経済学部を最優等学位をもって卒業し、1979年にはマサチュ
ーセッツ工科大学で、経済学博士号を取得しています。FRB議
長になったのは、2006年2月のことです。
国の経済に対する政府の政策としては、財政政策と金融政策の
2つがあります。バーナンキ議長が得意とするのは、金融政策な
のです。バーナンキ議長は、ミルトン・フリードマンの学統を継
承している経済学者なのです。
2007年9月に5.25 %であったFFレートは、現時点で
2.00 %に下がっています。バーナンキ議長は約6ヵ月で、実
に3.25 %も下げたのです。これは前代未聞の利下げスピード
なのです。ここにバーナンキ議長の金融政策重視派の学者として
の一端を見ることができます。
バーナンキ議長の学者としての最大の業績は「大恐恐の研究」
なのです。英語では何かのマニアのことを「〜バフ」というので
す。元防衛相の石破茂氏のような「軍事オタク」は「軍事バフ」
というように使います。
バーナンキ議長は自ら「グレート・ディプレッション・パフ」
といっているので、「大恐慌オタク」ということになりです。バ
ーナンキ議長には大恐慌に関する多くの論文がありますが、その
結論は次のようになっています。
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大恐慌は金融政策のミスによるものである
リチャード・クー著/『日本経済を襲う二つの波/サブプラ
イム危機とグローバリゼーションの行方』/徳間書店刊より
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1930年代の米国の大恐慌について、バーナンキ議長は19
29年〜31年にかけての最初の2年間で、ニューヨーク連銀が
もっと積極的に市場に資金を供給していれば大恐慌は防げたはず
である――このようにいっているのです。ちなみに当時の金融政
策はワシントンにあるFRBではなく、ニューヨーク連銀が主導
していたのです。
今やバーナンキ議長は、まさに当時のニューヨーク連銀の立場
にいるのです。ここはかねてからの主張通りに金融政策で危機を
乗り切りたいと考えているはずです。そういうわけで、彼はわず
か半年で3.25%もFFレートを下げたのです。
リチャード・クー氏は、こういうバーナンキ議長の金融政策に
ついて、次のように述べています。
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かつて彼がまだ学者だった時、日本の景気低迷を見て、日銀に
向かって「日銀はトマトケチャップを買ったらどうだ。そうす
れば景気は良くなる」と発言したことがある。当時のアメリカ
の学者たちはひどい言葉を使って、日本の金融当局をボロクソ
にこき下ろしていたが、バーナンキはその代表格であった。今
やそのバーナンキは自分が当時の日銀の立場に立たされている
のである。だから、バーナンキは急速に金利を下げたわけであ
るが、今後さらに下げることも辞さないだろう。
リチャード・クー著/『日本経済を襲う二つの波/サブプラ
イム危機とグローバリゼーションの行方』/徳間書店刊より
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かつての日本は、8%からO%まで金利を下げたのですが、何
事も起こらなかったのです。景気も良くならなかったし、不動産
価格も下がり続けたのです。
金利政策が機能するのは、お金を借りたいと考えている人が多
くいることが条件となります。そういう状況のもとで金利が下が
れば、お金を借りる人が増えるだろうし、金利が上がればお金を
借りて使うことを止める人が出てくるはずである――すなわち、
経済が金融政策に反応するのです。
しかし、バブルの崩壊で失敗した人は、その反省から自己のバ
ランスシートを修復しようとして、低金利でもお金を借りなくな
るのです。これが、いわゆるリチャード・クー氏のいうバランス
シート不況論です。
ITバブルが崩壊したとき、当時のグリーンスパン前FRB議
長は、FFレートを1%まで下げたのですが、ナスダックの指標
は元に戻らなかったのです。バランスシート不況下では金融政策
は効かないのです。
同様にバーナンキ議長は金利を2%まで下げましたが、住宅価
格は、現物も先物もまったく反応しておらず、住宅価格は下がり
続けたのです。唯一反応したのはドルだけなのです。
学者という職業の人は、普通の人よりも本をよく読む人たちで
あるはずです。バーナンキ氏も学者であれば、いくら自分の理論
に反する人の本――たとえば、リチャード・クー氏の本なども読
むべきでしょう。つねに自分の考え方がどのような場合でも正し
いとは限らないからです。
リチャード・クー氏のバランスシート不況論はわかりやすいし
納得性があります。バーナンキ議長もクー氏の理論を研究し、自
分とは違う視点からなぜ経済を見ようとしないのでしょうか。そ
してもし反論があれば、そういう主張をすればよいのです。
リチャード・クー氏は、今までの経済学には次の視点が完全に
抜け落ちていると指摘しているのです。
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バブルが崩壊すると、企業や家計が借金返済に回る
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バーナンキ議長は、自分の金融政策に唯一反応するドル――ド
ル安を介して輸出を伸ばす政策を取ろうとしているのではないか
と思われます。本来米国は、貿易赤字国なのであるから、ドルの
為替レートを下げることによってドル安にし、貿易収支を改善し
て、住宅分野に過度に依存していた経済を改め、製造業や輸出が
引っ張る経済にしていこうと考える――バーナンキー議長はそう
考えたのでしょう。――[サブプライム不況と日本経済/28]
≪画像および関連情報≫
●バーナンキ議長のサブプライム問題に関する発言
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2008年4月2日、上下両院合同経済委員会で経済見通し
について、「現時点では実質国内総生産(GDP)は、20
08年上半期はそれほど成長せず、若干縮小する可能性もあ
るようだ。下半期には、金融・財政支援策の効果などで経済
活動は強くなる見通し。ベアー・スターンズがもし破たんし
ていたら収拾が極めて困難で深刻な状況を招いていた可能性
がある」と証言し、年後半の景気回復に対し明るい見通しを
示した。2008年4月4日、雇用統計や失業率の大幅な悪
化にもかかわらず、年後半の景気回復の期待が広まりダウ平
均株価、NASDAQとも堅調な値動きとなった。
――バーナンキ議長の発言より
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バーナンキ議長とクー氏







