米国債にも及ぶのです。現在米国債は2兆ドル分以上も水増し発
行されているといわれているので、依然として最高ランクAAA
は保っているものの、今回の金融危機によって信用力は落ちて、
なかなか買い手がつかない状態が続いています。
ところが、内外ドル分離後に発行される米国債については、当
然のことですが、価値が高くなります。そうすると、旧国債は下
落することになります。
もちろん国債ですから償還されますが、旧ドル札時代の国債で
すから、償還も旧ドル札でしか行われない――そうなる可能性が
十分あります。そんなことになったら、日本や中国が保有してい
る米国債は紙くず同然になりかねないのです。
浜田和幸氏はさらに米国はこの内外ドル分離策に「デノミネー
ション」を組み合わせてくる可能性を指摘しています。そうする
と、過去に例をみない通貨再生オペレーションが可能になると浜
田氏はいうのです。
米国政府が一日だけの金融機関の「バンクホリデイ」(支払停
止)を実施したとします。平時でこんなことをやったら大変です
が、これほどの金融恐慌のときですから、いつでもやることはで
きるはずです。
このときに新ドル札と旧ドル札との交換比率を「1対2」とす
るデノミを宣言したとします。そうすると、旧ドル札は、この日
を境に半分の価値になってしまうことになります。
しかし、米国民については、旧ドル札2枚で買っていた品物は
新ドル札1枚で買えるので、給与も預金も旧ドル札2枚が新ドル
札1枚に読み替えられるだけであって、実質的被害は何もないの
です。しかし、日本や中国などのように米国債を購入してきた外
国のドル資産は半分になってしまうのです。
これは、明らかに「金融テロ」というべき行為であり、よほど
うまくやらないと、米国はロシアや中国と戦争になり兼ねない事
態になります。もっとも、現時点において米国に戦争を仕掛ける
実力のある国など地球上にないはずですが、狡猾な米国のことで
すから、戦争を起こさない秘策もちゃんと考えているのです。
現在、マイクロソフトでは、ITを活用することで自分たちの
仕事の生産性を上げる「デジタルワークスタイル」を強力に推進
していますが、その延長線上として、次の目標を立てているとい
われています。
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2020年までに現金取引を10%まで削減する
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この目的は、お札やコインは多くの人が手で触れるものであり
病原菌を撒き散らす原因になるので、それらをすべてコンピュー
タ上のバーチャル・マネーに置き換えようというのです。
しかし、それにいたる前提として、信用の失墜がさらに進むと
みられるドルを廃止することが考えられているといわれます。ド
ルを廃止する大義名分です。そして通貨制度の変更に乗じて借金
の帳消しを図ろうと考えているわけです。
その新しい通貨制度として、目下検討が進められているとみら
れるのが、「AMERO/アメロ」です。米国単独ではドルの信
用を回復させるのは無理であるとして、カナダとメキシコを巻き
込んで巨大な経済圏を形成し、それをバックにして通貨の信用を
高めようという狙いです。その経済圏で使う通貨が「AMERO
/アメロ」というわけです。
このアメロを導入する場合も、新通貨への移行期に借金を消滅
させる目的で、内外で新通貨の交換比率を変えるなどいろいろ仕
掛けてくることは間違いないと思われます。
もし、米国がこれをやった場合、大損害を蒙るのは、約2兆ド
ルもの外貨を有する中国と約1兆ドルのドルを持つ日本、それか
ら約4000億ドルのロシアということになります。
米国は、日本は論外とみています。一番怖いのは中国です。そ
こで、密かに中国と密約を結び、損失の全額補填を約束し、ロシ
アを切り捨てるという手を打つと予測されるのです。現実に、ロ
シア外交筋によると、米政府は既に中国当局者を呼んでアメロ発
行に関して何らかの話し合いをしているといわれているのです。
要するに、米中2国による新たな世界支配体制を考えている――
浜田和幸氏はこのように分析しています。
オバマ大統領は、選挙中に米国民に約束したことと、かなり違
うことを就任後しようとしています。選挙中は金融業界の不正に
メスを入れ、徹底的に改革するといっていたのに、1月の就任演
説では、金融業界の粛清には一言も触れていないのです。
もうひとつ不思議なことはオバマ陣営の集めた選挙資金です。
ネットで史上最高の6億ドルを集めたとされていますが、実はウ
ラがありそうです。いくらなんでもネットで6億ドルは無理とい
う疑惑です。浜田和幸氏は、これについて次のような重大事実を
明かしているのでご紹介します。
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昨年夏にイスラエルを訪問した際に「ユダヤの国を守る」と宣
言したことにより、ウォール街から莫大な額の献金を受けとっ
たのだ。ジョセフ・バイデン副大統領にしても同様だ。彼の長
男、ビュー・バイデン氏はアメリカのタックスヘイブン″とい
われるデラウェア州の司法長官を務めているが、ヘッジファン
ドなどからの収賄を告発されたにもかかわらず、どういうわけ
か不問に付されている。大統領も副大統領もすでに毒まんじ
ゅう″を食べてしまったわけで、ウォール街の粛正などできる
わけがない。 ――「SAPIO/3/25」/小学館刊
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こんな事態が起ころうとしているのに日本は何をしているので
しょうか。「おかしなことをすると米国債を売るぞ!」という牽
制ぐらいすべきです。本テーマは本日で終了します。長期間のご
愛読を深謝します。 ――[大恐慌後の世界/59/最終回]
≪画像および関連情報≫
●原田武夫/国際政治経済塾より
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金融メルトダウンの真っ只中に行われた2008年米国大統
領選挙。それを制したのは民主党のオバマ候補であった。忘
れてはならないのは、そこに至るまでに見られた民主党内で
のオバマ対ヒラリーの激戦である。だがオバマ大統領はかつ
ての敵、ヒラリー元大統領候補を次期国務長官に任命し、各
国メディアを沸かせている。そうなった今だからこそ、大統
領選当時に2人の間で行われた議論は今一度振り返っておく
べきなのだ。
http://money.mag2.com/invest/kokusai/2008/12/post_91.html
≪関連動画≫
http://www.youtube.com/watch?v=15yzzw1ym74
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アメロ硬貨