2009年08月13日

●「北朝鮮の第2回核実験は偽造か」(EJ第2633号)

 2009年5月25日、オバマ米大統領が世界的に核廃絶を訴
えるなか、まるでそれに逆らうように北朝鮮は地下核実験を強行
したのです。そして北朝鮮は、次のようなメッセージを世界に配
信したのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 自衛的核抑止力を強化するための措置の一環として、25日に
 地下核実験を成功裏に実施した。  ――北朝鮮ニュース速報
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、この核実験は偽装だったのではないかという情報があ
るのです。その情報は『週刊ポスト』/2009年8月14日号
の「池上彰の鳥の目/虫の目」第158回に出ていたのです。ご
覧になっていない方も多いと思われるので、ご紹介します。
 どうして北朝鮮の2回目の核実験が偽装であると疑われるので
しょうか。
 それは、核実験をやると必ず大気中に放出されるはずの放射性
核物質のクリプトンやキセノンが実施から3ヶ月も経つのに検出
されていないからです。
 北朝鮮が、2006年10月に第1回の核実験をやったときは
北朝鮮から遠く離れたカナダのイエローナイフ観測所がキセノン
を検出し、米軍の偵察機も日本海上空で同物質を採取しているの
です。したがって、このときは北朝鮮は間違いなく核実験を実施
しているのです。
 したがって、今回も北朝鮮の核実験実施の発表直後から、韓国
原子力安全技術院は、韓国空軍と海軍の協力を得て、韓国と日本
海の上空で大気のサンプル採取を実施し、日本では航空自衛隊が
同様のサンプル採取を行っています。米軍もWC135特殊偵察
機を飛ばしてサンプル採取をしているのですが、問題の放射性物
質は発見されていないのです。
 それでは、核爆発は本当にあったのでしょうか。
 5月25日に地下で大爆発があったことは確かなのです。これ
は、地震波の分析から間違いがないことなのです。日本では、気
象庁や東京大学地震研究所などの地震計が大きな揺れを記録して
いるのです。本物の地震の場合、P波とS波という伝達速度の異
なる2種類の地震波が発生するのですが、S波が不明瞭であり、
典型的な人工地震であることは間違いないのです。
 そこで、池上彰氏は次の3つの可能性を考えています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.核実験で発生した放射性物質が地下に完全に閉じ込められ
   大気中に放出されなかった可能性
 2.大気中には放出されたものの、風によって拡散され、どこ
   の機関も検知できなかった可能性
 3.北朝鮮が大量のダイナマイト(TNT火薬)を爆発させる
   ことで核実験偽装を企てた可能性
―――――――――――――――――――――――――――――
 第1の可能性について検討してみます。
 結論から先にいうと、この可能性はきわめて低い、というより
あり得ないと言ってもいいのです。
 地下で核実験をやると、核爆発で発生した通常の放射能が漏れ
出すということはないのです。しかし、希ガスと呼ばれるクリプ
トンやキセノンは、地中を通って必ず地上に出てくるのです。何
らかの事情でそれが地上に出てこないということは、絶対にあり
得ないといってよいのです。
 第2の可能性について検討します。
 この可能性は絶対にないとはいえませんが、世界各地に120
の観測所があり、今回の核実験のときはその70%が稼働してい
るのです。そのどこからもクリプトンやキセノンが採取できない
ということはやはりあり得ないのです。
 第3の可能性について検討してみます。
 第1の可能性、第2の可能性ともにその可能性が低い以上、第
3の可能性の信憑性が高くなります。核実験を行うには、相当量
のプルトニウムが必要になります。
 2008年に6ヶ国協議の議長国である中国に申告した核計画
によると、これまでにプルトニウム26キロを抽出している事実
が明らかになっています。そのうちの2キロは、2006年の第
1回核実験で使っているので、残りは24キロです。
 さらに使用済み核燃料棒にまだ8キロのプルトニウムが残って
おり、これを抽出したとすると、核兵器に使えるプルトニウムは
32キロになります。
 このようにプルトニウムの量が使える核兵器の数を決めてしま
うのです。それほどプルトニウムは貴重なのです。それに第2回
の核実験は、国連安保理決議に対するいわば北朝鮮の意地を見せ
るためのものに過ぎず、貴重なプルトニウムをそのような核実験
のために果たして使うかどうか疑問なのです。
 そうであるとすると、北朝鮮は核実験を偽装した可能性がある
のです。何しろ北朝鮮という国は、明らかに失敗しているミサイ
ルの発射を人工衛星の軌道打ち上げに成功し、「光明星」という
衛星が地球の周回軌道を回っているという明白なるウソを堂々と
主張する国なのです。したがって、核実験の偽装や捏造などは平
気でやると思われます。
 おそらく米国は、北朝鮮の核実験のウソをとっくの昔に知って
いると思われます。しかし、既に述べているように、米国にとっ
て「北朝鮮の脅威」は存在していないと困るのです。したがって
よくわかったうえで、北朝鮮を追い詰めない方針なのです。
 そういう方針であれば、日本の拉致問題などはまず解決するこ
とは困難でしょう。なぜなら、拉致被害者は、短期間拘束されて
いた米国人記者とは異なり、北朝鮮の秘密の部分を多く握ってい
るからです。日本や韓国の拉致被害者を返すことによって、そう
いう北朝鮮の秘密の部分が明らかになるということは、北朝鮮と
しては絶対に困るのです。
               ―――[オバマの正体/23]


≪画像および関連情報≫
 ●【希ガス】とは何か
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンおよび
  ラドンの6つの元素の総称です。これらの6元素は大気中の
  存在量が非常に少ないので希ガスと呼ばれます。また、非常
  に安定しており、他の元素と容易に化合せずに単独で気体と
  して存在する性質を持ち、不活性ガスともいわれます。原子
  炉内では核分裂生成物として放射性のクリプトン、キセノン
  アルゴンなどが生成されます。
  http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/gat/puru-QA_yougo.htm
  ―――――――――――――――――――――――――――

池上 彰氏.jpg
池上 彰氏
posted by 平野 浩 at 04:17| Comment(0) | TrackBack(0) | オバマの正体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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