率が、2008年10〜12月に前年同期比6.8 %まで落ち込
んだというニュースが伝えられています。
中国は4兆元を超える内需拡大策を実施して、2009年度通
年で8〜9%を目指す計画ですが、果たしてその目標は達成でき
るのか、いきなり出鼻をくじかれたかたちになっています。なに
しろ、成長率1%で約100万人の新規雇用創出が可能と考えて
おり、毎年1000万人を超える新規労働力が生まれる中国だけ
に、年間8〜9%の経済成長は不可欠なのです。
ところで、米国ではオバマ政権が誕生し、ヒラリー・クリント
ン氏が国務長官に就任しています。これによって、今後の日米同
盟がどうなるのか、かねてからいわれているように、米中が一層
接近する可能性は高いのかどうか日本にとっては気がかりです。
毎年10月に北京では共産党大会が開かれることはよく知られ
ていますが、その直前に欧米の企業が20社ほど集まって、中国
各地の治安責任者約500名を招いて懇親パーティーを開いてい
ることは知られていないと思います。その欧米の企業のほとんど
はヘッジファンドであるといわれていますが、そのパーティーは
大変豪華で派手なものであるそうです。浜田和幸氏の本にそのパ
ーティーに出席した中国人の感想が出ていますので、ご紹介する
ことにします。
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中央でも地方でも権限を持つ役人を接待する欧米のヘッジファ
ンドが主催するイベントは毎年派手になる一方だ。毎回、豪華
な料理に酒や踊りがつきもの。まるで身内の結婚式のような感
じだ。一度味わうと病みつきになる。―浜田和幸著/光文社刊
『「大恐慌」以後の世界/多極化かアメリカの復活か』
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もともと米民主党と中国の関係は深いのです。とくにヒラリー
・クリントン国務長官と中国の関係は一層深く、このことから米
国が中国寄りになるのは避けられないと思います。
いま米国を中心に話題になっているのは、ヒラリー・クリント
ン氏が昨年の大統領選の最中に中国(政府?)から献金を受けて
いたのではないかという疑惑なのです。
これについては『正論』の2008年1月号に掲載された古森
義久氏のレポートをご覧ください。
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そもそもチャイナタウンの住民の平均所得は2000年の国勢
調査では年間2万1千ドルだった。いまの通貨レートでも、約
230万円という低所得である。その住民全体の45%が「貧
困層」とみなされた。政治家に寄付をするゆとりはほとんどな
いはずなのだ。その状況を証明するように、2004年の大統
領選挙では、全期間を通じて、ニューヨークのチャイナタウン
の住民たちから民主党候補のジョン・ケリー上院議員に寄付さ
れた資金は総額2万4千ドルにすぎなかった。ところが今回の
大統領選では今年4月に同じチャイナタウンの一住民が一括し
て集めた募金だけでも、ヒラリー女史あてになんと38万ドル
の献金がなされた。チャイナタウンの住民はそもそも中国から
アメリカにきたばかりで、アメリカ国籍も永住権もない人たち
が大多数である。どの角度からみても、いまこの中華街からヒ
ラリー女史に集中して多額の献金が流れ込むという状況は奇々
怪々、不可思議なのである。 ――古森義久氏
http://www.sankei.co.jp/seiron/wnews/0712/ronbun3-1.html
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次のような事実があります。チャイナタウン関連の中国系献金
者150人中50人以上が届け出た住所などの記載が間違ってい
るか、虚偽であり、大多数は選挙権がなかったのです。
また、チャイナタウン内部に居住する中国系献金者74人に対
して連絡を取ろうとしたが、とれたのは24人だけであったとい
うことです。そのほとんどは福建省出身であり、同省出身者の協
会組織からの指示で献金したといっているのです。
ちなみに、米国の選挙法では、大統領選などの連邦レベルの選
挙では、個人が一候補に献金できる上限は2300ドル、献金で
きる資格は、米国の国籍、あるいは永住権の保持となっており、
他人の名前を使っての献金は違法なのです。
それだけではないのです。中国系ビジネスマンであるノーマン
・シュー(徐)という人物が、ヒラリー・クリントン女史を筆頭
として多くの民主党の政治家たちに多額の献金をしている事実が
発覚したのです。その数は、実に40人に達するのです。その中
には、今回副大統領に就任したジョー・バイデン氏の名前も入っ
ているのです。
もちろんこうした献金者のバックに中国政府がいるという確証
は何もないのです。しかし、これはどう考えても異常であり、き
わめて疑惑につつまれています。ヒラリー・クリントン氏に大統
領になってもらうと、米国国内の中国系住民の立場が有利になる
ということなのでしょうか、それとも、中国にとって、ヒラリー
氏が大統領になると、好ましい状況が生まれるのでしょうか。
古森氏は、これがいかに異常なことであるのかについて、次の
たとえを使って説明しています。
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日本での場合を想定してみれば、その異常さがわかる。日本に
滞在する中国人たちが違法滞在者まで含めて多数が一丸となっ
て、たとえば民主党の小沢一郎代表に政治献金を贈る。献金し
た人の届け出住所を調べたら、そんな人間は住んでいない。住
所さえも架空だった。しかもその献金は個人の資金ではなく、
中国系の大きな組織から出されていた−−。こんな状態を想像
すればよいのだ。いかに奇怪な現象がいまのアメリカの選挙に
起きているかがわかるだろう。 ――古森義久氏
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――――[大恐慌後の世界/15]
≪画像および関連情報≫
●古森義久氏によるオバマ新政権レポート
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米国の第44代大統領に1月20日、バラク・フセイン・オ
バマ氏が就任する。米国の長い歴史でも初めての黒人大統領
である。そのオバマ新大統領が当面まず最大の精力を傾けて
対処にあたらねばならない主要課題の一つは米国の金融危機
から発した経済大不況である。昨年9月に一気に爆発した金
融危機は米国の金融システムや世界経済の根本のあり方にま
で疑問を突きつけ、オバマ新政権にとっても資本主義や市場
経済の根幹をも再考する作業までをも迫る形となってきた。
オバマ新政権とともに新たな活動を始める米国連邦議会にと
っても、この作業は切迫した課題である。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/i/92/
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ヒラリー・クリントン氏