1980年から2000年までの20年間――この期間におい
て砲弾もミサイルも飛ばないが、すさまじい金の戦争があって、
勝者と敗者が出たのです。しかし、この20年間は金価格はなぜ
か下がり続けたのです。
このように金価格が下がり続けるということをあらかじめ知っ
ていたかのように、金価格を操作して膨大な利益を上げた産金会
社があります。バリック・ゴールド社という会社です。
もし、バリック・ゴールド社が何らかの事情で今後金価格は下
落を続けるということがわかっていたとします。バリック・ゴー
ルド社は産金会社ですから、一年後に生産する予定量の金、ある
いは2年後に生産する予定量の金、さらには3年後に生産する予
定量の金について、その総額を大量に金の現物を持っている機関
――各国の中央銀行など――に働きかけて、金利を払って金を
借り出すのです。
そして、その金を先物市場で現在の価格――以後は下がり続け
るのですから高値――で売却するのです。そして、1年後、2年
後、3年後にはそれぞれ実際に生産した金で返済する。そうすれ
ば大儲けができるのです。実際にバリック・ゴールド社はそうや
って大儲けをしているのです。
それなら、バリック・ゴールド社は、金が以後は下がり続ける
ということをどうやって知ったかということです。きな臭いこと
に、バリック・ゴールド社の国際諮問委員会委員長がブッシュ元
大統領(パパブッシュ)――現在は退任――であったことです。
リップスは、バリック・ゴールド社のこのやり方について次の
ように書いています。
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バリックが考えついたヘッジ自体は素晴らしいアイデアであっ
た。ヘッジ取引によって金鉱山業界は経済界で唯一、自力で債
務の沼からはい出せる産業になったのである。だが、バリック
の年次報告書、とくにその1994年、1995年および19
96年版に記載されているヘッジに関する方針は、厳密に言う
とヘッジではなく、投機行為である。というのも、金価格は、
1968年以降に何度か急騰したが、今後はそのような急騰も
かつての価格帯に戻ることもあり得ないということに、バリッ
クは賭けていたからである。
フェルディナント・リップス著/大橋貞信訳/徳間書店刊
『いまなぜ金復活なのか/やがてドルも円も紙屑になる』
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もともと金鉱山会社には単純な先物取引はあったのです。仮に
金鉱山会社が1オンスの金を生産するときのコストが300ドル
だったとします。そこで金鉱山会社は300ドルのコストに利益
分を上乗せして350ドルの先物契約を結ぶのです。そして期限
がくると、350ドルで金塊を売るという取引です。
しかし、このバリック・ゴールド社の「先売りヘッジ」はリッ
プスもいうように、投機そのものであり、しかも投資家に対して
うその報告をしていたのです。その報告とは次の通りです。
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新たに生産した金地金を市場価格よりも高い価格で評価するこ
とで、実際より大きな利益を上げてきている。
――バリック・ゴールド社の投資家への報告
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実はこれは事実ではないのです。バリック・ゴールド社は、低
い利率で長期間借り入れた金を売却し、それで得られた資金を今
度は高利回りの米国財務省証券に投資したのです。そして、その
受取り利息のおかげで、増大した利益をあたかも金を高値で売却
した結果であるように報告していたのです。
なぜ、この報告は正しくないのでしょうか。
なぜ、これが不正行為なのかはこの取引が借り入れた金を元の
所有者に返済しない限り、未了なのです。したがって、そこから
得られた利益はあくまで「架空の利益」に過ぎないからです。も
し、取引終了前に金価格が急騰してしまうと、たちまち、大損失
が生じてしまうからです。
実際に大損失が生じなかったのは、実際に金価格が下げ続けた
からです。それはどのようにして実現されたのでしょうか。
ロスチャイルドをドンとする国際通貨マフィア、デル・バンコ
一族は、金価格を操作できたのです。彼らは下がった金価格に対
してたえず揺さぶりをかけて、上昇したところで売りに出す――
これを繰り返して莫大な利益を上げたのです。
著名な投機師ジョージソロスの金の取引について、次の一文が
あります。
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1993年はソロスがもっとも活躍する年となった。まずソロ
スは金投機に絡んだ。金は1オンス=345ドル平均のときに
ソロスは天文学的資金を投じて仕入れていた。すぐに1オンス
=385ドルに上昇し、彼はたちまちにして全量を売却した。
これはゴールドスミスとも組んでいたために過大なほどの話題
を集めたが、場違いな金取引でも数億ドルの稼ぎがあった。
――宮崎正弘著/オーエス出版社
『ユダヤ商法と華僑商法』より
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ここで、ゴールドスミスとは、ロスチャイルド家のジェームス
・ゴールドスミスのことです。このように金相場をデリバティブ
で揺さぶって金価格を釣り上げ、再び価格を下げてそれを維持す
る――そういうことができたようです。
しかし、金価格が低レベルに維持されてしまうと、その金価格
は金鉱山会社の生産価格を無視したものになっていったのです。
しかも、バリック・ゴールド社の動きにチェース・マンハッタン
やJPモルガンなどの米大銀行が同一歩調をとったため、金鉱山
会社は採算割れして倒産していったのです。何か大きな仕掛けが
そこにあったのです。 ――[金の戦争/37]
≪画像および関連情報≫
●ジョージ・ソロスとは何者か
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ジョージ・ソロスは多彩な人間である.史上最高額を稼いだ
投機家であると同時に,東欧改革に取り組む最大の慈善家。
また「開かれた社会」の思想を世界に啓蒙する政治家である
と同時にすぐれた哲学的思考をもつ一流の評論家でもある。
数々の類まれな能力に恵まれたこの男は,きわめて怪しい魅
力に満ちている.彼は現在,20世紀最大の人物の一人とし
て,歴史に名を刻むことを使命としているようだ。
http://www.ntticc.or.jp/pub/ic_mag/ic031/html/160.html
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2008年07月30日
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