ
るとタカをくくっていたため、米軍ともきちんとした交渉をして
こなかったのです。米軍としてはそういう危険な状態にある在日
米軍基地の防衛について、日本側と何度も交渉をしようとしてき
ているのですが、意見がかみ合わないようなのです。
 日本人のほとんどの人は、中国が既に優れた技術を持ち、日本
の基地を攻撃すれば木っ端みじんにできることは認めても、現在
の国際情勢のもとで、中国が日本を攻撃するはずがないと楽観し
ているのです。防衛関係者にしてこういう感覚なのです。日本人
がこういう感覚を持っている限り、米軍は日本人と防衛問題を話
し合っても無駄だと思ってしまうでしょう。
 弾薬や燃料を地下に格納して在日米軍基地を強化すべきである
という米側の要求に対して、在日米軍基地を守ったとしても、そ
の周辺の民間住宅や公共の建物は少しも安全ではないと日本側は
反論するのです。これでは、いつまで経っても日米の溝は埋まら
ないことになります。この考え方は世界の軍事常識とほど遠いか
らです。           ―――[オバマの正体/25]


≪画像および関連情報≫
 ●F22戦闘機とは何か
  ―――――――――――――――――――――――――――
  アメリカ空軍(USAF)のF−15C/D制空戦闘機の後
  継機として、ロッキード・マーティン社が先進戦術戦闘計画
  に基づいて開発した第5世代ジェット戦闘機に分類される世
  界初のステルス戦闘機である。冷戦下に開発が行われ、19
  96年からの調達で最終的には750機の配備を予定してい
  た。しかし、冷戦の終結に伴って開発が遅れ、正式な配備は
  2005年に始まった。ミサイルや爆弾を胴体内に搭載する
  ことや、アフターバナーなしでの音速巡航(スーパークルー
  ズ)能力を持つことを特徴とする。  ――ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

F22戦闘爆撃機.jpg
F22戦闘爆撃機
posted by 平野 浩 at 04:19| Comment(0) | TrackBack(0) | オバマの正体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック