2008年09月04日

●「重要なバーナンキ議長発言」(EJ第2404号)

 米経済はどうなるのか、ドルはどうなるかを判断するかぎにな
るのは、バーナンキFRB議長の議会での発言です。この発言の
内容によって経済の先行きについていろいろ占えるのです。した
がって、エコノミストなどの経済の専門家は必ずこれをチェック
しているといわれます。
 バーナンキFRB議長の議会発言に関連してお知らせしておき
たいことがあります。それは、あの植草一秀氏が書いている次の
経済コラムのサイトです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  植草一秀の「知られざる真実」/マスコミの伝えない政治・
  社会・株式の真実・真相・深層を植草一秀が斬る
          http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/
―――――――――――――――――――――――――――――
 植草一秀氏といえば、あの事件以来すっかりマスコミから遠ざ
けられていますが、彼の経済分析は鋭いものがあり、参考になり
ます。植草氏はこのコラムでバーナンキFRB議長の議会発言を
頻繁に取り上げて論評しています。
 ちなみに福田政権の総合経済対策についての植草氏のコメント
は次の通りであり、一部を紹介します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「目くらまし経済対策」と今後の政局
 福田政権は8月29日に総合経済対策の決定した。事業規模は
 11.7兆円、2008年度補正予算規模1.8兆円を内容と
 する対策だ。予想通り「足して2で割る」理念なき政策決定に
 になった。つい2ヵ月ほど前まで「緊縮財政」を念仏のように
 唱えていた福田政権が「景気対策」をまとめたのは、「利権互
 助会」の利権を死守するためだ。利権を死守するためには理念
 も政策の一貫性も顧みないのは分かりやすい。
             ――植草一秀の「知られざる真実」
―――――――――――――――――――――――――――――
 バーナンキFRB議長の議会発言の話に戻ります。2008年
2月28日にメディアにバーナンキ議長の発言について次の記事
が流されたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は28日、
 上院銀行委員会で証言し、米景気の現状について情報技術――
 ITバブル崩壊後の2001年の景気後退局面と比較して「現
 在の米経済はより困難な状況にある」との認識を示した。また
 サブプライムローン問題に伴う信用不安の影響について「一部
 の中小金融機関が破綻する可能性がある」と明言した。FRB
 議長が金融機関の経営状態に危機感を表明するのは異例で、ニ
 ューヨーク株式市場では、金融関連株が大きく下落した。(中
 略)さらに、金融市場での信用不安の影響について「中小金融
 機関には破綻の可能性がある」と述べた。大手金融機関につい
 ては「破綻の可能性はないだろう」とした上で「一部の金融機
 関は引き続き自己資本の増強を図る必要がある」と強調した。
            ――2008.2.29付、毎日新聞
―――――――――――――――――――――――――――――
 このバーナンキ発言について注目すべきことは、サブプライム
問題の影響で「一部の中小金融機関が破綻する可能性がある」と
明言していることです。記事にもあるようにこれはきわめて異例
なことなのです。
 2008年の初頭から米当局が次々と打ち出した経済政策は日
本と違って予想を覆すほど実に素早いものだったのです。事前の
予想では、1月28日の一般教書演説でブッシュ大統領が発表す
ると思われていた景気対策を18日に打ち出し、しかも10兆円
規模とされていたものを5兆円上乗せして15兆円規模に増額し
利下げの幅も30日に0.5 %と予想されていたものを覆し22
日に0.75 %の緊急利下げを行い、さらに30日に追加利下げ
を示唆するなど、すべての処置がきわめて素早いものであったと
いえます。
 しかし、これほどの素早い措置にもかかわらず、ニューヨーク
株式市場の反応は鈍かったのです。とくに大統領が景気対策を打
ち出したときは株価は逆に下落したのです。この株価下落は連鎖
的に世界の株価に影響を与え、下落の連鎖を生み出したのです。
 米当局が予想よりも素早い対応をとったことは、かえって米国
の実体経済が悪いことを当局が認識していることのあらわれでは
ないかとも考えられるのです。
 ニューヨークの株価が小康を取り戻したのは、政府がモノライ
ン対策を検討しているという報道が行われてからなのです。そし
て2月の後半に上記のバーナンキ発言が報道されることになるの
ですが、この報道はモノライン問題に関係があるのです。
 モノライン保険会社は、もともと相応の保証料をとって地方債
などの金融商品の元利を保証するという地味で堅実な仕事をやっ
ていたのです。ところがサブプライムローン関連の証券――MB
SやCDOを扱うようになって、モノライン保険会社の業容は急
拡大したのです。しかし、2007年後半になって、事態は一変
するのです。
 既に述べたようにサブプライムローンには加入後数年後に金利
が上昇するものが多く含まれており、これによって、ローンの支
払いができないものが急増したのです。これはその証券の元利保
証をしているモノライン保険会社に打撃を与えたのです。
 2007年11月7日、モノライン保険のACA社が10億ド
ルの損失を発表したのです。12月13日、同社はニューヨーク
株式市場の上場銘柄から外されます。同社はシングルAの格付け
を持っていましたが、12月19日にはS&P社がトリプルCに
格下げしたのです。これは、一気に12段階の格下げであり、普
通はあり得ないことなのです。これによって、一気にモノライン
保険危機が巻き起こることになります。2007年の暮れの米経
済の情勢です。  ――[サブプライム不況と日本経済/16]


≪画像および関連情報≫
 ●ACA格下げを取り上げたレポート――1月21日
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  サブプライムローン問題は、より深いレベルに入ってきた。
  「モノライン」と呼ばれる債権保証会社の危機である。先週
  ニューヨーク株が300ドルを超す下げを見せたのはこのた
  めである。2008年1月17日付の「ウォール。ストリー
  ト・ジャーナル」紙が一面に大きくこの問題を取り上げてい
  る。ACAファイナンシャル・ギャランティーという債権保
  証会社の格付けがAからトリプルCに格下げされたという。
   http://www.ecommodity.co.jp/market/gud_080121_1.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

バーナンキ議長議会発言.jpg
posted by 平野 浩 at 04:20| Comment(0) | TrackBack(0) | サブプライム不況と日本経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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