2008年12月05日

●「りそな処理をめぐる陰謀」(EJ第2465号)

 一番の疑問は、なぜりそな銀行が「特別支援行」のターゲット
にされたかです。当時りそなと同程度の財務内容の銀行はたくさ
んあったのです。別にりそなでなくても構わなかったのです。
 りそな銀行がターゲットにされた理由について、植草一秀氏は
次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 りそな銀行と同程度の財務状況の銀行は複数存在していた。り
 そながあのような対応を受けるなら同じ対応を受けるべき銀行
 はいくつも存在していた。ところが現実には、不自然にもりそ
 な銀行のみが俎上に乗せられたのである。その最大の理由は、
 りそな銀行の当時の頭取が、かなり明確に小泉政権の経済政策
 を批判していたことにあったと考えられる。りそな銀行では頭
 取が交代し、新頭取が手腕を発揮し、経営に活力が広がり始め
 ていた局面だった。決して状況は悪くなかったはずである。政
 治的にりそな銀行は狙い撃ちされたのだと私は確信している。
               ――UEKUSAレポートより
―――――――――――――――――――――――――――――
 ここでお断りしておきたいことがあります。植草一秀氏という
と、例の事件の影響で何かと色眼鏡で見られがちであり、彼が主
張していることを積極的に取り上げるのはいかがなものかと考え
る人もいると思います。
 しかし、植草氏は、かねてから小泉・竹中政権の政策に異を唱
えており、とくにこの「りそな事件」は売国奴的行為であるとし
て、マスコミを通じて本気で訴えようとしたので、国策捜査にか
らめとられたといわれているのです。何しろ、例の事件の前は、
植草氏はテレビの常連エコノミストの一人であり、その影響力は
きわめて大きなものがあったからです。
 現在、ネットでは、植草一秀氏は冤罪であるとして、その擁護
の論陣が張られており、その数は続々と増えています。植草事件
の単行本も出版されているようです。
 その中のサイトの一つをご紹介するので、参考にしていただき
たいと思います。
―――――――――――――――――――――――――――――
  http://slicer93.real-sound.net/0-ip-space-7514.html
  http://slicer93.real-sound.net/0-ip-space-7515.html
―――――――――――――――――――――――――――――
 りそな銀行に焦点を絞った竹中プロジェクトチーム――金融分
野緊急対応戦略PT――このPTが何をやったのかについて述べ
て行くことにします。
 当時りそな銀行には2つの監査法人が共同監査をしていたので
す。既に述べたように、2つの監査法人とは、新日本監査法人と
朝日監査法人(当時)です。
 監査法人がりそな側に繰延税金資産の扱いで自己資本不足にな
ることを伝えたのは2003年4月に入ってからのことです。り
そなとしては今まで通り5年分認められると思っていたのです。
しかし、この段階で自己資本不足が伝えらても銀行側は対応のす
べがないのです。3月時点であれば、いろいろな対応のやり方が
あったのです。このあたりに何か意図的なものを感じます。
 竹中大臣に近い木村剛氏――上記竹中PTのメンバー――は、
5月14日付で、自分のインターネットコラムに次のタイトルの
コラムを発表しているのです。当時、木村剛氏はかなりの有名人
であり、そのサイトには多くのアクセスがあったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
       破綻する監査法人はどこか!?
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 タイトルだけでは意味はわかりませんが、暗にりそな銀行の監
査を担当する監査法人を指しているのです。このコラムの中で木
村氏は、銀行名こそ伏せているものの、はっきりとりそな銀行を
指していることがわかる文面で、「りそな銀行の繰延税金資産の
計上は、0年か1年しかあり得ない」と述べ、さらに、もし、監
査法人が2年以上の繰延税金資産の計上を認めるならば、その監
査法人こそ破綻させるべきであると主張しているのです。
 もし、0年か1年の繰延税金資産の計上ということになると、
りそな銀行は債務超過になってしまうのです。したがって、この
コラムを読んだ人は「りそなが危ない」と感じ、株主は株を売却
するはずです。もし、一時国有化になってしまうと、株は紙くず
になってしまうからです。長銀、日債銀と同じです。
 それに竹中大臣が大手銀行首脳にあれほど強く公的資金投入を
迫ったのですから、りそな銀行の運命は風前の灯であると誰でも
感じたはずです。
 ところがです。監査法人は3年分認めたのです。これによって
株価は激しく反発したのです。なぜでしょうか。
 もし、債務超過の場合は、預金保険法102条第3号措置が取
られ、銀行は一時国有化――破綻処理になります。長銀、日債銀
と同じです。しかし、繰延税金資産が3年分入ると、自己資本比
率は4%を割るものの、債務超過にはならず、預金保険法102
条第1号措置――植草氏は「抜け穴規定」と呼んでいる――が取
られ、公的資金を投入できるのです。これについて、植草氏は次
のようにいっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小泉政権は「金融危機」なる「風説」を流布し、株式を「売り
 あおり」、最終局面で預金保険法102条の「抜け穴規定」を
 活用して「銀行救済」を実行し、株価の猛烈な上昇を誘導した
 と言っても過言ではないような行動をとったと判断することが
 できる。国家ぐるみの「株価操縦」、「風説の流布」的行為の
 疑いは濃厚である。そしてこの方針を事前に入手した投資家が
 株式売買に動いたのなら、実質的な「インサイダー取引」が行
 われたことになるのだ。   ――UEKUSAレポートより
―――――――――――――――――――――――――――――
              ――[円高・内需拡大策/23]


≪画像および関連情報≫
 ●銀行国有化、業界強制再編へ
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  竹中平蔵経済財政・金融担当相による不良債権処理の特別チ
  ーム(金融分野緊急対応戦略プロジェクトチーム)の編成が
  佳境を迎えていた10月2日午後、金融庁の複数の幹部が首
  相官邸と永田町をあわただしく駆け回っていた。通信社電が
  速報で、木村剛KPMGフィナンシャル代表の特別チーム入
  りを伝えた前後のことである。
    http://www.nikkeibp.co.jp/archives/211/211337.html
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木村剛氏.jpg
posted by 平野 浩 at 04:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 円高・内需拡大策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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