2008年12月16日

● ● ●「郵政民営化の見直しは必要である」(EJ第2472号)

 2008年12月9日のことです。郵政民営化の推進を求める
会合が小泉元首相が出席して開かれたのです。
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 小泉元首相らが9日、自民党の議員連盟「郵政民営化を堅持し
 推進する集い」を発足させた。麻生内閣で郵政民営化反対組が
 次々と政権中枢に入り、民営化見直しの機運が出てきたことへ
 の危機感からだ。麻生首相の出方次第では、同議連の動向が政
 局に連動する可能性もある。     ――アサヒ・コムより
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 小泉首相が狂気のように取り組んだ郵政民営化とは何だったの
でしょうか。
 現況を確認しておくことにします。元郵政公社は日本郵政株式
会社に衣替えしています。その傘下に100%出資会社として次
の4つの会社があります。
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   1.郵便事業株式会社
   2. 郵便局株式会社
   3.  郵便貯金銀行 ・・・ ゆうちょ銀行
   4.  郵便保険会社 ・・・  かんぽ生命
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 これに大きな問題があるのです。それは、2017年10月ま
でに「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」の株式を市場で100%
売却することになっていることです。これは当時の小泉首相の指
示で決まっているのです。
 ちなみに、「郵便事業株式会社」と「郵便局株式会社」は20
17年10月の時点でも日本郵政株式会社の子会社として存続し
政府は日本郵政株式会社の株式の3分の1強を保有し続けること
になっているのです。
 そもそも郵政民営化の目的は何なのでしょうか。
 当時小泉政権の中心幹部たちは、次のことを繰り返しいってい
たのです。
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 郵政民営化によって、公的部門に流れていたお金を民間部門に
 流せば経済は活性化する       ――郵政民営化の目的
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 これがいかに現実に合っていないかは、リチャード・クー氏の
理論によって明らかでしょう。今回の金融危機の前までは民間部
門にはお金が余っており、金融機関の融資額よりも返済額の方が
大きい状態が続いていたのです。むしろ、政府部門がお金を必要
としてきているのです。
 こういうときに民間銀行と郵政公社は、預貯金の取り入れでは
競合関係にないので、相互に補完しあえるのです。このような金
融危機のときは、郵政公社が国債を引き受けてくれれば、民間銀
行は民間貸し出しを優先できるので、郵政公社を民営化する必要
など、どこにもないのです。
 それでは何のための民営化だったのかというと、それは米国か
らの強い要望だったのです。具体的には、米国政府から毎年送ら
れてくる「年次改革要望書」なるものです。
 この「年次改革要望書」は、1993年に開催された日米首脳
会談――宮澤首相・クリントン大統領――その翌年から毎年日本
に届けられることになったのです。その内容は米国では公開され
ているのですが、日本では政府もマスコミも公表しないのです。
 米国が執拗に迫ってきたのは、「簡易保険の民営化」の要求な
のです。この要求は、1995年から毎年年次改革要望書に載せ
られていたのです。要求の具体的内容は次の通りです。
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 ・簡易保険の民営化
 ・簡易保険が扱う商品を民間と同じ条件で競争させること
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 驚くべきことは、2005年の「郵政公社民営化法案」の作成
に当たっては、国会審議の過程で、郵政民営化準備室が米国の生
命保険協会と実に17回にわたって協議をしているのです。一体
どこの国の法案を作っているのでしょうか。
 なお、この内容についても米国ではすべて公開されているのに
日本では非公開になっています。なぜ、隠すのでしょうか。この
状況を見ても、郵政民営化をいかに米国が望んでいたかを知るこ
とができます。米国の狙いは何なのでしょうか。
 この問題について、植草一秀氏は、「植草一秀の『知られざる
真実』」において、次のように述べています。
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 郵政民営化は、日本郵政が保有する巨大な優良資産を米国資本
 が収奪するために実行されている疑いが極めて強い。米国の金
 融資本は350兆円の郵政資金をターゲットにしているだけで
 なく、日本郵政が保有する巨大な不動産資産をも標的にしてい
 ると考えられる。麻生首相が郵政株式の売却凍結を口にした途
 端、激しい麻生首相バッシングが噴出している。テレビ朝日は
 小泉元首相、中川秀直元自民党幹事長、飯島勲元秘書、小泉チ
 ルドレンを画面に登場させ、郵政民営化見直し論議を封じ込め
 ようとしているように見える。
 http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-285e.html
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 郵政民営化については国民は、あの郵政選挙によって必要以上
の票を小泉政権に投じているので、民営化の進展についてやや寛
大なところがあります。
 今回の麻生首相の株式売却の凍結発言についても、改革派と称
する議員が直ちに集まって「改革後退反対」を唱える動きに賛同
する人は少なくないのです。
 しかし、それは間違っています。仮にかんぽ生命が外資に買収
されたら、どうなるのでしょうか。国民はそのことをもっと真剣
に考えるべきです。     ――[円高・内需拡大策/30]


≪画像および関連情報≫
 ●年次改革要望書とは何か
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  年次改革要望書は日本政府と米国政府が両国の経済発展のた
  めに改善が必要と考える相手国の規制や制度の問題点につい
  てまとめた文書で、毎年日米両政府間で交換される。「成長
  のための日米経済パートナーシップ」の一環としてなされる
  「日米規制改革および競争政策イニシアティブ」に基づきま
  とめられる書類であり、正式には「日米規制改革および競争
  政策イニシアティブに基づく要望書」と称する。
                    ――ウィキペディア
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小泉元首相登場!
posted by 平野 浩 at 05:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 円高・内需拡大策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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