2009年03月12日

●「ドルをどのくらい知っているか」(EJ第2529号)

 LEAP/E2020――これはフランスのシンクタンクの名
前ですが、ご存知でしょうか。このシンクタンクの世界情勢に関
する予測の今までの的中率は80%以上といわれています。
 そのLEAP/E2020は、米ワシントンDCでのG20金
融サミットが終わった2日後の2008年11月17日に次の予
測を出しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ドルを基軸とした今の国際通貨制度(ブレトンウッズ体制)は
 根本的な改革がなされない限り、2009年夏までに制度崩壊
 する。この体制の中心にいる米英が急速に弱体化し、米財政は
 破綻して、世界は非常に不安定になり、戟争や暴動が起きる。
 世界がドルを見放したら、通貨制度改革の交渉もできなくなり
 手遅れになる。世界の指導者は、3ヶ月以内に現状を把握し、
 6ヶ月以内に対策を決定する必要がある。―田中宇著/光文社
     『世界がドルを棄てた日/歴史的大転換が始まった』
―――――――――――――――――――――――――――――
 このシンクタンクは、2008年12月16日にも気になる次
の予測を出しているのです。
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 2008年9月のリーマン・ブラザーズ倒産に匹敵するような
 世界システムを大転換させる出来事が、次は2009年3月に
 起きる。              ――田中宇著/光文社
     『世界がドルを棄てた日/歴史的大転換が始まった』
―――――――――――――――――――――――――――――
 この予測で気になるのは、その出来事が起きるのが今月である
という点です。本当に起きるのでしょうか。
 ドルは本当に大丈夫なのでしょうか。ドルが今後どうなるのか
については、いろいろな予測が出されていますが、その前に少し
ドルについて知っておく必要があります。
 「ドルとは何か」といわれたらどのように答えますか。
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 ドルは世界の基軸通貨であり、アメリカ合衆国の通貨である
―――――――――――――――――――――――――――――
 多くの人はこのように答えると思います。この回答は間違いで
はないものの、完全に正しいとはいえないのです。
 世界の基軸通貨は米ドルですが、ドルは米ドルの他にもいろい
ろあるのです。カナダ・ドル、香港ドル、ニュージーランド・ド
ル、オーストラリア・ドルなど20以上の種類があるのです。
 それに「ドル」という言葉は、米国で誕生したものではないの
です。ドルの語源はドイツであり、16世紀末から18世紀初頭
まで、神聖ローマ帝国で流通していた「ターラー銀貨」に由来し
ているのです。
 神聖ローマ帝国では、帝国を構成する各領邦が発行する通貨を
比較する基準としてターラー銀貨を使い、「ライヒスターラー」
という名前で呼んでいたのです。「ドル」という言葉は、英語読
みで「ダラー」といいますが、それは「ターラー」からきている
のです。
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       ターラー → ダラー/dollar
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 ドルは、アメリカの中央銀行であるFRBが発行する「アメリ
カ合衆国ドル(米ドル)」であり、世界の基軸通貨である――ド
ルについての定義はこのようになります。
 ドルは当然ですが、「ハードカレンシー」でもあります。ハー
ドカレンシーというのは、国際為替市場で他国通貨と自由に交換
できる通貨のことです。もちろん「円」もハードカレンシーです
が、ハードカレンシーは世界で10種類しかないのです。
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  1.米ドル        6.カナダ・ドル
  2.ユーロ        7.デンマーク・クローネ
  3.英国ポンド      8.スウェーデン・クローナ
  4.スイス・フラン    9.ノルウェー・クローナ
  5.日本円       10.オートラリア・ドル
―――――――――――――――――――――――――――――
 日本人は、案外日本という国がいかに大国であるかということ
を実感していないところがあります。自国の通貨がハードカレン
シーでない国にとって、国として持っているドルがいかに大切で
あるか、まさに死命を決するほど重要な通貨なのです。というの
は、世界の国々は輸出品の代金として、弱小国の通貨を受け取っ
てくれるほど、優しくはないのです。
 自国の通貨がドルと交換不可能なほど価値が暴落した場合、
輸入がストップしてしまう恐れがあるのです。いきどき自給自
足で生きられる国などないので、輸入できないということは、
そのまま国が崩壊してしまうことにつながるのです。
 貿易において、どの通貨が使われるのか――「日本から世界
への輸出」と「世界から日本へ輸入」について、その割合を示
すと次のようになります。日本円も、少しずつ世界の中で存在
感を示しているのです。
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 ≪日本から世界へ輸出≫
  米ドル ・・ 49.3 %  ユーロ ・・  8.4 %
  日本円 ・・ 38.7 %  その他 ・・  3.6 %
 ≪世界から日本へ輸入≫
  米ドル ・・ 73.5 %  ユーロ ・・  4.0 %
  日本円 ・・ 20.5 %  その他 ・・  1.6 %
             ――三橋貴明著/監修・渡邊哲也
    『ドル崩壊!/今、世界に何が起こっているのか?』
                        彩図社刊
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              ――[大恐慌後の世界/47]


≪画像および関連情報≫
 ●「ターラー」について
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  ターラーは16世紀以来数100年にわたりヨーロッパ中
  で使われていた大型の銀貨。その名残は、現在もアメリカ
  をはじめとするドルや、2007年までスロベニアで使わ
  れていたトラールなどの通貨名に残る。ターラー(ターレ
  ル)の語源は「ヨアヒムスターラー」という銀貨の名が短
  縮されたものである。ヨアヒムスターラーは、16世紀初
  めに大きな銀山が発見され、1518年以来この種の銀貨
  が鋳造されてきたボヘミア(現在のチェコ)の町、ザンク
  ト・ヨアヒムスタール(現在のヤーヒモフ)に由来する。
                   ――ウィキペディア
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ターラー銀貨.jpg
ターラー銀貨
posted by 平野 浩 at 04:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 大恐慌後の世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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