2008年08月05日

●「金の高騰というよりドルの減価である」(EJ第2382号)

 「日経ビジネス」の金の特集「ドル凋落/金本位制再び」にお
いて、金に関する興味ある計算が披露されているので、ご紹介し
たいと思います。
 現在、世界的に原油や小麦やトウモロコシなどの穀物価格が上
昇していますが、これらはいずれもドル建てなのです。これを金
の価値を基軸にして測り直すと、その価格上昇率は意外に小さい
はずである――これを証明するための計算です。
 そのために「日経ビジネス(NB)ゴールド」という架空の金
貨を次のように設定し、このNBゴールド建てで原油の値動きを
追ってみようというわけです。
―――――――――――――――――――――――――――――
   純金100分の1オンス=NBゴールド金貨1枚
―――――――――――――――――――――――――――――
 原油は2000年1月の時点で「1バレル=28ドル」だった
のですが、2008年7月2日時点では、「1バレル=141ド
ル」になっています。
 2000年1月時点の金価格は「1オンス=280ドル」であ
り、1NBゴールドはその100分の1であるので2.8ドル、
「1バレル=28ドル」はNBゴールド金貨10枚となります。
―――――――――――――――――――――――――――――
       28 ÷ 2.8 = 10枚
―――――――――――――――――――――――――――――
 現在の金価格は、「1オンス=940ドル」前後になっていま
す。1NBゴールドは9.4ドルであるから、NBゴールド金貨
15枚となります。
―――――――――――――――――――――――――――――
      141 ÷ 9.4 = 15枚
―――――――――――――――――――――――――――――
 原油についてまとめると、2000年から2008年までの8
年間については、原油価格は5倍になったものの、純金で測った
価格は1.5 倍にしかなっていないのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  原油価格  28ドル → 141ドル ・・ 5.0倍
  金 価格  10 枚 →  15 枚 ・・ 1.5倍
―――――――――――――――――――――――――――――
 これをみてもわかるように、金の高騰というよりもドルの猛烈
な減価なのです。ドルの減価は米国の力がそれだけ落ちたことを
意味するのです。副島隆彦氏は、米国のドルについて次のように
述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 今から64年前に決められた時から、米ドルのお札の方は、今
 や30分の1になっている。それなのに、アメリカ合衆国(ア
 メリカ帝国)は、まだ「アメリカの(お金の)力は強い」と強
 がりを言っている。どんなにアメリカが強がりを言っても、現
 実には30分の1の国力になってしまっている。
                 ――副島隆彦著/徳間書店
       『静かに恐慌化する世界/連鎖する大暴落』より
―――――――――――――――――――――――――――――
 「米国は30分の1の国力」の根拠はこうです。1944年7
月――ブレトンウッズ体制発足時点の金の価格は、「1オンス=
35ドル」です。金1オンスは31.1035 グラムなのです。
 2008年3月時点の金価格は「1オンス=975ドル」――
これを31.1035 グラムで割ると次のようになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
    975 ÷ 31.1035 =31.346
    金1グラム =31ドル  →   30倍
―――――――――――――――――――――――――――――
 この「金1グラム=30ドル」に105円をかけると3150
円になり、日本における金価格になります。副島氏によると、や
がて金は2倍の6000円台になると予想しています。
 ところで、現在主要国はどのくらい金を保有しているのでしょ
うか。以下は2008年6月現在の公的部門の金保有量です。
―――――――――――――――――――――――――――――
          国       保有量
    1.米国       8134トン
    2.ドイツ      3417トン
    3.IMF      3217トン
    4.フランス     2562トン
    5.イタリア     2452トン
    6.スイス      1100トン
    7.日本        765トン
    8.オランダ      621トン
    9.中国        600トン
   10.ECB       564トン
   11.ロシア       458トン
   12.台湾        423トン
   13.ポルトガル     383トン
   14.インド       358トン
      2008年6月現在/WGC調べ
―――――――――――――――――――――――――――――
 これによると、米国の金の保有量は圧倒的です。実質上IMF
も米国に入れると、11351トンになるのです。ドルの減価が
止まらない米国――本当にこれだけの金が米国にあれば、米国は
これを使って何かを仕掛けてきても不思議はないのです。
 強力なインフレ圧力が世界経済にかかっている現在、もしこの
タイミングで米国が金本位制復活宣言をしたら、世界経済はどう
なるでしょうか。不換紙幣のインフレの中で、金本位制に復帰し
たドルだけが、インフレにヘッジできる唯一の通貨になる――そ
うなるとドルは、再び基軸通貨として世界を支配することになり
ます。可能性としては考えられます。  ―[金の戦争/41]


≪画像および関連情報≫
 ●金本位制に関するプログより
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ドルが崩壊するので、今度は金本位制になるのではないかと
  か、金地金が注目されているようなんだが、アメリカがいっ
  ぱい持ってるらしいね。第二次大戦が終わった時に、アメリ
  カは何百年分だかのニッケルを保有していたとかいう噂もあ
  って、浪費も好きだが、溜め込むのも好きらしい。こういう
  ヤツは便秘になる。で、日本銀行も金地金を4412億円分
  持っているそうだが、いや、ないんだよ、という話もある。
  むかしは日本も金本位制で、兌換紙幣というヤツだった。紙
  幣を日銀に持っていくと金そのものに交換してくれる。
  http://shadow-city.blogzine.jp/net/2007/11/post_0719.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

副島氏の本.jpg
posted by 平野 浩 at 04:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 金の戦争 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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