2008年11月05日

●「植草一秀氏が斬る『上げ潮派』」(EJ第2444号)

 10月30日に政府・与党は「追加経済対策」を発表しました
が、これを巡ってメディアではいろいろな意見が出ています。麻
生首相は、当初は「日本経済は全治3年」といいながら、今回の
金融危機を「100年に一度の暴風雨」と表現したりと、経済の
現状をどのようにとらえているのかがはっきりしないのです。そ
ういう現状を踏まえながら、今後日本の進むべき方向を考えてい
きたいと思います。
 高橋洋一氏は、2008年9月5日付、日本経済新聞の「経済
教室」において、自民党内部を次のように分類しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
  1.オールド・ケインジアン ・・・ 麻生太郎氏
  2.財政重視主義者 ・・・・・・・ 与謝野馨氏
  3.上げ潮派 ・・・・・・・・・・ 中川秀直氏
―――――――――――――――――――――――――――――
 麻生太郎氏がどうして「オールド・ケインジアン」になるのか
ですが、それは多分リチャード・クー氏との関係を報じられたこ
とに原因があると思います。「オールド・ケインジアン」とは、
財務省系の人間が古い経済学の考え方を重視する人に対する蔑称
であり、あまり趣味の良い表現ではないと思います。
 これに対して、あの植草一秀氏は、高橋氏の分類について次の
ように反論しているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「オールド・ケインジアン」の呼称は「財政政策重視主義者」
 に訂正されるべきで、この「財政政策重視主義者」と「財政重
 視主義者=増税派」の違いは明確だが、「上げ潮派」の主張は
 不明確だ。     ――植草一秀の「知られざる真実」より
―――――――――――――――――――――――――――――
 このように植草一秀氏は、上げ潮派を名乗るグループの正体に
疑問を呈し、その主張はきわめて中途半端なものであるとして、
次のようにバッサリと斬り捨てています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 経済状況を無視してひたすら財政収支均衡化を追求した小泉政
 権が、逆に財政赤字を急増させた歴史的事実を踏まえずに、財
 政政策を論じる姿勢が、誤りを繰り返す原因になる。そもそも
 「上げ潮派」に属する人々は2001年から2003年にかけ
 て「近視眼的財政収支均衡至上主義」を唱えて、実際に実行し
 た人々だ。その政策失敗の教訓を経て「成長重視政策」重視主
 義者に「転向」したのだ。「上げ潮派」の人々は、過去の政策
 失敗を隠ぺいしている。―植草一秀の「知られざる真実」より
―――――――――――――――――――――――――――――
 麻生首相も一見「財政政策重視主義者」であるように見えるも
のの、赤字国債を発行することに非難が集中することを恐れ、財
源として埋蔵金を使うなどといっています。
 植草一秀氏は、政府・与党の取ろうとしている「埋蔵金による
財政政策」について、次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「上げ潮派」は埋蔵金を活用しての財政政策を主張するが、経
 済学的に見ればまったくナンセンスだ。政府資産売却・流用に
 よる財源調達と、国債発行による財源調達との間に、政府純債
 務に与える影響の差は生じない。2001年度に小泉政権が見
 かけの国債発行金額を実態の33兆円から30兆円に粉飾した
 が、「上げ潮派」の主張は「粉飾」の勧めにすぎない。
           ――植草一秀の「知られざる真実」より
―――――――――――――――――――――――――――――
 政府には借金もあるが、資産もあるのです。したがって、本来
の債務――純債務は、債務の総額から資産を引いたものであるは
ずです。ここでいう資産にはいわゆる埋蔵金も含まれるので、赤
字国債を出そうと、埋蔵金を使おうと、そこに何も変わりはない
のです。したがって、麻生首相が「赤字国債は出さない」と胸を
はるのはきわめておかしなことです。
 重要なことは、そのような腰の引けた景気対策では短期の景気
浮揚効果は得られないということです。植草一秀氏はこれについ
て次のようにいっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 財政赤字拡大=財政バランス悪化を伴わなければ、短期的な成
 長率浮揚効果は得られない。「財政赤字を拡大させずに景気拡
 大策を発動する」などの「詐欺的」手法を経済政策に用いるこ
 とは極めて不健全である。
           ――植草一秀の「知られざる真実」より
―――――――――――――――――――――――――――――
 なぜ、ここで植草一秀氏を取り上げるのかについて不思議に思
う人もいると思います。それは、植草氏の主張は正論であり、き
わめて納得性があるからです。
 現在の政府・与党は迷走しています。このままずるずると解散
総選挙が先送りされると、本当に自民党を中心とする政権は崩壊
してしまいます。これをもっとも恐れているのは財務省を頂点と
する官僚体制側です。彼らはありとあらゆる手段を駆使して自民
党崩壊を防ごうとしてしています。
 それは小沢一郎氏が民主党党首になったときから、何回も仕掛
けられ、現在も続いています。一時は仕掛けが成功して、小沢氏
が党首を辞任すると発表するところまで、追い詰められる事態に
なったのは記憶に新しいことです。しかし、小沢氏に対する仕掛
けはことごとく失敗しています。きっと植草氏もその犠牲者の一
人と考えられます。このことに関心のある方は、植草一秀氏の次
のブログを読んでいただきたいと思います。そうすれば、小泉政
権がどういう政権であったか明確にわかると思います。
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http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post_65f1.html
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             ―― [円高・内需拡大策/02]


≪画像および関連情報≫
 ●批判の張本人植草一秀氏を講師として招いた橋本元首相
  ―――――――――――――――――――――――――――
  橋本政権が実行した1997年度大増税を最も強く批判した
  のは私だった。私は1996年年初から、反対論を唱え続け
  た。橋本元首相は首相を辞されたのち平成研究会(橋本派)
  研究会に私を講師として招き、私の考えを傾聴してくれた。
  橋本元首相は2001年の自民党総裁選に際して、1997
  年度大増税政策が誤りであったことを公式に認められた。政
  治家としての出処進退、責任の明確化において、正義感の強
  い行動を取られたと思う。         ――植草一秀
  ―――――――――――――――――――――――――――

与謝野馨氏.jpg
与謝野馨氏
posted by 平野 浩 at 04:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 円高・内需拡大策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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