2008年08月04日

●「金価格は意図的に操作されている」(EJ第2381号)

 ここまで39回にわたって「金の戦争」と題して書いてきたの
ですが、このテーマもそろそろ締めくくりをしなければならない
ところにきております。
 ここまで書いてきて感ずることは、「金」については情報が非
常に少ないということです。「金の戦争」というタイトルにして
も、フェルディナント・リップスの本の原題「ゴールド・ウォー
ズ」からとったものであり、そういうタイトルの本は他には存在
しないのです。
 さらに不思議なことに、「金」について書いている経済学者や
経済評論家やアナリストなどの経済の専門家がほとんどいないと
いうことです。いや、金だけでなく、FRBやIMFついても正
面切って意見を述べている人は少ないのです。既出の鬼塚英昭氏
は、これについて次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「金の戦争」どころか、金そのものについて語ったり、書いた
 りする経済学者はいない。ケインズ、フリードマン、サミュエ
 ルソン、そしてガルブレイズにいたるまで一人もいない。未来
 学者たちも語らない。グローバリズムを否定するノーベル賞学
 者のスティグリッツも金に関しては沈黙を守っている。
     ――鬼塚英昭著、『日経新聞を死ぬまで読んでも解ら
            /金の値段の裏のウラ』/成甲書房刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 もっともスティグリッツやキッシンジャー元国務長官、ジョー
ジ・シュルツ元国務長官、ウィリアム・E・サイモン元財務長官
などは、IMFや世銀についてはっきりとものをいい、その解体
を求めていますが、彼らも金についてはなぜか沈黙しています。
まるで誰かに口止めされているようです。
 さて、1980年1月の「1オンス=850ドル」という最高
値を記録した金は、その後20年間にわたって下がり続けます。
そして、1999年8月に253ドルという底値を付けたあと、
2001年4月2日に255ドルという二番底を記録するのです
が、そのあと金価格は一転して急上昇するのです。
 底値から急上昇に向かった2ヵ月間について考えると、その間
金価格を押し上げるような有事も金融的事件も起こっていないの
に30ドル以上も上昇しているのです。まるで何かの決着がつい
たので、一挙に上昇に転じたような上がり方であるといえます。
 こういう金価格の動きをみると、明らかに金価格は何かに誘導
されています。重要なことはここで米政権がクリントン政権から
現ブッシュ政権に代わっていることです。民主党のクリントン政
権は金嫌いとして知られています。
 二番底を記録した2001年4月から3ヶ月前――すなわち、
ブッシュ政権が発足すると、数千億円の資産を持つといわれる米
国の「スーパーリッチ」は、ここが金の底値とみて一斉に金を買
いに出動しはじめたのです。これを「スーパーリッチによるゴー
ルドラッシュ」といい、金価格の長期上昇トレンドへの構造転換
が起こったのです。
 そして、ブッシュ政権を通じて金価格は上昇し、遂に2008
年3月に1023ドルという史上最高値を更新したのです。10
00ドルまでの推進役としては、通説では「ドル離れマネーの買
い」とされていますが、これについて上武大学教授高橋靖夫氏は
次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 私は陰の主役(1000ドルまでの推進役)は、スーパーリッ
 チが本格的に資産のある割合を「保険としての金」へ戦略的に
 シフトさせたものと考えている。「第2次スーパーリッチのゴ
 ールドラッシュ」である。だから、金価格の上昇は底堅いので
 ある。     ――「SAPIO」/2008.4.9日号
―――――――――――――――――――――――――――――
 「ETF」というものがあります。ETF(指数連動型上場投
資信託)とはその価格が株価指数(TOPIXや日経平均など)
商品価格、商品指数などに連動するようにつくられ、上場されて
いる投資信託です。
 その金のETFが現在注目されているのです。これによって、
金製品を買う人が増えているからです。ETFとは投資信託と同
じように運用される仕組みになっていて、世界的な金の取引はこ
れがメジャーになっているのです。
 この金のETFが2008年6月30日、東京証券取引所に上
場されたのです。この上場式典でこの金のETFを開発したワー
ルド・ゴールド・トラスト・サービシスのジェームス・バートン
氏は次のように語っています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ドル安やインフレをヘッジする機会を日本の投資家に提供でき
 ると考えいいる。       ――ジェームス・バートン氏
         「日経ビジネス」/2008.7.21より
―――――――――――――――――――――――――――――
 この金のETFは、それまで商品投資に縁遠かった年金基金や
投資信託、それに個人投資家が容易に金を買えるようになったこ
との意義が大きいといえます。ETFを通じて買い付けられた金
の総量は既に1000トン近くに達する予定です。
 70年代のニクソンショックから今年はちょうど38年目にな
ります。当時と同様に「米国覇権の終焉」とか「ドル失墜」とか
いわれ出しています。
 サブプライムローン問題による世界同時不況対策として、米国
は大量のドルを世界中にバラまいています。その結果、通貨全体
の価値は下落し、物価は急上昇して強いインフレ圧力が世界経済
にかかってきています。 
 このインフレ圧力にもかかわらず、米国は利上げの選択肢を奪
われたままです。そしてただ「強いドル」を口にするだけで何も
手が打たれていないのです。ドルの下落と金の高騰――米国は何
をやろうとしているのでしょうか。  −―[金の戦争/40]


≪画像および関連情報≫
 ●ETF革命の光と影/山崎元氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  筆者はETF(上場型投資信託)に大いに期待している。E
  TFはなんといっても信託報酬水準が低く、長期保有を前提
  とすると、通常のリテール向けの投資信託と比べ、圧倒的に
  コストが安い。近年は海外市場に上場されている外国株式を
  組み入れたETFを扱う証券会社も増えた。外国株式にも低
  コストで投資できるようになった意義は大きい。外国株式に
  も分散投資の対象を広げることが理論上はほぼ絶対的に好ま
  しくても、これまでは外国株式を投資対象とする投資信託の
  手数料があまりに高く、個人投資家に具体的に薦められる運
  用商品がなかった。だが海外ETFに投資できるようになっ
  て、この問題が解決された。
      http://diamond.jp/series/yamazaki_econo/10043/
  ―――――――――――――――――――――――――――

金塊.jpg
posted by 平野 浩 at 04:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 金の戦争 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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