2008年07月25日

●「世銀とIMFは財務官僚の巣である」(EJ第2375号)

 世界銀行とIMFは拠出金に応じて発言権が決まることになっ
ているのです。その点が国連とは違うわけです。日本の拠出金は
世銀もIMFについても米国に次いで第2位なのです。
 しかし、日本が世銀やIMFにおいて目立って何かをしたかと
いうと、ほとんど何も聞こえてこないし、見えていないのです。
日本はまさに顔のない巨額出資国になっているのです。
 その原因のひとつは、世銀とIMFへの日本のかかわりが年来
財務省の硬直した官僚たちの手に委ねられていることにあると思
うのです。現在、官僚の天下りの問題が問題視されていますが、
世銀やIMFの方にそれが及んでいることに多くの人は気がつい
ていないと思います。外交ジャーナリストの古森義久氏は、次の
ようにいっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
  財務官僚たちにとってワシントンは「世界最後の桃源郷」
  である                ――古森義久氏
―――――――――――――――――――――――――――――
 世銀の日本人専門職員百数十人のうち、副総裁、理事、理事代
理、専務理事特別顧問、局長、局次長、多国間投資保証機関(M
IGA)長官――こういった枢要の地位のほとんどは財務官僚に
よって占められているのです。
 IMFでは日本人専門職員43人のうちの14人が財務官僚で
日本人全体の3分の1を占めており、しかも、副専務理事、理事
理事代理などの要職を独占しているのです。
 一般的に考えた場合、財務省や外務省の官僚でワシントン勤務
になる人といえば、英語が堪能なことは当然として、国際政治・
金融経済、外交問題などについて、欧米の大学の修士号や博士号
のレベルが要求されると普通は考えます。一般の日本人が世銀や
IMFに職を求める場合、こういうことが要求されるからです。
 しかし、財務官僚の場合は、この種の条件は満たさなくても、
日本政府の出資金の特権を背景に一定のポストに優先的に就くこ
とができるのです。なかには英語ですら十分に話せなくてもワシ
ントン勤務になる財務官僚も多くいるのです。
 既出の古森義久氏によると、ワシントン勤務になる官僚の派遣
人事には次の2つのパターンがあります。
―――――――――――――――――――――――――――――
  1.若手や中堅の官僚に経験を積ませる目的の派遣
  2.財務省内のベテランの最後のポストとして派遣
―――――――――――――――――――――――――――――
 1については教育と経験ということであるので、英語や知識面
に問題があっても仕方がないと財務省はいうのです。そのため、
1998年から「ブルームズベリー昼食会」という名の会合を作
り、そこで英会話や経済学の研究会をしているのです。
 正規のルートから世銀やIMFに入ろうとする一般の日本人に
は厳しいレベルを求めながら、財務官僚には単なるキャリアパス
のひとつとして平均3年で交代させる――その程度で国際感覚が
身に付くものでしょうか。
 そもそも世銀やIMFに務めながら、英語と経済学の能力が足
りないというのはおかしな話なのです。その英会話や経済の勉強
をワシントンにいながら日本人同士でやるという――周りは外国
人ばかりなのですから、なぜその中に飛び込んで仕事を通じて英
語でも経済でも学ぼうとはしないのでしょうか。
 それでいて3年経って日本に帰ると、世銀○○とかIMF勤務
とかいう箔が付くのです。若くても英語はもちろんのこと、国際
政治にも経済にも通じている若手はたくさんいるはずであり、そ
ういう人をなぜワシントン勤務にしないのか疑問に思います。
 上記2に関しては、形を変えた天下りそのものであり、論外で
す。古森氏は2に関して次のようにいっています。日本で問題を
起こしたので、米国に逃がすというパターンがあるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 この第2のパターンとしては、1997年に旧大蔵省の金融検
 査をめぐる汚職事件で、戒告処分を受けた元金融検査部管理課
 長の日下部元雄氏がその後すぐ世銀の専務理事顧問に任命され
 99年には財務省のバックアップで副総裁になった。このとき
 は日本人の正規採用職員の間で怒りの声が起きた。
               ――古森義人著、『国連幻想』
                       産経新聞社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 世銀やIMFでの財務省による人事中枢独占の慣行に対し、日
本人正規職員から次のような抗議が出ているのです。こういうこ
とは新聞やテレビはほとんど伝えないのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 大蔵省(財務省)からの出向職員は日本人正規職員にくらべて
 語学力、専門性、倫理観、途上国の開発への熱意などではるか
 に劣る。そのような官僚を資金力をちらつかせて政治的圧力に
 より多数任用することは国際機関での日本人職員全体の評価を
 下げる結果となる。多くの出向官僚は出向期間を長期の休暇と
 勘違いしており、実績次第では常に解雇の危険にさらされてい
 る正規職員とはまったく対照的な存在なのだ。
               ――古森義人著、『国連幻想』
                       産経新聞社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 財務省という特定の官庁が世銀やIMFを独占的に担当し、そ
れらの国際機関の一定のポストがあたかも自省に帰属しているよ
うに定期人事で送り続ける――こんなことを許しているから、巨
額の拠出金を出しながら、日本の顔の見えない国際機関になって
しまっているのです。
 世銀とIMFの人事は速やかに財務省から切り離し、国会での
議論をして、どこに出しても恥ずかしくない優秀な人材を送り込
むべきであると考えます。来週は世銀やIMFについての高名経
済学者の反論を取り上げます。    ――[金の戦争/34]


≪画像および関連情報≫
 ●国連中心主義の幻想/プログより
  ―――――――――――――――――――――――――――
  戦前、日本は国際連盟にどの国より先駆けて、人種差別法案
  を提出したがあっさりと拒否された経過があり、当時の白人
  優位と帝国主義中心の国連は自国優先のための組織でしかな
  かった。差別的な環境の中で日本は国連を脱退することにな
  る。このような歴史的な過程を経験してきていることは日本
  の政治家たるものにはご存知だろうと推察するが、国連が平
  和を確立する唯一の組織と認めることで果たして良いのかと
  いう疑問である。
 http://morimoto.mo-blog.jp/yutaro/2006/04/post_0bad.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

古森氏の本.jpg

posted by 平野 浩 at 04:15| Comment(0) | TrackBack(3) | 金の戦争 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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