2008年09月29日

●「全世界が財政出動を/IMF専務理事」(EJ第2419号)

 9月21日(日)、池袋東武百貨店にある旭屋書店で私が目撃
したことについてお話しします。偶然かもしれませんが、副島隆
彦氏の次の新刊書が次々と売れているのをみたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
              副島隆彦著/祥伝社刊
    『恐慌前夜/アメリカと心中する日本経済』
     ――Lies, Big Lies and Statistics――
―――――――――――――――――――――――――――――
 私も副島氏の新刊書を買おうとしていたので気が付いたことで
すが、話題の本のコーナーに平積みになっている本のうち、副島
氏の本だけが一冊だけになっていたのです。明らかにその本だけ
が売れている感じでした。
 しかし、その残っている本が少し汚れているような感じがした
ので、私はビジネス書のコーナーに行って、副島氏の本を探した
のです。しかし、そこにも一冊しかなかったのです。
 明らかに売れている――そうなると、早く買わなければという
気持ちになって、その本を購入したのです。帰りに再び話題のコ
ーナーに戻ってみると、そこに一冊あった副島氏の本はなかった
のです。ウソのような話ですが、本当のことです。
 副島隆彦氏の本はよく売れることで定評がありますが、それに
しても目の前でこれほど売れるというのは大変なことです。どう
してそんなに売れるのでしょうか。
 「恐慌」――何やら恐ろしい響きがする言葉ですが、サブプラ
イムローン問題に端を発する昨今の米金融危機の状況を見ている
と、米国発の恐慌が近いのではないかと考える人が多くなってい
るのではないかと思います。世界経済の動向に関心のある人であ
れば、それに関する情報がこの本に書かれているのではないかと
考えて、買う人が増えているのでしょう。
 確かに、本書には驚くべきことがたくさん書かれています。と
くに第4章の内容には興味深い情報に溢れています。ところで、
この本のサブタイトルに書かれている英文は何を意味しているの
でしょうか。
―――――――――――――――――――――――――――――
       Lies, Big Lies and Statistics
―――――――――――――――――――――――――――――
 副島氏によると、これは有名な英国の格言(マキシム)で、ユダ
ヤ人の大宰相ディズレーリが言った名言なのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 世の中には3つの嘘がある。それは、ただの嘘と大嘘、そして
 統計学のふりをした、高等数学で表わされる嘘八百の金融・経
 済のあれこれの数値のことだ。
                 ――副島隆彦著/祥伝社刊
         『恐慌前夜/アメリカと心中する日本経済』
―――――――――――――――――――――――――――――
 ここで第3の嘘である「スタティスティクス」というのは、具
体的にはデリバティブのことをいっているのです。何しろ現在の
金融の世界は、元手が100万円しかないのに3億円のビジネス
だって可能なのです。
 レバレッジ300倍ならそうなります。金融先物やFX(外国
為替証拠金取引)ではそういう取引がごく日常的に行われている
のです。これは金融博打以外の何物でもないのです。だからこそ
大金融機関でも一夜にして潰れてしまうことになります。「スタ
ティスティクス」というのはそういうものを指しています。
 さて、米金融危機による再編・淘汰の波が、「証券」から「銀
行」に広がりつつあります。米貯蓄金融機関(S&L)最大手の
ワシントン・ミューチャルが経営破綻したからです。今後も預金
流出によって資金繰りが悪化しかねない銀行が増加する可能性も
あり、不安が広がっています。
 こういうさいに政府はどう対応すべきなのでしょうか。これに
関して、2008年1月末のダボス会議で、ストロスカーンIM
F専務理事は次のように発言しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 アメリカだけでなく、全世界が財政出動で対応すべきである
            ――ストロスカーンIMF専務理事
―――――――――――――――――――――――――――――
 何度も述べているように、金融危機に対して国がとれる政策に
は、金融政策と財政政策の2つがあります。状況に応じて2つの
政策を使い分けて危機を鎮静化させるのが政府の役割ですが、な
ぜか財政政策に関しては腰が重く、なかなか取ろうとはしないの
です。米国の場合、バーナンキFRB議長のように金融政策至上
主義者が多いからです。
 金融危機が銀行にまで波及してきた場合、資本注入が必要にな
りますが、これは政府が資金を出すので、財政政策ということに
なります。
 現在、米議会で調整が続いている金融安定化法案も7000憶
ドル(75兆円)もの公的資金を投入する財政政策です。しかし
納税者の理解が得られないとして、成立が難航しているのです。
 このストロスカーンIMF専務理事の発言を引き出したのは、
財政出動派のサマーズ元財務長官なのですが、サマーズとしては
ストロスカーンが「財政出動はダメだ」というと思っていたのに
予想に反してこの発言をしたので驚いたといいます。いや、世界
中が驚いたのです。
 このダボス会議には福田前首相も行っていたのですが、世界経
済フォーラムのシュワブ会長が福田前首相に、IMF専務理事の
発言をどう思うかと聞いたところ、福田前首相は「財政出動が日
本の場合はベストという状態には今はない」と答えたというので
す。世界が協調して不況に立ち向かおうというときに、日本は協
力しないということになるのです。なにしろ日本では「財政出動
=バラマキ=悪」となっているので、そう答えるしかなかったも
のと思われます。  ―[サブプライム不況と日本経済/31]


≪画像および関連情報≫
 ●IMF専務理事の発言と日本
  ―――――――――――――――――――――――――――
  IMF専務理事の発言で「余裕のある国は財政出動を」とあ
  る。余裕のある国、余裕のない国とは何で区別するのかと言
  えば、インフレ率だ。アメリカも景気対策をやってよいのか
  どうか、それが唯一の問題だった。インフレ率がすでに高す
  ぎる国は、それ以上景気刺激をするのは危険だ。しかし、そ
  の点で、日本はデフレ経済なのだから世界で最も余裕がある
  国であり、何の問題もない。国の借金が多すぎるから、もう
  これ以上借金はできないと言うが、本当にこれ以上借金でき
  ないのなら、事実上破綻しているのであり、国債は事実上紙
  くずになっているのである。国債は絶対に紙くずにしないと
  国は言っているのだから、これ以上いくらでも借金はできる
  ということだ。
  http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/01/imf_bdc8.html
  ―――――――――――――――――――――――――――――

「恐慌前夜」.jpg
posted by 平野 浩 at 04:21| Comment(0) | TrackBack(0) | サブプライム不況と日本経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック