2008年12月19日

●「日本郵政は米国に出資せよ/竹中発言」(EJ第2475号)

 小泉・竹中政権がなぜあれほど「郵政民営化」にこだわったの
でしょうか。小泉元首相の昔からの政治目標であったとよくいわ
れていますが、本当にそうでしょうか。
 最近になって、その理由が少しずつ見えてきた感があります。
それは、2008年4月21日に、竹中平蔵氏の、あるテレビ番
組での発言がキッカケとなったのです。ただ、その番組がBS朝
日の番組だったので、一般にはあまり伝わっておらず、もっぱら
ネットの世界で話題騒然になったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
   − BS朝日/経済誌ダイヤモンド(電子版)−
   『民営化された日本郵政はアメリカに出資せよ』
                 ――竹中平蔵氏
―――――――――――――――――――――――――――――
 単行本では、副島隆彦氏がこの発言を取り上げています。少し
長いですが、副島氏の本から引用します。竹中氏は、米国はサプ
プライム問題で今回打撃を受けたが、米国経済は長期的には強い
成長力を持っている。リセッションになるかも知れないが、あま
り心配していないといって次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 私は実は、日本のほうを心配しています。サブプライムの影響
 そのものは大きくない(引用者/副島氏註・どこが大きくない
 のだ)が、円高を通して輸出産業が影響を受ける。一方で改革
 が進まず内需が弱い。日本をよくすることは、サブプライムと
 は別に考えていく必要があります。そこで今回、「民営化され
 た日本郵政はアメリカに出資せよ」とぜひ申し上げたい。さき
 ほどキャピタル・クランチの話をしましたが、アメリカではこ
 こ半年くらい、俄然一つの問題が浮かび上がっているんです。
 アメリカの金融機関が資本を受け入れるときに、誰が出するか
 ということです。そこで、最近のキーワード、ソブリン・ウエ
 ルス・ファンド(SWF)があります。政府系ファンド、つま
 り、国が持っている基金です。アメリカの金融機関がSWFか
 らお金を受け入れるケースが増えていますが、一方で、他国政
 府から資金を受け入れてもよいのかという問題がある。ある国
 が政治的な意図をもってアメリカの金融機関を乗っ取ってしま
 ったら、アメリカ経済が影響を受けるのではという懸念も出て
 きています。翻って考えると、日本にはかつてとんでもなく巨
 大なSWFがありました。それが今の日本郵政なんです。資金
 量でいうと300兆円。他のSWFとは比べ物にならないほど
 のSWFがあったんです。民営化したので、今はSWFではな
 い。だからアメリカから見ると安心して受け入れられる、民間
 の資金なんです。アメリカに対しても貢献できるし、同時に日
 本郵政から見てもアメリカの金融機関に出資することで、いろ
 いろなノウハウを蓄積し、新たなビジネスへの基礎もできる。
                ――ダイヤモンドオンライン
 ――副島隆彦著『恐慌前夜/アメリカと心中する日本経済む』
                         祥伝社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 竹中氏は、この番組でタレントの上田晋也と対談をしているの
ですが、サブプライム問題は次の3つの段階を経て、拡大をして
きているといっています。これはよく整理された説明であると思
うので、ご紹介しておきます。
―――――――――――――――――――――――――――――
    1.不動産市場の中の問題
    2.クレジット・クランチ――信用不安
    3.キャピタル・クランチ――資本不安
―――――――――――――――――――――――――――――
 第1の段階は、2007年2月頃のことで、住宅ローンが危な
いという話が出て、住宅ローンが簡単には付けられなくなったの
です。そうすると、不動産投資ができなくなる――したがって、
この段階は不動産市場の問題なのです。
 第2の段階は、2007年の夏頃のことですが、住宅ローンだ
けでなく、いろいろな金融商品に不安が広がって、金融機関が資
金不足に陥ったのです。これは「クレジット・クランチ」であっ
て、いろいろな措置が取られたのですが、十分ではなかったとい
えると思います。
 第2の段階は、現在の段階です。金融機関が不良債権を抱えて
損を出し、資本金が足りなくなります。つまり、自己資本が毀損
するわけです。これは「キャピタル・クランチ」です。現在、米
国は、キャピタル・クランチを起こさないよういろいな手を模索
しているのです。
 しかし、米国にはもはやお金がないのです。中東の産油国、中
国もお金を持っていますが、200兆円近いお金をポンと貸せる
ほど力はないのです。
 しかし、日本郵政がある――と竹中氏はいうのです。郵政公社
のときは、米国にお金は貸せませんが、民営化された日本郵政な
らば、貸すことはできるというのです。
 これに対して、副島隆彦氏は、次のように怒りを表明している
のです。
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 盗人たけだけしい、とはこのことだろう。竹中平蔵は大臣の権
 力を使って金融庁を手下に時価会計基準を振り回して日本の銀
 行や大企業(りそな、UFJ、ダイエー、ミサワホームなど)
 を叩き潰したり外資に乗っ取らせた張本人だ。(中略)竹中元
 大臣はアメリカの後ろ盾があるものだから、公職を離れたあと
 も未だにこんなにも居丈高である。郵貯・簡保の資金300兆
 円を、この期におよんでまだアメリカに貢げ、と言っている。
 盗人に追い銭を与えよというのだ。     ――副島隆彦著
                  『恐慌前夜』/祥伝社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
              ――[円高・内需拡大策/33]


≪画像および関連情報≫
 ●SWFとは何か
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ソブリン・ウエルス・ファンドは政府が出資する投資ファン
  ド、政府系ファンドともいう。石油や天然ガスによる収入、
  外貨準備高を原資とすることが多い。近年、世界的な資源価
  格急騰により資源供給国の割合が増えつつある。各国のSW
  Fは資源による収入が多く、資源を持たない国の場合は外貨
  準備や年金を運用しており、日本の場合後者にあたる。いわ
  ば元手は借金で運用に伴うリスクは国民にあるという構図が
  成り立つので、日本の財務省は基本的に反対の立場をとって
  いる。               ――ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

上田晋也/竹中平蔵.jpg

posted by 平野 浩 at 04:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 円高・内需拡大策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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