2009年08月14日

●「オバマ米大統領の日本観」(EJ第2634号)

 確認した人がいるわけではないが、ホワイトハウスのどこかの
部屋に「ある絵」が飾ってあるそうです。その絵とは、第2次世
界大戦当時の新鋭爆撃機B25の絵なのです。これはオバマ大統
領が海軍の画家に命じて描かせたものといわれています。
 第2次世界大戦さなかの1942年4月18日、東京、名古屋
北九州が大空襲を受けたのです。これは「ドゥリトル空襲」と呼
ばれています。
 「ドゥリトル」とは、米陸軍航空隊のドゥリトル少佐のことで
あり、日本空襲の指揮官です。ドゥリトル少佐は、東京近くまで
ひそかに侵入した米空母「ホーネット」から新鋭爆撃機B25を
発艦させ、日本各地を空襲したのです。
 空母の艦載機による空襲は、当然のことながら帰艦することを
前提とする出撃であり、空襲の範囲が大きく制約されますが、空
母からB25を発艦させる場合は、帰艦することは前提ではない
ので、広範囲に空襲できます。実際にドゥリトル少佐は、空襲の
あとそのまま飛び続けて中国国内に不時着しているのです。
 この突然の空襲に日本軍は驚き、報復のために山本五十六連合
艦隊司令長官は、米空母機動艦隊にミッドウェー沖で決戦を挑み
敗北しています。この海戦によって、事実上日本の負けは決まっ
たといっても過言ではないのです。
 空母から重爆撃機を発艦させる――この発想は当時としては考
えられなかったのです。空母は滑走距離が短いので海面すれすれ
の発艦となり、失敗する危険が多く、しかも帰艦できないからで
す。しかし、そういうことを敢然として行い、成功させたことを
高く評価してオバマ大統領は画家に命じて絵を描かせたというの
です。彼はこのように「考えられないことをする」のが好きなの
です。それが彼の標榜する「チェンジ」なのかもしれません。
 日本を空襲したドゥリトル少佐のB25をわざわざ描かせてホ
ワイトハウスの部屋に飾る――この行為ひとつとっても、彼が日
本をどのように考えているか見える気がします。
 確かにオバマ大統領は世界に対して「核廃絶」を訴えており、
それは歴代米大統領としては「考えられないことをする」ことに
入るかもしれません。
 しかし、オバマ大統領が本気でそう考えているならば、プラハ
などではなく、ちょうど良い時期であるので、唯一の被爆国であ
る日本の広島に来てそういうべきではなかったかと思います。も
し、彼がそれをやったら、多くの日本人は彼を心から称賛し、受
け入れたと思うのですが、オバマ大統領自身は、そういう発言を
していないし、今後そうする予定もないようです。
 「考えられないことをする」ことで一番懸念されるのは、オバ
マ政権が北朝鮮を正式に認めてしまうことです。現実問題として
クリントン元大統領の突然の訪朝もあり、これから事態が動く可
能性も出てきています。
 オバマ大統領の北朝鮮に対する姿勢は、ブッシュ前大統領やラ
イス前国務長官を裏切って北朝鮮と二国間交渉を行ったクリスト
ファー・ヒル氏を称賛し、イラク大使に抜擢したことにもよくあ
らわれているのです。
 日高義樹氏は、米国の北朝鮮問題について次のように述べて、
日本人に警告を発しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ここにいたって、われわれがあらためて考えなければいけない
 のは、アメリカの歴代大統領が誰も北朝鮮問題を真剣に考えて
 いなかったことだ。アメリカにとって北朝鮮問題は外交上の小
 さな問題である。ノドにかかった小骨ほどの痛みは伴わない。
 だが日米安保条約にもとづいて国の安全を維持している日本に
 とっては、アメリカの北朝鮮政策は死活にかかわる問題だ。イ
 ソップの物語にあるではないか。子供がカエルを相手に石をぶ
 つけてふざけているのに対し、カエルがこういった。「あなた
 にとって単なる遊びかもしれないが、わたしにとっては、命に
 かかわる問題だ」。日高義樹著『オバマ外交で沈没する日本』
                        徳間書店刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 オバマ大統領が本当に日米関係を重視するなら、日本駐在米大
使をなぜもっと早く決められなかったのでしょうか。当初予定し
ていた人物が就任を拒否したなどの情報が流れるなか、やっと決
まったのが、ジョン・ルース氏という人物です。
 オバマ大統領は記者会見で、ルース氏の起用について「日米関
係は、両国の安全保障と経済的繁栄のための要石の一つだ。私が
駐日大使にルース氏を指名した理由は、優れた判断力、卓越した
知性、私の近しい友人で相談相手である点などがふさわしいと判
断したからである」と述べていますが、こんな話が出てきている
のです。オバマ大統領が各国の大使に任命した人物は、いずれも
大統領選でオバマ氏に大口献金をした人物が多いというのです。
 これについて、7月6日付/産経新聞は、次のような驚くべき
報道をしているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ウォールストリート・ジャーナルは「献金者たちはオバマの大
 使職に居をみいだす」という見出しの記事でオバマ大統領がこ
 れまでに任命した新大使候補55人のうち60%にあたる33
 人が外交経験のない政治任命で、そのなかでも駐日大使に任命
 されたジョン・ルース氏やイギリス、フランス、ベルギー、ス
 イスの大使任命者などオバマ陣営への選挙資金の大口献金者が
 歴代政権よりずっと多い、と報じた。
               ――〔ワシントン=古森義久〕
―――――――――――――――――――――――――――――
 ルース氏はビジネスマン弁護士で、日本との接点はなく、知日
家でもないのです。それに外交経験もなく、どうやら献金額の大
きさで日本大使に選ばれたと考えられます。しょせんオバマ大統
領の日本への関心はその程度なのです。こんなことで日米関係は
うまく行くのでしょうか。   ―――[オバマの正体/24]


≪画像および関連情報≫
 ●「ドーリットル空襲」について
  ―――――――――――――――――――――――――――
  真珠湾攻撃以降一方的な敗退を続け、さらに開戦後の194
  2年2月24日には、日本海軍の伊17乙型大型潜水艦によ
  るアメリカ本土のカルフォルニア州サンタバーバラのエルウ
  ッド石油製油所への砲撃を受け、大きな衝撃を受けたアメリ
  カ軍は、士気を高める方策として帝都・東京を爆撃する計画
  を立てた。アメリカ陸軍は長距離爆撃機を保有していたもの
  の、その行動半径内に日本を攻める基地は無く、ソ連の領土
  は日ソ中立条約のため、爆撃のための基地使用は行えなかっ
  た。また、アメリカ海軍の空母艦載機は航続距離が短く、爆
  撃のためには空母を日本近海に接近させる必要があり、これ
  は太平洋上で唯一動ける空母機動部隊が危険に晒されること
  を意味した。そんななか、アメリカ海軍の潜水艦乗組員が、
  「航続距離の長い陸軍の爆撃機を空母から発艦させてはどう
  だろうか」とルーズベルト大統領に進言。B−25爆撃機を
  急遽、空母の短い飛行甲板から発進出来るように軽量化を図
  った。陸軍爆撃機の空母からの発艦は実戦では初であり、こ
  の作戦はトップシークレットとされた。また、空母に着艦す
  るのではなく、日本列島を横断して当時、日本軍と戦争中で
  あった中華民国東部に中華民国軍の誘導信号の下で着陸する
  予定となった。B−25を搭載する空母はホーネットとされ
  エンタープライズが護衛に付くこととなった。
                    ――ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

空母から発艦するB25爆撃機.jpg
空母から発艦するB25爆撃機
posted by 平野 浩 at 04:14| Comment(1) | TrackBack(0) | オバマの正体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
このサイトは、自分の「お気に入り」にいれています。このサイトの洞察力の深さに驚き、かつ、マスコミでは報道されない貴重な情報や考え方を教えて頂き、感謝しております。そして、何よりも、あのオバマ大統領は、やはり、熱狂した米国市民にとって「期待はずれ」だったというよりも、「平然と国民をだませる、世界史上最悪の大統領」になりつつあります。むしろ、9.11の自作自演テロの黒幕とされている極悪人のブッシュ元大統領の方が、本音を洩らす正直で伝統的なタカ派大統領であったと感じます。聖書研究者によれば、『悪魔は、それらしく見えない、善人な平和主義者の仮面をつけて、人々の前に現れ、甘い言葉で誘惑し、そして、破滅させ、地獄へ連れ去る。』そうですから、注意せねばなりません。
Posted by THCDMT at 2009年08月16日 00:11
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