2009年07月31日

●「米政権の経済のかじ取りは評価すべきか」(EJ第2624)

 オバマ政権の米経済のかじ取りをどのように評価すべきでしょ
うか。100年に一度の経済危機ということで、オバマ大統領が
就任する前から、なりふりかまわない景気刺激策と金融救済策に
巨額の資金を注ぎ込んできたのですが、それは本当に米国未来経
済の落ち込みを回避させることに成功したのでしょうか。
 確かにもっと下がるのではと思われてきたダウ平均株価は、7
月28日現在、9042ドルまで戻しており、それを好感して、
日経平均も1万円台を回復しています。
 バーナンキFRB議長は、今年の1月の議会証言では、次のよ
うに発言していたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 2007年12月に生じた米景気後退が今年度中に終焉を迎え
 2010年には回復に向かうと判断する十分な根拠がある。
                 ――バーナンキFRB議長
―――――――――――――――――――――――――――――
 確かにバーナンキFRB議長のいうように、ダウ平均株価につ
いては、上記のように戻してきているように見えます。さらに、
バーナンキFRB議長は、7月21日の議会証言で、米経済につ
いて次のコメントを出しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 米経済は2008年の第4四半期から09年の第1四半期にか
 けて大幅に収縮した。より最近では、下降ペースは著しく緩や
 かになったようにみえる。
       ――2009年7月22日付/日本経済新聞朝刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 これはどういうことを意味しているのでしょうか。
 これについては、経営コンサルタントの小宮一慶氏の分析をご
紹介することにします。米国のGDP成長率を見ていただきたい
と思います。
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  ≪米国のGDP成長率/実質 年率%≫
         2700年 ・・・・・  2.0
         2008年 ・・・・・  1.1
   2008年 7〜 9月 ・・・・・ ▲0.5
   2008年10〜12月 ・・・・・ ▲6.3
   2009年 1〜 3月 ・・・・・ ▲5.5
              ――米国務省データより
―――――――――――――――――――――――――――――
 2008年の第4四半期というのは10〜12月ですが、これ
は実質でマイナス6.3 %、しかし、2009年1〜3月がマイ
ナス5.5 %ですから、「大幅に収縮」といっているのです。
 そこで注目されるのは、2009年4〜6月期の数字です。そ
の数字は本日、すなわち、7月31日に発表されるのです。バー
ナンキ議長は、おそらく1〜3月期よりも下落幅は小さくなると
予測しているのだと思います。
 その一方でバーナンキFRB議長は、雇用について次のように
懸念を表明しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 最終需要と生産では一応の安定化のサインがみえているが、雇
 用は引き続き弱い。       ――バーナンキFRB議長
       ――2009年7月22日付/日本経済新聞朝刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 2008年は、雇用が307.8 万人減少しています。しかし
2009年に入ってからは、この6月までで既に338.2 万人
も減っているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
          失業率(%) 非農業部門(増減数万人)
 2009年 1月  7.6 %       ▲74.1 万人
 2009年 2月  8.1 %       ▲68.1 万人
 2009年 3月  8.5 %       ▲65.2 万人
 2009年 4月  8.9 %       ▲51.9 万人
 2009年 5月  9.4 %       ▲32.2 万人
 2009年 6月  9.5 %       ▲46.7 万人
                   ――米総務省のデータ
―――――――――――――――――――――――――――――
 一番最新のデータで米国の失業率は9.5 %――もはや10%
を超えるのは確実とみられています。そうなると、オバマ政権の
支持率は大幅に下がると思います。確かに5月は失業者が若干減
り、このまま減少するのではないかと考えられたのですが、6月
にはさらに失業者が増えてしまっています。
 バーナンキFRB議長は、さらにいろいろ述べており、小宮氏
の分析はまだ続くのですが、米経済の分析は新しいデータが出た
時点で改めて述べることにします。
 バーナンキFRB議長は、「金融は著しく改善している」と強
調したうえで、次のように議会証言を締めくくっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 雇用は引き続き失われ、失業率は上昇している。失業と住宅価
 格の下落などにより、個人消費の伸びにも制限があるだろう。
 最近の住宅価格の安定が一時的なものである場合、今後の景気
 見通しが悪化する恐れがある。
       ――2009年7月22日付/日本経済新聞朝刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 一番心配なのは、米経済は本当に持つのかということですが、
それは長期金利が今後どのように推移するのかにかかっていると
思います。上記の7月22日付の日本経済新聞の記事でも次の見
出しが出ていたのです。
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         長期金利の抑制を重視
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 長期金利については来週考えます。―[オバマの正体/14]


≪画像および関連情報≫
 ●金融市場議論百出
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  オバマ米大統領は、2009年6月23日に「ベン・バーナ
  ンキについては新しいニュースをつくろうとは思わない。非
  常に困難な環境下で彼がすばらしい仕事を行なってきたと私
  は思っているが」と語った。来年1月に4年の任期が終わる
  バーナンキ議長を大統領が再任するか否かにマスコミや市場
  の関心が集まってきている。それに対する答えが上記の発言
  である。昨年9月のリーマンショック以降、バーナンキ率い
  るFRBは、崩壊しかかった金融市場を支えるために、FR
  Bのバランスシートをリスクにさらしながら、救済策を次々
  と発動してきた。
       http://diamond.jp/series/money_market/10086/
  ―――――――――――――――――――――――――――

バーナンキ議長議会証言.jpg
バーナンキ議長議会証言
posted by 平野 浩 at 04:18| Comment(0) | TrackBack(0) | オバマの正体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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