2009年01月16日

●「ムーア監督のウォール街救済プラン」(EJ第2491号)

 昨年の10月のことですが、何かと話題の多いマイケル・ムー
ア監督が「ウォール街救済プラン」なるものを発表し、注目を集
めています。それは、今回の米国発の金融危機で、多額の税金が
ウォール街を救済するために使われることに対する米国民の怒り
を代弁していると思うのでご紹介します。
 マイケル・ムーア監督といえば、2002年に「ボウリング・
フォー・コロンバイン」という作品で銃社会の真実をアピールし
2004年の「華氏911」では、ブッシュ現政権に切り込み、
2007年には「シッコ」で医療問題を取り上げ、大きな話題を
提供する名物監督として知られています。
 今回、マイケル・ムーア監督は、金融危機に関して次の一文を
ネット上に公開しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
       How to Fix the Wall Street Mess
       「ウォール街の混乱のおさめ方」
―――――――――――――――――――――――――――――
 このレポートの冒頭に次の一文を置いています。「なぜ、彼ら
はブッシュ政権の時代に手に入れた7000億ドルを自らの救済
のために使わないのか」という趣旨の一文です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 400人のアメリカの最裕福層、そう、「たったの400人」
 が底辺の1億5千万人を全部合わせた以上の財産を持っていま
 す。最裕福400人が全国の資産の半分以上を隠匿しているの
 です。総資産は正味1兆6千億ドルになります。ブッシュ政権
 の8年間に彼らの富は「7千億ドル近く」膨らみました。7千
 億ドルはちょうど救済資金として我々に支払いを要求している
 のと同額です。披らはなぜブッシュの下でこしらえた金で自ら
 救済しないのでしょうか。      ――マイケル・ムーア
―――――――――――――――――――――――――――――
 ムーア氏は次のようにもいっています。「ブッシュ政権はクリ
ントン政権から1270億ドルの黒字を引き継ぎながら、9兆5
千億ドルの負債を国民に押し付けて退陣しようとしている。どう
してこんな盗人貴族に追い銭を与えねばならないのか」と。
 このあと、マイケル・ムーア氏は、次の10ヶ条の「ウォール
街救済プラン」を提示しています。読みやすくするため、本文そ
のままではなく、私なりに手を加えて文章を直しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
  1.ウォール街で、承知のうえで今回の危機到来に加担した
    者を犯罪者として起訴するため特別検察官を任命せよ。
  2.ウォール街救済のためのコストについては、富裕層が自
    ら次の4つの方法によって負担すべきであると考える。
  3.緊急に救済すべきは住居を失う人々である。8つ目の住
    宅を建築しようと企む連中ではないことは確かである。
  4.あんた達の銀行や会社がわれわれからの「救済金」を少
    しでも受け取れば、われわれはあんた達の主人である。
  5.規制はすべて元に戻すべきである。規制を撤廃した元凶
    であるレーガン革命は既に死んで終焉したからである。
  6.「大き過ぎて潰せない」という事態にならないよう、失
    敗が許されないような巨大なものは存在も許されない。
  7.いかなる会社重役も従業員の平均賃金の40倍を超える
    報酬を受け取ってはならず、「落下傘」も不可である。
  8.連邦預金保険公社をもっと強化して、国民の預貯金にと
    どまらず、年金と住宅の保護モデルとするべきである。
  9.深呼吸し、落ち着いて、恐怖に日々を支配させないこと
    が米国民の誰にも必要であり、報道メディアは心せよ。
 10.国策としての救済策で政府系住宅金融会社やAIGを国
    有化したのだから、それを生かして国民銀行を作ろう。
―――――――――――――――――――――――――――――
 上記のうち、2に関しては具体的には次の4つのことをムーア
氏は提案しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
  1.年収100万ドル以上のすべての夫婦と年収50万ドル
    以上の独身者は、5年間10%の追加所得税を支払う。
  2.ほとんどの民主国家のようにすべての株取引に0. 25
    %を課税する。これで、毎年2千億ドル以上ができる。
  3.愛国米国人の株主に期待して、四半期の間配当の受領を
    辞退し、その分を財務省による救済資金の足しにする。
  4.企業からの連邦税収は現在GDPの1. 7%であるが、
    1950年代の5%に戻すと、約5千億ドルができる。
―――――――――――――――――――――――――――――
 かなり、乱暴と思える提案もありますが、その怒りや気持ちは
よくわかります。米国の格差はこんなに広がっているのです。金
融救済法案に対する「われわれの税金を使うな」という市民の怒
りをよく代弁していると思います。なお、「落下傘」とは倒産寸
前の企業から逃げ出すときに受け取る退職金のことです。
 ところで、このマイケル・ムーア監督は一度も日本にきたこと
はないのです。なぜ、日本に来ないのかについて本人を直撃した
とき、彼は次のように答えています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 いつか、日本に行けることを楽しみにしています。私は、今ま
 で日本に一度も行ったことはなく、日本には素晴らしいヘルス
 ケアのシステムがあるのを知ってます。映画『華氏911』の
 日本での興行収入は、アメリカを除いた世界の興行収入の中で
 ナンバーワンでした。正直、あの映画が、これほど日本で受け
 るとは思いもしませんでした。だってイギリス、フランス、ド
 イツより多かったわけですから・・・。なぜ日本で撮影しなか
 ったかと言うと、行くまでの時間が長過ぎるからです。要する
 に、アメリカ人の典型的な怠け癖で、日本人みたいなワ−ク・
 エシック(労働観)を持ち合わせていないのです(笑)」。
 ――――――――――――――――[大恐慌後の世界/09]


≪画像および関連情報≫
 ●ムーアはオバマ支持か/大統領選中の発言
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ムーア監督は、「善行や福祉に人生を捧げてきた人間が、今
  や愚かな考えを焚きつける偏狭な人間になりさがっている」
  とクリントン候補を断罪。「アメリカには、黒人には絶対に
  投票してやるものかという白人がいる。ヒラリーはそのこと
  を理解していてあえてそれを利用する戦術を展開している」
  と痛烈に批判した。一方、オバマ候補に関しては、「現在、
  我々が目撃しているのは、単なる候補者ではなく、変革への
  深遠な市民運動だ。私はオバマ候補よりも、むしろムーブメ
  ントとしてのオバマを支持する」と述べている。
              http://eiga.com/buzz/20080425/7
  ―――――――――――――――――――――――――――

マイケル・ムーア監督.jpg
マイケル・ムーア監督
posted by 平野 浩 at 04:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 大恐慌後の世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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