2008年6月現在の米国の金の保有量は8134トン――世
界最大の保有量ですが、それが実はないというのです。そんな馬
鹿なという人は多いでしょう。しかし、中央銀行は外貨準備につ
いてはきわめて秘密主義であり、ほとんど情報を公開しないのが
つねなのです。そのとくにひどいのが米国なのです。絶対に何も
明かさない――完全にだんまりなのです。
今まで多くの米国人が財務省が保有する金を監査するよう繰り
返し、要求したのです。かつてジョンソン政権がベトナム戦争の
ときにどのくらい金を売却したのかについては結局誰もわからな
いのです。要求に対する当局の答えはいつも同じ次のメッセージ
なのです。
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監査は費用がかかり過ぎる
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フェルディナント・リップスの本に気になることが書いている
のです。米国の金の専門家にジェイムス・タルクという人がいて
ニューヨーク州ウェストポイントにある合衆国造幣局に預けられ
ていると思われる1700トンの金の表記が何回も変わっている
といっているのです。
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2000年9月以前 ・・・・・ 金地金準備
2000年9月以降 ・・・・・ 保管金
2001年 ・・・・・ 重備蓄金
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ジェイムス・タルクによると、この「保管金」というのはドイ
ツの金であるといっているのです。ドイツの保有金は約3400
トンですが、ドイツ連銀は金準備のほとんどを他国に保管しても
らっているのです。
実際にドイツにあるのは約80トン――これは、ドイツの保有
金の2.3% に当たりますが、それがフランクフルトの金庫にあ
るだけで、残りの金のうち1700トンは米ウェストポイントに
ある合衆国造幣局に預けられているのです。米財務省はこのドイ
ツの金1700トンの保証をしています。
この金の表記がそれまでの「金地金準備」から「保管金」に変
わり、さらに「重備蓄金」に変わっているのです。これは何を意
味するのでしょうか。
それでは残りの1700トンはどうなったのでしょうか。
この1700トンの金は米国の為替安定化基金と交換されたか
たちをとり、為替安定化基金はこの金をブリオンバンクに貸し出
しているのです。既に述べたように、ブリオンバンクは、金を含
めた貴金属取引を行う銀行のことです。そして、ブリオンバンク
はその金を売却しています。
これは何を意味しているかです。それは2000年9月という
時期に注目すべきです。ちょうどその一年前の1999年には金
の戦争をめぐってさまざまなことがあり、金の戦争について一応
の決着がついた年なのです。
既出の鬼塚氏は、あくまで推理であると断って、ドイツの金の
経緯について、次のように述べています。
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ついに1999年、ウォール街の金デリバティブ体制が崩壊す
るときがきた。このウォール街の金デリバティブでイギリスの
シュローダー銀行もロバート・フレミング銀行が倒産の危機が
訪れた。イングランド銀行は金を放出し、金価格を下げようと
した。そして、このハードランディングによって両銀行の倒産
は回避された。2000年9月に「金地金準備」のドイツ連銀
の金が「保管金」になっていることは、すでにアメリカ財務省
が、このドイツ連銀の金にさえ手をつけて、金デリバティブで
倒産しかけたウォール街を救出するために使ったに違いない。
そして表記変更の2000年9月に注目したい。この金の使用
で「金の戦争」の結末がつけられたのであろうと思っている。
ヤクザの手打ちである。金デリバティブのもたらす危機の最終
的回避である。残りの1700トンの金が最終的にブリオンバ
ンクに渡り、ブリオンバンクはこれを金デリバティブ市場で売
却し、空売りをつづけた尻ぬぐいをした、と私は見る。
――鬼塚英昭著、『日経新聞を死ぬまで読んでも解ら
/金の値段の裏のウラ』/成甲書房刊
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考えてみると、1999年9月11日にはやはり「金の戦争」
に敗れたJPモルガンとチェース・マンハッタン銀行が合併して
います。そのときにも大量の金が動いているはずです。
そして、1999年9月26日に「金の戦争」の終結を告げる
「ワシントン合意」が行われているのです。金にかかわるすべて
のことが1999年に秘密裏に処理され、終結しているのです。
しかし、それにしてもどうしてドイツ連銀は、貴重な金を米国
の金庫に預けたままにしたのかです。これについては、リップス
の本で、「フィナンシャル・タイムズ」紙のデビット・マーシュ
ボン特派員の次のことばが紹介されています。
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1960年代半ばの以降、金地金がドイツに移されることは一
切なかった。冷戦期のドイツ連銀は、要塞化した東西ドイツ国
境からソビエト製の戦車なら数時間で到着するフランクフルト
よりも、海外に保管する方がよほど安全であると考えていたの
だ。しかし、ドイツ統一が成されると、ドイツ連銀は、準備金
の少なくとも一部をフランクフルトに戻すのに良い機会である
と判断したに違いない。ところが外交上の利害から、金地金の
ほとんどは、結局手を触れずにおかれることになったようであ
る。フェルディナント・リップス著/大橋貞信訳/徳間書店刊
『いまなぜ金復活なのか/やがてドルも円も紙屑になる』
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―[金の戦争/44]
≪画像および関連情報≫
●外貨準備とは何か/東奥日報より
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対外債務の返済への備えや、外国為替市場で自国通貨の下落
を止めるため介入を行う資金として、国が保有する外貨建て
の資産。国内で政府短期証券を発行して円資金を調達し、そ
れを元手に外貨資産を買うため、資産と債務を両建てで持つ
形になる。外国為替資金特別会計を通じ、大部分を米国債で
運用。毎年度、運用益の一部を一般会計に繰り入れている。
http://www.toonippo.co.jp/news_hyakka/hyakka2008/0307_3.html
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2008年08月08日
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