2008年11月04日

●「『円高・ドル安』はなぜ不況になるのか」(EJ第2443号)

 2008年8月14日から10月31日まで54回にわたって
リチャード・クー理論をベースにして「サブプライム不況と日本
経済」について書きましたが、非常に多くの方に読んでいただき
感謝申し上げます。
 連載をスタートした8月14日(木)のEJプログの正味訪問
者数は464人、ページビューは1631回でしたが、この連載
の最終回の31日には、正味訪問者数は778人、ページビュー
は5283回に達しております。ちなみに、ページビューが、1
日5000回を超えたことははじめてのことです。ご参考までに
10月27日〜31日の訪問者数とページビューを公開します。
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            正味訪問者数  ページビュー
   10月27日(月)  856人   4754回
   10月28日(火)  894人   4751回
   10月29日(水)  817人   4812回
   10月30日(木)  772人   4990回
   10月31日(金)  778人   5283回
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 現在、米国発の金融危機によって、日本では急速な円高が進み
サブプライム問題の被害が一番少ないはずの日本の株価が1万円
を大きく割り込み、その後乱高下を繰り返しています。
 日本経済は今後どうなるのでしょうか。また、日本経済と密接
につながっている米国経済はどうなっていくのでしょうか。
 今回は次のタイトルで、引き続き経済のテーマを考えていきた
いと思います。
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   日本経済は米国依存から脱却することができるか
   ― 日本は円高・内需拡大政策は成功するか −
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 日本ではあまり経済のことに詳しくない人でも、日本にとって
は「円安・ドル高」が良いのであって、「円高・ドル安」になる
と、景気が悪くなることを知っています。どうして、「円高・ド
ル安」になると景気が悪くなるのでしょうか。
 これについて、高橋洋一東洋大学教授の主張を例にとって考え
てみることにします。高橋洋一氏は、変動相場制の下では、財政
政策は景気対策としては効かないといっています。それは、ノー
ベル経済学賞を受賞した国際経済学者、ロバート・マンデル氏ら
による「マンデル・フレミング理論」によって証明されていると
いうのです。
 これが正しいかどうかはともかくとして、なぜ財政政策をとる
と、景気対策に効かないのかについて、高橋洋一氏の主張をご紹
介しましょう。それには「円高」がからんでくるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 財政政策をやるときには、国債を発行して民間から資金を集め
 公共投資をするのが一般的だ。国債発行、つまり国債を売ると
 いうことは、日銀の政策でいえば金融の引き締めと同じ。市中
 のマネーが減り、金利が上がる。金利が上昇すれば、為替は円
 高になる。円高になれば、輸出が減る。そのさい公共投資で内
 需が拡大しても、一方で円高による輸出減が進み、効果が相殺
 されてしまうのだ。効果はないが、国債残高だけは増える。変
 動相場制のもとでは、景気回復には金融政策のほうがはるかに
 効果がある。金融政策では、金利を下げて需要を増やす。金利
 が下がると企業の設備投資が活発になる一方で、円安が進み、
 輸出増になる。この相乗効果によって景気が良くなるのだ。
  ――高橋洋一著、『日本は財政危機ではない!』/講談社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 国債を発行して公共投資を行うと、雇用も内需も拡大します。
しかし、国債を発行すると、とくに日本の場合は日本国民がそれ
をほとんど買うので、民間から資金を集めることになります。そ
の結果、それだけ市中マネーが減る――それは日銀の政策でいう
と、金融引き締め政策に当たるというのです。
 その結果、円高になって輸出が減り、公共投資で拡大した雇用
や内需の拡大は相殺されてしまう――そういう論法です。ここま
では理屈としては一応理解できます。
 しかし、金融政策で金利を下げると、企業の設備投資が活発に
なり、円安が進んで輸出増になって、景気が回復する――この論
法には大いに疑問があります。金利をゼロにまで下げても企業は
銀行から設備投資のための資金を借りようとしないということを
説明できないからです。高橋洋一氏は、リチャード・クー氏のい
う「バランスシート不況」を認めないのでしょう。財政政策重視
派のクー氏とは意見が違うのだと思います。
 高橋洋一氏の本を二冊とも読みましたが、その考え方は大部分
は納得できるものの、理解できない部分が多くあります。それは
高橋氏が自民党の上げ潮派の理論的バックボーンになっているこ
とと無関係ではないと思います。無理に合わせているという感じ
なのです。
 上げ潮派は、名目成長率4〜5%を目指し、増税をしないで、
経済成長と財政再建の両方を達成しようとしているのです。これ
に関して高橋氏は次のようにいっています。
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 名目成長率が上昇すれば、景気が良くなり、企業もそこで働く
 人々も経済的に潤う。多額の利益を出せば、企業が支払う税額
 も比例して大きくなる。個人も収入増により、その範囲で多く
 の税金を払う。これが経済主義の王道というものだろう。
       ――高橋洋一著、『日本は財政危機ではない!』
                         講談社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、問題はどうやって経済成長させるかです。そのために
何よりもデフレを克服することが肝心であるといっていますが、
これは同感です。      ――[円高・内需拡大策/01]


≪画像および関連情報≫
 ●上げ潮派の考え方について
  ―――――――――――――――――――――――――――
  上げ潮派は、無駄な支出を減らすことで歳出削減を図れば、
  増税を見送ってもプライマリーバランスの黒字化は達成でき
  ると主張している。しかし、信州大学経済学部教授の真壁昭
  夫は、「無駄使いをなくすことが出来れば、若干の財源を捻
  出することは可能」だが「それだけでは焼け石に水で、わが
  国の財政状況を根本的に改善することにはならない」と指摘
  している。その理由として、財政悪化の最大要因は社会保障
  費の増大であり、無駄な支出を減らしたとしても、少子高齢
  化の進展による支出の増加が大幅に上回るため、結果的に財
  政状況は悪化の一途を辿るとしている。
                    ――ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

中川秀直氏.jpg
中川秀直氏
posted by 平野 浩 at 04:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 円高・内需拡大策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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