デル・バンコ一族は長い年数をかけてスイスに金が集まる仕組
みを作っていったのです。その基本となるものは、スイスの秘密
主義と独立性です。
フェルディナント・リップスは、スイス銀行の役割について、
次のように述べています。
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スイスの銀行界が法律で厳しい顧客情報の守秘義務を定められ
最高の金融サービスを提供し、スタッフが徹底して訓練され、
多言語を話し、またその経営陣が保守的であることは、よく知
られている。こうした美点を持ったスイスの銀行には、世界中
の人々が口座を持っている。スイスの銀行界は、いわば世界の
ポートフォリオ・マネジャーなのである。
フェルディナント・リップス著/大橋貞信訳/徳間書店刊
『いまなぜ金復活なのか/やがてドルも円も紙屑になる』
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当時のスイスでポートフォリオ・マネジャーを務める人々は、
1930年代や第2次世界大戦を含むいわゆる「弱気相場」――
株価がどんどん下落していく、下降トレンドの相場の経験を豊富
に有しており、結局最後に生き残るのは金しかないということを
身体で掴んでいる人ばかりだったのです。そういうことから、ス
イスの銀行家の判断が金市場と金価格に対して少なからざる影響
を与えることになったのです。
スイスの銀行家と同様にいわゆる独裁者たちも札束を信用せず
ひたすら金塊を貯め込んでおり、いざというとき、それをスイス
に持ち出そうとしていたのです。
広瀬隆氏の労作に『赤い楯』というのがあります。『赤い楯』
というのはロスチャイルドのことを指しています。この本は、初
代のマイヤー・アムシェルから始まって7〜8代二百数十年にわ
たるロスチャイルド家の歴史が書かれています。
この本の中に独裁者の国外逃亡――亡命について記述されてい
る部分があります。
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独裁者の大金輸送に、スイスの航空会社が利用されてきたこと
は周知の事実である。多くの場合、インフレや亡命の恐怖にお
ののく独裁者は、札束を信用せず、金塊で財産を貯め込む。そ
のため国外への資産の移動も国際的な航空シンジケートぐるみ
で行われる。つまり、手助けするエキスパートが銀行界に雇わ
れていなければ、預金はできないのである。
――鬼塚英昭著、『日経新聞を死ぬまで読んでも解ら
/金の値段の裏のウラ』/成甲書房刊
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パナマのノリエガ、ナチスのゲーリング、アルゼンチンのペロ
ン、旧ベルギー領コンゴのフォンベ、イランのパーレヴィ国王、
フィリピンのマルコス・・・いずれも例外なくスイスの航空会社
を利用し、金をスイスの銀行に運んでいるのです。
鬼塚英昭氏によると、スイスの銀行は金塊の輸送に自国の航空
機を使うことが知れ渡ってしまったため、最近では、ミサイルを
搭載した原子力潜水艦を金の輸送の手段として使っているといわ
れています。
このように、独裁者をはじめ、各国の富豪が人知れず金塊をス
イスの銀行に預けるなどするので、世界中の金はスイスに集めら
れており、しかもその正確な実態はスイスの秘密主義に阻まれて
把握できないでいるのです。
ところで、ニクソン・ショックの後の米国は、表面上は何事も
なく事態は推移したのです。これによって「金・ドル体制」は崩
壊したのです。米国は金を廃貨とするとともに、ドルの価値には
いささかも揺るぎがなく、ドル覇権のさらなる拡大に向けて突き
進んだのです。
これは不思議な話です。「金・ドル体制」の崩壊は、事実上米
国のデフオルトであるにもかかわらず、それでもあたかもドルは
金よりも価値の高いものであるかのように「強いドル」を推進し
たのです。実際問題として当時はドルには強い信頼感があり、そ
ういうことが許されたのです。
実はその間、米国はOPEC(石油輸出国機構)と交渉して、
次のことを決めているのです
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全世界のすべての原油価格は、必ず独占的にドルで値決めされ
なければならない
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これはいわゆる「ドル・石油兌換体制」というべきものであり
かつての「金」を「石油」に置き換えたのです。この体制実現を
支えたのが、ロックフェラー財閥なのです。これに関して、副島
隆彦氏は、自著の中で次のように述べています。
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そして、その実質は背後から世界のすべてをあやつっている現
在の「実質の世界皇帝」であるディヴィッド・ロックフェラー
(92歳)の指図によるものであるから、これを「ロックフェ
ラー石油通貨体制」と命名したのである。それは、ニクソン・
ショックの翌年の1972年に作られた、ディヴィッド・ロッ
クフェラー自身が主導した米欧日三極会議によってすべて決め
られた。そして、これからG5という「主要国蔵相・中央銀行
総裁会議」なるものが生まれた。そして同じくここからサミッ
ト(主要国首脳会議)が生まれたのである。
――副島隆彦著、『ドル覇権の崩壊/静かに恐慌化する世界』
徳間書店刊
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ここにヨーロッパを中心とし、金にこだわるロスチャイルドと
米国を中心とし、石油にこだわるロックフェラーの二大財閥が激
突する世界が展開していくのです。現在の原油問題も環境問題も
すべてこれに関係があるのです。 ――[金の戦争/32]
≪画像および関連情報≫
●デイヴィッド・ロックフェラー・シニアについて
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デイヴィッド・ロックフェラー・シニアは、アメリカ合衆国
の銀行家、実業家、慈善家であり、現在のロックフェラー家
の当主。父親はジョン・ロックフェラー2世。6人兄弟の末
子であり、兄は第41代アメリカ合衆国大統領のネルソン・
ロックフェラーである。ハーバード大学、シカゴ大学で経済
学博士号を取得。1981年までチェース。マンハッタン銀
行の頭取兼最高経営者。 ――ウィキペディア
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2008年07月23日
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