2001年05月29日

『2001年宇宙の旅』講義/モノリス(EJ625号)

 先日書店で「『2001年宇宙の旅』講義」(巽孝之著、平凡
社新書092)という新刊書を見つけて読んでみました。「20
01年宇宙の旅」とは、1968年に公開された映画です。私は
この映画を何回も見ましたが、そのとき2001年は、はるか先
のことだと思われたものです。
 しかし、今年は2001年です。あれから33年が経過したの
です。民間人の宇宙旅行も1人ではありますが、本当に今年実現
しています。そういうこともあってこの本が発刊されたのだと思
います。この映画の謎を解くためにも・・・。
 実は、「2001年宇宙の旅」という映画の話題は、あの20
00年問題と関連させて、EJで取り上げたことがあるのです。
1999年3月15日のEJ98号においてです。
 ところで、皆さんは「2001年宇宙の旅」をご覧になったで
しょうか。もし、ご覧になっていないとすれば、ぜひ見ていただ
きたいと思います。6月10日(日)午後7時20分から、NH
K衛星第2テレビで放映されます。DVDでもLDでもビデオで
も出ています。見る価値はあると思います。
 この映画の原作者は、イギリスのSFの大家、アーサー・C・
クラーク、映画監督は、米国映画の巨匠、スタンリー・キューブ
リックです。この映画には謎が多いのです。単に映画を見ただけ
では、たとえ何回見たとしても、意味はわからないはずです。ま
ず、最初に映画を見て、続いてクラークの小説も読み、そして考
える――そうでないと理解できないと思います。
 この映画の謎を解くかぎは、映画中何回もあらわれる「モノリ
ス」について知ることです。モノリスとは、高さ3メートル、幅
1.5メートルの漆黒に輝く長方形の石板です。映画では、この
モノリスについては一切何の説明がないまま映画の主要な場面に
おいてモノリスは何回も登場するのです。
 映画「2001年宇宙の旅」は、地球上にホモ・サピエンスが
登場する前の太陽系において、神ならぬ地球外知性体が3種類の
モノリスを設置したのです。第1のモノリスは地球に、第2のモ
ノリスは月に、そして第3のモノリスは木星の衛星軌道上に置か
れたのです。なぜ、そんなことをしたのか。そもそもモノリスと
は何であり、何を目的とするものなのでしょうか。
 モノリスは人間の知恵を増加させる一種の教育装置のようなも
のと考えられます。これに触れると、知恵が増して利口になると
いう設定です。映画の最初の部分で地上にそびえるモノリスの周
りに人類の祖先である類人猿が集まり、中にはモノリスに手に触
れるものもいるシーンがあります。
 やがて、類人猿同士の争いが始まるのですが、手に骨を持ちそ
れを武器として使う猿が現れ、他の猿を征服してしまいます。そ
の猿がモノリスに触れた猿なのです。つまり、モノリスに触れる
と、知恵がつき一段と賢くなるのです。類人猿に知恵を与え人類
を進化させるのが地球上に置かれたモノリスの役割なのです。
 それらの類人猿が骨を空高く放り上げると、その骨は一瞬にし
て宇宙船に変わります。このシーンは実に美しく最初に見た感動
を今でも覚えています。このあたりから、映画は題名にふさわし
く宇宙の旅らしくなります。
 なぜ、いきなり宇宙船なのかというと、それが人類の叡智の産
物とみなしているからなのだと思います。地球上に置かれたモノ
リスによって知恵を獲得した人類は、やがて叡智を集めて宇宙船
を作りだします。そして、行くところは最も身近な月というわけ
です。地球外知性体は、人類は必ずそうすると予測して第2のモ
ノリスを月に埋めておいたのです。
 人類が月面のモノリスを発掘すると、それに太陽光線が当り、
木星へと信号が送られます。そして宇宙船はその光の信号を辿っ
て木星に向けて発進するのです。例の地球外知性体は人類が進化
すれば宇宙船を作って必ず月にきて、それからさらに高度な木星
探査宇宙船ディスカバリーを作り木星に向うと考えてえてモノリ
スを置いたのです。
 その宇宙船ディスカバリーには、HAL9000という名前の
スーパーコンピュータが搭載され、宇宙船全体を取り仕切るので
す。実は、このHAL(ハル)という名前は次の意味が隠されて
いるのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
         HI・・・AB・・・LM
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 つまり、HALを構成する最初の文字HはIの前、AはBの前
であり、LはMの前ということになります。つまり、いずれも、
IBMの前にあるという意味で「HAL」なのです。IBMを超
えるコンピュータという意味なのです。
 この宇宙船のコンピュータHALとボウマン艦長をはじめとす
る乗務員との間にはいろいろな葛藤があるのですが、それはさて
おき、HALは発狂して宇宙船を暴走させます。
 HALの管理から脱してディスカバリー操縦の主導権をとった
ボウマン艦長は、木星軌道上に置かれた第3のモノリスと遭遇し
ます。この第3のモノリスによってディスカバリーは、物凄いス
ピードで、未知の空間、時空間を超える扉に当るスター・ゲート
に呼びこまれてしまうのです。
 そして、そこで艦長のボウマンは、まったく生気のない、影ひ
とつない、美しいロココ風の部屋に導かれるのです。そこで、ボ
ウマンは急速に歳を取り、死ぬ間際にモノリスに出会い、胎児に
戻ってしまいます。
 このシーンは何を意味しているのでしょうか。きわめて異様な
光景なのです。こういう考え方もあります。地球外知性体は最も
優秀な人類のあらゆるデータが欲しかったのです。
 そこで、モノリスを使ってその最も優秀な人類、映画ではボウ
マン艦長をスター・ゲートに導き、時間を逆戻しして彼を胎児に
まで戻したのです。そして、その最も優秀な人類のデータをモノ
リスに収集したのです。このテーマは明日も続けます。

625号.jpg
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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